家庭排水から分離されたウイルスを、歯の感染菌の治療に使えるかもしれない。
イスラエルのヘブライ大学歯学部を中心とした研究グループは、アプライド・アンド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー誌で2015年2月6日に報告した。
歯科治療で問題の細菌
「エンテロコッカス・フェカリス」という細菌は、歯の内部で神経が通る「歯根管」の治療に失敗したときに問題になる。心臓の周囲に血流を介して細菌が達して「心内膜炎」という病気を起こしたり、持続的に細菌に感染したりする。薬が効きにくくなる場合も多い。
研究グループは、家庭排水から「EFDG1」と呼ばれるウイルスを分離した。細菌に感染するウイルスは「ファージ」と呼ばれ、この細菌はエンテロコッカス属の細菌に感染する性質を持っている。
エンテロコッカス感染症の予防に使えるかを検証している。
細菌の作ったフィルムを溶かす
電子顕微鏡で、「ミオ・ウイルス科のスポウナビリナエ亜科」と呼ばれる仲間のウイルスと特定した。
EFDG1をエンテロコッカス属の細菌に感染したところ、細菌が培養されてフィルム状になったものを溶かす力があると分かった。
研究グループは、今後、このウイルスを歯根管治療後のエンテロコッカス属の感染予防に利用できるかもしれないと指摘している。
治療にウイルスを使うのはがんの分野では検証が進んでいると知られている。今回の話はまだ実験レベルではあるが、感染症の治療にも広がるだろうか。

