新婚さんで、これに悩む女性は多いと思います。相手の前で恥ずかしい、なんとか治したいと思う人が、即効で治す方法はあるのでしょうか? 歯科医の村田雄子医師(むらたデンタルクリニック)に聞きました。
−歯ぎしりを治す方法はある?
予防する術はあります。その人によって適応するのに時間がかかるかもしれませんが、トレーニングの指導を歯科で受けることができます。しかしながら、トレーニングをすれば誰もが必ず予防できるとは限りません。
そもそも、歯ぎしりは歯のこすり方によって種類がわけられて、よい歯ぎしりと悪い歯ぎしりがあります。
1 歯をこする動作(グライディング)
キリキリ、ギシギシと言う音がし、睡眠中に無意識に行います。一般的に歯ぎしりというとこのことです。
2 上下の歯をカチカチと噛み合わせる動作(タッピング)
3 歯を食いしばる動作(クレンチング)
これは睡眠中だけでなく、起きてる時にも無意識に行なっていることが多いです。
1のグライディングは、大きな音がするので心配されがちですが、ストレス解消になるとも言われて心配の必要がないと考えられます。たとえば、犬や猫のストレス解消に爪を立ててガリガリするようなものですね。
歯と歯があたる面が平らで丸く磨り減った形なので、上下の歯が接してもスムーズに動かせるため、歯や歯周組織、顎に負担はかかりません。
かなりの音がして、周囲の人が迷惑に感じることもあるでしょうが、その人のストレス解消でもあるのであまり気にしないようにしてあげてください。
−歯ぎしりをしても健康上の影響はないということ?
種類によっては、問題がある場合もあります。悪影響を及ぼすのは、3の歯を食いしばる動作です。
緊張したときや悔しいとき、ストレスのあるときなどに歯を食いしばることがありますが、この状態では歯と歯が直接かみ合いロックされた状態になっています。この状態が長く続けば過大な力が歯や顎にかかり、さまざまな症状を引き起こします。
歯周病を悪化させる、かみ合わせがずれる、知覚過敏、唾液が出にくくなり口臭の原因になることもあります。また、顎関節症の原因にもなります。口だけじゃなく、体の症状として肩こり、腰痛、耳鳴りなども起こり得ます。
食いしばりは、奥歯から顎や首にかけて極度に力が入っている状態で、緊張やストレス、幼いころからの癖が原因と考えられます。無意識に力が入ってしまうのです。
通常、上下の歯が接触する時間は食事時間を含めても一日15~20分程度です。それ以外の時間は、上下の歯には数ミリ程度の隙間ができています(安静位空隙)。この隙間が空いているかどうかを、意識し、自覚するといいでしょう。
−そのほかチェックするポイントは?
<歯ぎしりの健康危険度チェック項目>
○
朝起きたときに顎がダルい
○ 歯の詰め物がよく外れる
○ 冷たいものや熱いもので歯がしみる
○ 慢性的な肩こり、または頭痛がある
○ 歯並びが悪い
○ ストレスが多い
通常の状態で3つ以上当てはまるのであれば、健康上問題のある歯ぎしりの可能性が大です。
歯ぎしりの治療には、かみ合わせの治療や、マウスピースの装着などがあります。これは歯科医院で相談できます。予防するためには、日中にストレス解消を心がけ、顎、口のまわり、頬の力を抜くこと、また、筋肉マッサージ(顔面体操)によって口のまわりの筋肉や首まわりの筋肉のコリを緩和することにより顎の筋肉の緊張を抑えなどがあります。
(聞き手:小池直穂)