「夕食時に赤ワイン1杯」で糖尿病の状態が改善(2015/5/13 あなたの健康百科)

赤ワインは動脈硬化やコレステロールの酸化を防ぐとされているが、糖尿病(2型)の状態も改善するかもしれない。イスラエル・ベングリオン大学公衆衛生学部のアイリス・シャイ教授らは、5月6~9日にチェコ・プラハで開かれた欧州肥満学会の会合で、2年間にわたって毎日夕食時に赤ワイン1杯を飲んでいた糖尿病患者では、水を飲んでいた患者よりも糖尿病の状態が改善していたと報告した。シャイ教授は「健康的な食事に加えて少量のワイン、特に赤ワインを飲むことで、安全に糖尿病に関するリスクを軽減できる」と述べている。白ワインでもある程度の効果があったようだ。

善玉コレステロールなどが向上

シャイ教授らは今回、イスラエルに住む血糖状態がきちんとコントロールされている飲酒の習慣がない糖尿病患者224人を対象に、赤ワイン、白ワイン、ミネラルウオーターのいずれかを毎夕食事に1杯(150ミリリットル)を2年間飲み続けてもらい、コレステロール値や血糖値などの変化を調べた。

なお、いずれも食事は、栄養士の指導を受けた上でカロリー制限なしの地中海食(魚介類、野菜、果物、豆類、オリーブ油を多く取り、肉や乳製品は少なめにする地中海沿岸諸国の伝統的な食事)とした。

その結果、ミネラルウオーターを飲んでいた人に比べ、赤ワインを飲んでいた人ではHDL(善玉)コレステロールやアポリポタンパクA1(脂肪を血液に乗せて運搬するタンパク質)の値がわずかに向上し、総コレステロールとHDLコレステロールの比率、中性脂肪とHDLコレステロールの比率なども改善した。

酒に弱い人でより効果的か

血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)などの糖代謝は、赤ワインと白ワインの両方でわずかに改善し、特に赤ワインによる改善効果が大きかった。こうした効果は、酒に強い人(アルコール脱水素酵素=ADH1B*2遺伝子を持つ人)よりも、酒に弱い人(ADH1B*1遺伝子を持つ人)で優れていたという。

こうしたことからシャイ教授らは、今回の結果にはアルコールが一定の役割を果たしていることを支持するものだと考察。さらに、白ワインよりも赤ワインの効果の方が優れていたことから、赤ワインに含まれるアルコール以外の何らかの成分が寄与した可能性もあると考察した。

なお、アルコールの悪影響が心配になるが、今回の研究ではアルコールが薬や血圧、肝臓の機能へ影響したことは認められなかったとしている。

 

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