骨粗しょう症の治療薬使用の患者 抜歯治療に注意喚起 信大教授05月17日(土)
骨粗しょう症の治療薬「ビスフォスフォネート(BP)製剤」を飲んでいる患者の抜歯について、信州大医学部(松本市)の栗田浩・歯科口腔(こうくう)外科学講座教授(51)らが、県内歯科医へのアンケート結果を基に注意を促している。服薬状況などにより、抜歯後にあごの骨の骨髄炎や壊死(えし)が起きる可能性があるためで、アンケートではBP製剤を飲んでいる患者に、高い頻度で抜歯が行われていることが判明。日本口腔外科学会など関連5学会が壊死を防ぐ対応法をまとめた「見解」を踏まえて治療するよう呼び掛けている。
BP製剤の経口剤が骨粗しょう症、注射剤ががん骨転移などの治療に使われ、投薬中の患者が歯科治療を受けると、あごの骨の壊死などを引き起こす問題が既に指摘されている。因果関係はまだ不明という。5学会は2010年、骨粗しょう症患者で経口薬を飲んでいる場合、投与期間3年以上や、3年未満でもステロイド剤などを使用している場合は服薬を一定期間休むといった対応策を示した。
栗田教授らが昨年6月、県内の開業歯科医682人に行ったアンケートで、「経口のBP製剤を飲んでいる患者が来院したことはある」は615人(90%)、「その患者の歯を抜いた」は429人(63%)。そのうち約2割は、5学会が示した対応策を知らないと答えた。
アンケート結果は、17日に松本市で開く日本口腔外科学会中部支部学術集会で発表する。栗田教授は「BP製剤を飲んでいる患者で抜歯をする頻度が想像以上に高かった」とし、「歯科医だけでなく、薬を処方する医師や薬剤師にも見解を認識してもらう必要がある」と話している。