2014年5月アーカイブ

骨粗しょう症の治療薬使用の患者 抜歯治療に注意喚起 信大教授05月17日(土)

 骨粗しょう症の治療薬「ビスフォスフォネート(BP)製剤」を飲んでいる患者の抜歯について、信州大医学部(松本市)の栗田浩・歯科口腔(こうくう)外科学講座教授(51)らが、県内歯科医へのアンケート結果を基に注意を促している。服薬状況などにより、抜歯後にあごの骨の骨髄炎や壊死(えし)が起きる可能性があるためで、アンケートではBP製剤を飲んでいる患者に、高い頻度で抜歯が行われていることが判明。日本口腔外科学会など関連5学会が壊死を防ぐ対応法をまとめた「見解」を踏まえて治療するよう呼び掛けている。

 BP製剤の経口剤が骨粗しょう症、注射剤ががん骨転移などの治療に使われ、投薬中の患者が歯科治療を受けると、あごの骨の壊死などを引き起こす問題が既に指摘されている。因果関係はまだ不明という。5学会は2010年、骨粗しょう症患者で経口薬を飲んでいる場合、投与期間3年以上や、3年未満でもステロイド剤などを使用している場合は服薬を一定期間休むといった対応策を示した。

 栗田教授らが昨年6月、県内の開業歯科医682人に行ったアンケートで、「経口のBP製剤を飲んでいる患者が来院したことはある」は615人(90%)、「その患者の歯を抜いた」は429人(63%)。そのうち約2割は、5学会が示した対応策を知らないと答えた。

 アンケート結果は、17日に松本市で開く日本口腔外科学会中部支部学術集会で発表する。栗田教授は「BP製剤を飲んでいる患者で抜歯をする頻度が想像以上に高かった」とし、「歯科医だけでなく、薬を処方する医師や薬剤師にも見解を認識してもらう必要がある」と話している。

あなどれない!歯周病が全身疾患の原因に。そのメカニズムが解明


新潟大学
新潟大学

成人の8割がかかっているとも言われている歯周病。実は歯だけではなく全身の健康を脅かす病気でもある。今まではっきりとはしていなかった歯周病が全身の健康に影響を与えるメカニズムが、このたび新潟大学の研究により科学的に明らかになったようだ。

歯周病とは?

歯周病とは、口の中の悪い菌(歯周病原細菌)が歯ぐきや歯を支える骨に影響を与える病気。症状が進むと歯を支える組織に炎症が起こり、放置すると歯を失うことになる。

「歯ぐきが腫れる」「歯ぐきから血が出る」といった自覚症状が出てしまうと、かなり症状が進んでいる状態。定期的に検診を受けて、初期のうちに対策することが重要だ。

歯周病がリスクを高める全身疾患

動脈硬化症、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患、関節リウマチ、早産などのリスクが、歯周病により高まると言われている。

歯周病と全身疾患との関係は以前から知られていたのだが、どのように歯周病がこれらの疾患を引き起こすのか、詳しいメカニズムは明らかにはされていなかった。

全身疾患を引き起こすメカニズムが解明

今回、新潟大学大学院医歯学研究科の山崎和久教授らによる研究グループが発表した内容によると、歯周病の有力な原因菌であるPorphyromonas gingivalisが、腸内細菌のバランスを崩すことがわかった。

その結果、腸がもろくなり、毒素が血流を介して体内に運ばれ、全身に影響を与えるそうだ。

今回の研究成果が、新たな治療法の開発に役立つのではないかと期待されている。


糖類の摂取量目安、従来の半分に WHOが指針案 
1日25グラム、缶ジュース1本分

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2014/5/11付

 では、取り過ぎるとどんな影響が出るのか。まず虫歯や歯周病のリスクが高まる。国際的にも糖類の摂取量が増えると虫歯が多くなることが判明している。大人も子供も「菓子や甘い飲料の摂取量に注意してほしい。だらだらと飲み食いするのはよくない」と昭和女子大学の高尾哲也教授は指摘する。

 山内帝京大教授によると、糖類の過剰摂取で狭心症などの心臓や血管の病気に加え、内臓脂肪型の肥満も増えやすいことが大規模な疫学調査などで明らかになっているという。最近の研究では「摂取カロリーの総量が多いという理由だけでなく、砂糖などを一度に大量に取ることが原因の一つとの見方も出ている」(山内教授)。

■果物食べ過ぎ注意

 食事で炭水化物を取る場合は、腸でブドウ糖まで分解されて吸収される。これに対し、砂糖などが多い飲料や菓子などを過剰に取ると、消化の手間が省かれ短時間で吸収されやすいため、血糖値が急激に上がる。上がった血糖値は急激に下がる。こうした変化は「肝臓やすい臓などにダメージを及ぼす可能性が高い」と山内教授は話す。

 ただ砂糖の摂取量と健康への影響について日本人の研究が少なく、はっきりしていない点も多い。厚生労働省が健康を保つ食事量の目安として示した食事摂取の基準でも、総エネルギーのうち炭水化物を50~65%などとしているが、砂糖などには詳しく触れていない。

 山内教授は「肥満ではない健康な人は糖類を1日60~70グラム程度は摂取しても問題ないのではないか」と話す。普通の食品に含まれるものや調理に使う調味料などは過度に摂取を控える必要はないという。

 ただし、果物は少し注意する。ビタミンなどが取れる半面、最近は糖度が上がっている。一定量の果糖などを直接摂取することになる。飲料や菓子と同じく、食べ過ぎに気をつけたい。


糖類の摂取量目安、従来の半分に WHOが指針案 
1日25グラム、缶ジュース1本分


2014/5/11付

 甘い物につい手が伸びる。そんな人がドキッとする指針案を世界保健機関(WHO)がこのほど発表した。1日の糖類摂取を総カロリー量の5%未満に抑えるよう勧める内容。平均的な大人なら、甘い清涼飲料水約1本でこの値に達してしまうこともある。「達成できない」という声が圧倒的だと思われるが、これを機に過剰にならない糖類摂取の基本を押さえておきたい。

 都内に住む会社員Aさんは毎朝、通勤途中の駅の売店で清涼飲料水を買って一気に飲み干す。営業で外出した際も一息つきたいと思ったときは、自動販売機に足を向ける。

 Aさんの習慣は3月発表のWHOの指針案では基準オーバーになる。砂糖などの糖類を1日の総摂取カロリー量の5%未満にするというのは、平均的な大人だと砂糖で約25グラム、ティースプーン6杯分だ。一般的な甘い清涼飲料水には全量の約10%に相当する糖類が含まれている。250ミリリットルなら約25グラムで、それだけで基準に達してしまう。

■飲料・菓子類が対象

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 WHOは以前から「10%まで」を推奨してきたが、今回はこれを残しながら半分に減らす案を示した。世界的に増えている肥満や虫歯などの予防効果が高まることがわかったとして数値を厳しくした。日本人の砂糖摂取量についてはっきりした数字はないが、各種の統計などから1日に70グラム程度を摂取しているとみられる。

 WHOがいう糖類とは、主に単糖類といわれるブドウ糖や果糖、2糖類のショ糖(砂糖)で、これらを多く含む飲料や菓子類などが対象となる。コメなどの炭水化物や野菜類のでんぷんなどからの摂取分などは考えなくてよい。「WHOは炭水化物の摂取量を制限する食事などにも触れていない」と帝京大学の山内俊一教授は解説する。

 新指針案を守るのは厳しいと見る向きが多いが、女子栄養大学の山田和彦教授は「糖類を多く取る人は結果的にたくさん食べていることが多く、総カロリー量を押し上げやすい。飲料を食事代わりにしてしまうと栄養も偏りやすいので注意すべきだという意味ととらえるのがよい」と説明する。

 糖類は脳をはじめとする臓器のエネルギー源として欠かせない。リラックス効果をもたらすことも知られている。イライラしたときに甘い物を口にすると落ち着いたという経験は多くの人が持っているだろう。


脳の活性化も 「よくかむ習慣」の様々な効用 

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2014/5/3付

■記憶力も左右

 かむことの効果がとくに大きいのが高齢者だ。神奈川歯科大学などの研究チームによる調査では、2分間ガムをかんで記憶力に関する調査を実施したところ、60~76歳の高齢者では約2割で記憶力が顕著に上がった。若者はそれほど変わらなかった。様々な器官から刺激を受ける子どもや若者よりも、高齢者は口から受ける刺激が大きいと見られる。

 高齢になるとかむ力が衰えるが、神経質にならなくていいそうだ。日本歯科大学教授で同大の口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武さんは「巧みに口の中を動かせるかがより大事」と話す。

 固いものを強くかみすぎると、顎関節症や歯の破折が起きて逆効果になることもある。かむことは咀嚼(そしゃく)という口全体の運動の一部。かんだ食べ物に舌をからめたり、頬を動かしたりしながら食べ物を口の中でまぜる――。高齢になるほど一連の動きをなめらかにできるかがポイントとなる。入れ歯にするとかみにくくなるが、慣れれば、かみ方を工夫できるようになる。

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 歯科医に行けば、ガムなどを使って咀嚼能力を判定してくれる。まず自分の咀嚼力やどういった部分が衰えているのかを知っておきたい。そのうえで菊谷さんは、家でも舌や頬を動かすトレーニングをすることを勧める。いつまでもおいしく食べ物を味わうには、日ごろからの鍛錬も欠かせないということか。

◇            ◇

■精神面にもプラスの効果

 高齢者では、食べ物をよくかめなくなることで引きこもりがちになったり、体調を悪化させたりするケースも多い。神奈川歯科大学の木本克彦教授は「食事を通して人とコミュニケーションを取ることはとても大事。社会参加できるようになり、認知症の予防効果も期待できる」と話す。

 しっかりかめることが栄養面だけでなく、精神面でもプラスに働くことはほぼ間違いないようだ。木本教授は「かめないとあきらめるのではなく、義歯などをしっかり活用してほしい」と訴える。現時点でかむことと認知症予防の直接の関係ははっきり解明されていないが、今後一段と研究が進みそうだ。


脳の活性化も 「よくかむ習慣」の様々な効用 

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2014/5/3付

 かむことの効用は、子ども、成人、高齢者それぞれの世代にとって少しずつ違う。

 子どもの乳歯が永久歯に生えかわるのは小学校低学年ごろから。あごの筋肉も発達してくる。飯田女子短大教授(長野県飯田市)の安富和子さんは「3~4歳になったら、しっかりかむ習慣をつけ始めるのが大事だ」と説明する。

 安富さんらは保育園年長児の給食で、かむ回数と姿勢などの関係について調べた。園児たちにかむ回数をカウントする装置をつけてもらい、(1)体が正面を向いている(2)背筋がまっすぐ(3)いすに寄りかからない(4)足の裏が床についている(5)足がそろっている(6)茶わんをもっている(7)箸を正しくもっている――の7項目を調査した。

■早食いは禁物

 食事を始めて10分後。「700回以上かめたグループ」では、7項目すべてに問題がなかった園児の比率が約4割あった。「400回以上700回未満」だと約2割、「400回未満」はゼロになった。正しい姿勢でないと力が入らず、かんでも数えられないケースが多いようだ。これは大人でも同じだ。

 安富さんは「親が子どもによくかみなさいというだけでは、食事が楽しくなくなって逆効果。いい姿勢でよくかめば食べ物がおいしくなることを教えてほしい」と話す。ほかに食事で気を付けたいのが早食いをしないこと。一口でたくさんの食べ物を入れすぎないことも大事だ。我慢しきれずにのみ込んでしまい、かむ回数が減る。

 成人になると、よくかむことは生活習慣病の予防との関わりでも軽視できなくなる。満腹中枢に働き掛けて食べ過ぎを防ぐほか、ストレスを軽減させる効果がある。成人男子に満腹になるまでおにぎりを食べてもらった実験がある。一口50回以上かんだ場合、普段と同じように食べたのと比べて食事時間は約2倍かかったが、茶わん1膳分少ない量で満腹になった。

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 歯科関係者などは一般的に一口あたり30回かむことをすすめている。ただ、食べ物によってやわらかさが違う。30回はあくまでも目安だ。のみ込む前にあと10回追加してかむのことを意識したい。また食事をする少し前にガムをかんでおくことも食べ過ぎを防ぐ効果がある。


虫歯予防「根管治療」になる前に治療を(2014/5/1 夕刊フジ)

虫歯予防「根管治療」になる前に治療を

2014.05.01


 「歯の神経を抜く」「根の治療をする」。-歯医者でこのようにいわれて具体的にどんなことをするのか、なぜ同じ歯に対して何度も治療に行かなければならないのかと思ったことはないですか。

 神経まで歯が侵され、激しく痛んだり、神経が死んでしまった場合には歯根の治療「根管治療」が行われます。

 一概に虫歯になったと言っても、ものすごく痛くなる虫歯とそれほどでもない虫歯とあります。虫歯が小さくエナメル質に限定していると痛みは起こりません。そのまま進行して象牙質まで虫歯になると、しみたりするようになります。虫歯がさらに歯髄に近くなると強烈に痛みを伴うようになります。

 激痛を我慢して、さらに虫歯が進行し歯髄まで細菌感染する頃には神経が壊死(えし)するため一時的に痛みを感じなくなります。激痛のあと痛みがなくなったからと放置すると、歯の内部から歯根膜、歯槽骨へと歯の周辺にまで炎症が広がっていき、いずれ突発的に痛みが出たり、歯ぐきがはれたりします。

 虫歯が歯髄炎、歯根膜炎、歯髄壊死まで起こすほど大きく進行してしまうと「根管治療」が必要となってきます。まず歯を削り神経の通る根管を探し当てた後、ファイル、リーマーと呼ばれるまち針のような極細の金属器具と根管長測定器を使用して神経を少しずつ手で取り除いていきます。空になった根管内を薬液で洗浄し、薬を貼薬した後で仮の蓋をします。根管内がきれいになるまで、このような治療を何度も繰り返します。

 根管治療は技術的に難しい作業です。細菌をすべて取りきるのは困難なため、可能な限り歯根の奥まで掃除して、あとは薬剤で消毒するほかないのです。

 患者さんの体の抵抗力とのバランスで治癒へと進むまで消毒を繰り返したのち、根管内に詰め物をします。根管にゴム状の詰め物をしたのち金属やプラスチックやセメントなどで最終の蓋をします。ここまでした歯をベースにしてさらにクラウンやブリッジなどをかぶせる治療に移行していきます。

 このように虫歯は放置すればするほど治療と通院にかかる時間が増えますし、歯を残すことが困難になります。早めの治療とメンテナンスで普段から虫歯の早期発見を心がけましょう。

うわっ...私クサすぎる?「自分で口臭をチェック」する手軽な方法


美レンジャー

多くの人が気にしている口臭。手のひらに「はーっ」と息を吐いてかいでみても、鼻はすぐにまわりの臭いに麻痺してしまうため、本当の臭いはそれではわかりません。

今回は、自宅で簡単に自分の口臭をチェックできる方法を4つご紹介します。自分の臭いに「うわっ」と思うかどうか、さあ、さっそく試してみませんか?

■1:ビニール袋を活用

ビニール袋を用意して、そこに自分の息を「はーっ」と吐きます。そして袋に鼻を突っ込んですぐに臭いをかいでみましょう。それがあなたの口の臭いです。

ビニール袋は大きすぎると、元々袋の中にある空気と混じってしまい、わかりにくくなります。小さめのサイズを用意するようにしましょう。

■2:コップで確認

きれいに洗ったコップに水を少し入れ、上下左右に振って、まず中の空気を入れ替えます。次にその水を捨て、コップの中に向かって「はーっ」と息を吐き、そのコップの臭いをかぎます。

コップに息を吐いた後、一回手でコップにふたをして、一呼吸おいてからかぐようにすると、鼻が麻痺せずに敏感な状態で臭いを確認することができます。

■3:歯間ブラシや糸ようじを利用

歯についた歯垢は、口臭の原因となります。そのため、歯垢の臭いはイコールあなたの口臭と言っていいでしょう。糸ようじや歯間ブラシを使って歯垢を取ったときに、その臭いをかいでみるとあなたの口臭がどんな臭いかわかります。

■4:親しい人にチェックしてもらう

実は一番確実な方法かもしれないのが、家族や身近な人に臭いをかいでもらうことです。家族なら「控えめに言っておこう」などと遠慮せずに、本当の感想を聞くことができるでしょう。

その際に、どのくらいの距離で話すと、臭いに気づくかということも見極めておくと、他人と会話をするときの参考にできます。

それぞれの体臭やその人の持つ生理的な臭いも関係していますので、方法1や2のやり方は、朝起きたときにすぐに実行してみるというのも手です。対策を行うときは、まずは現実を知ることが第一ステップですよ。


歯ぎしりは周りの迷惑だけじゃない! 歯を失う原因に

専門家が対策を解説

 歯ぎしりは、はた迷惑なだけでなく歯を失う原因にもなる。眠っている間のことなので自分では気付きにくいが、歯を守るために対処できることもある。昭和大学歯科病院(東京都)補綴(ほてつ)歯科の馬場一美診療科長に、歯ぎしりの影響と対策について聞いた。

体重と同程度以上の圧力

 ギリギリと音のする歯ぎしりは一緒に眠る人の安眠を妨げ、いじめや離婚の原因にもなるほど。それだけでなく、本人の体への影響も深刻だ。

 「歯ぎしりをする歯には、自分の体重と同程度以上に強い圧力がかかります。歯ぎしりが続くと、歯は通常よりも早く摩耗し、短く平らになっていきます」と馬場診療科長は話す。

 睡眠中は意識して力を加減することができないため、歯が折れたり銀歯やインプラントが破損したりすることもあるという。また、振動によって歯根を支える骨まで揺さぶられるため、歯周病が進行する原因にもなる。顎の関節や筋肉に負担がかかり、口が開かなくなることもある。

 歯ぎしりはストレスや飲酒で眠りが浅くなると起きやすい。ただし、ストレスで起きるのは患者のうち7%程度だという。ほかに、抗うつ薬、逆流性食道炎、遺伝的な体質なども原因として考えられている。

 歯ぎしりの治療はこうした要因を取り除くことから始める。夜よく眠れるように、昼寝や過度の飲酒は避け、逆流性食道炎があるなら治療する。

 馬場診療科長によると、本来、上下の歯の間には隙間があるのが正常な状態。「最近は夜間だけでなく、日中も歯を食いしばったままにしたり、カチカチと当てたりする癖のある人が増えてきました。この癖があると、上下の歯が触れる時間が長くなり、歯に大きな負担になります」

 夜の歯ぎしりが気になる人は、歯の健康を考え、昼間だけでも意識的にかみしめないように気を付けたい。


高齢者が食べやすい野菜の切り方(2014/4/30 東京新聞)

<セカンドライフ>高齢者が食べやすい野菜の切り方

ニンジンや大根は箸でつかみやすいよう、適度な大きさを心がける

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 高齢者の食事で気を付けたいのが、誤嚥(ごえん)。老化によって食べ物をかむ力やのみ込む機能が弱くなり、うまく働かなくなるからだ。誤って唾液や食べ物が気管に入ると、肺炎を引き起こしかねない。調理の基本となる野菜の切り方を工夫することで、予防したい。 (発知恵理子)

◆繊維を断つ

 教わったのは、管理栄養士で調理師の駒井雄一朗さん(42)。有料老人ホームを手掛ける「生活科学運営」(東京都新宿区)で、入居者の食事作りをスタッフに指導、統括している。

 「食べづらいと、どんなに味が良くてもおいしいと感じられない。調理の工夫で解消し、普通の食事のように召し上がってもらう取り組みをしている」と駒井さん。食事時間が極端に長くなったり、いつまでも口をもごもごさせていたり。今まで好き嫌いがなかったのに食事を残すようになるのも、食べづらさに気付くポイントだ。

 野菜を切るだけなら、家庭でもそれほど手間や時間がかからず、簡単にできる。大切なのは繊維を断つこと。「同じ野菜でも、切り方を変えると食感が違う」と言う。

 ホウレンソウや小松菜、チンゲンサイなどは、葉の部分は縦にも切り込みを入れ、長さ二、三センチにする。ゴボウなどの根菜は、斜めの輪切りにして、細く切る。「味のしみこみも良くなって調味料が少なくて済むため、減塩効果もある」

 インゲンなども斜め切り。キャベツの芯は斜め薄切りにすると、葉の部分と均等に火が通る。ニンジンや大根などを煮物用に乱切りする際は、箸やスプーンで持ちやすい五ミリから一センチの大きさに。むやみに細かくはしない。

◆軟らかく下ゆで

 いずれの野菜も十分程度、下ゆでし、さらに軟らかくする。「時間は食べる方の状態に合わせて。三十分くらいゆでることも」

 実際に試食すると、ホウレンソウはふわっと口の中で広がり、ゴボウやインゲンは繊維の感触が長く残らない。「本当に微妙な差ですが、高齢者にとってはそれが食べやすさにつながる」

 他にも、しょうが焼きなど肉を使ったメニューでは、一口大に切った薄切りの肉を一度、酒を入れた熱湯にさっとくぐらせ、霜降りにしてから調味料をからめる。「硬くならないように、加熱時間を短く仕上げると良い」。魚は骨をきちんと取る。あんかけなどとろみを付けると食べやすくなる。

 ホームでは、食べる気力がなくなってしまった入居者に、できる範囲で好物を用意することもある。駒井さんは「食事に興味を持ってもらい、食べる楽しみを取り戻すことも大切」と話した。

 

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