歯周病で膵臓がんに? リスク2倍―欧米共同研究
口の中だけでなく、体のさまざまな病気に関係している歯周病。新たに膵臓(すいぞう)がんになる危険性を高める可能性が示された。米ブラウン大学生物学のDominique S. Michaud氏ら欧米の共同研究グループが国際医学誌「Gut」12月号(2013; 62: 1764-1770)に報告した論文によると、歯周病の原因菌の一つに反応する抗体が多い、つまり感染していると、抗体が少ない人に比べて膵臓がんになるリスクが2倍以上高かったという(関連記事)。
膵臓がん早期発見の目印になるか
Michaud氏らは、欧州で集められたがんと栄養に関する研究の参加者データのうち、膵臓がんにかかった405人と膵臓がんにかかっていない416人について、口の中の細菌25種類に対する抗体の量(抗体価)を比べた。
その結果、歯周病の原因菌の一つである「ポルフィロモナス・ジンジバリス ATTC 53978」に対する抗体が多い人(血液1ミリリットル中200ナノグラム超)は、少ない人(同200ナノグラム以下)と比べて膵臓がんになるリスクが2.14倍高かった。一方、病気の原因とならない口の中の常在菌に対する抗体が多い人は、少ない人と比べて膵がんリスクが45%低かった。
膵臓がんの早期発見につながる目印(バイオマーカー)はない。そのことから、Michaud氏らは「口の中の細菌が膵臓がんの原因に直接影響しているかどうか、またバイオマーカーになるのかどうかを検討する必要がある」としている。