口臭って、気になりますよね。人のこともそうですが、数値で測れないだけに、自分は大丈夫かな?と気になるときがありませんか。
講演のお仕事で各都道府県をまわる際、懇親会にも参加させていただくことがあります。その時間は、皆様のお話を聞かせていただくことが多く、相談に乗ることもありますが、その土地ならではの食習慣や風土を教えていただいたりと、学びの多い時間です。
「僕が小さい頃は、『ごはんがおいしいと思えないのは働きが足りないからだ』と怒られたんだよ」というような会話ひとつとっても、特別なものをシェアしていただいているように感じます。
そんなふうに楽しみにしている懇親会でしたが、先日、50代後半から70歳くらいまでという年齢層の集まりに日を開けずしていき、「食べているものによってこんなにもニオイが違うんだ」と愕然とする体験をしました。
ひとつのグループは、農業をしている人が身近にいる、または自宅で自家用の野菜だけは作っているという方が多く、「とにかく野菜はあるから」と副菜の欠けることがほとんどないという食生活を送っている方ばかり。そのせいか、ニオイが一切気になりません。かたや、もう一方は飲みの席が多い(家を含むとほぼ毎日)という方たちのグループでニオイはというと……前者と比べて愕然とするほどの違いがあったのです。
口臭の原因には様々なものがありますが、今回は40代、50代によくみられるケースとその対策を考えていきたいと思います。
突然ですが、あなたは“快便”ですか?便通を促す腸の蠕動運動は、副交感神経が優位なときに活発になります。でも、日頃からストレスを抱え、睡眠不足のビジネスパーソンは交感神経が優位になりがち。そうすると、どうしても便秘がちになってしまいます。
そのための対策としては、やはりまず1日3食をとってほしいものです。食後は副交感神経が優位になって消化吸収を促します。交感神経が優位になりがちな生活において、食事をすることは、副交感神経を活性化して腸の動きを良くすることにもつながるのです。
そして、1日3食とることで、食物繊維を充分に摂りやすくなるとも言えます。前述した「とにかく自宅に野菜があるから」という方々は、揃いも揃って便秘知らず。食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がありますが、前者は水分を吸ってふくらみ、他のカスを包んで便のかさ増しをしてくれますし、後者は水にとけて便を柔らかくしてくれます。
1日3食ではないケースのほとんどは、朝食を欠食しているパターンだと思いますが、朝という排便の反射が盛んなときに何も刺激を与えないのはもったいないことです。また、朝食を食べない理由は色々ですが、朝食を食べる時間がない中でトイレにゆっくり座る時間があるとは考えにくいものです。
快便状態でないときに腸内環境が良好とは言い難く、そうなるとおならのニオイが気になるのも不思議ではありません。「おならは臭いし、口臭も…」という方は、1日3食を意識し、朝は食物繊維が豊富な果物だけでも口にするところからはじめましょう。
愕然とするほどのニオイを発するグループの特徴は、“飲みの席が多い”でしたね。お酒が残っていて口臭がする…。確かにそんな人もいるかもしれませんが、大人になれば、そこまで飲んで翌日仕事に行くようなことはなかなかないはずです。では、どういうことが理由として考えられるのでしょうか。それは、お酒による脱水症状です。
お酒好きな人と飲んでいるときに、チェーサーを必ず添えているという方を見ることは稀だと思います。それが二日酔いの防止になる、肝臓に負担をかけない飲み方にもなる、といわれたとしても、「お酒を飲んでいるときにはお酒を楽しみたい」というのが酒飲み派の言い分。お水を添えることはなかなか受け入れがたいものです。でも、せめて、飲み会後、また入浴前や就寝前にこまめに水分補給をしてくれればよいのですが、そういったケアをするよりも、気持ちよくなってそのまま寝入ってしまうのが現実のようです。
寝ている間にはコップ1杯分もの水分が失われているといいますから、お酒を飲んで脱水状態になって、そのまま充分に水分補給をしないまま就寝すれば、気づかぬうちに脱水症状になっていることも考えられます。そんな朝は、いつも以上に口の中がネバネバする感じがしませんか?唾液には殺菌作用があるので、口臭の予防に有効な存在です。でも、このようにして口の中が乾燥して唾液量が減ってしまえば、口臭が起きやすい環境をつくることになります。唾液量は加齢とともに減りますから、その点からも、余計に意識しなければなりません。
食事に興味がない!?
噛まない食生活の人はニオイも危険
「食べ物はあったら食べる」「体が動く程度に食べられればいい」
たまに、こうしたことをおっしゃる方がいます。目の前に食事が出されたらそれなりに食べるのですが、自らすすんで口にするものといえば、パンやカップ麺。特に興味がないことにお金をかけるわけもなく、こうした方の食生活はコンビニで手に入りやすく、安価なものが中心となっている場合が少なくありません。そして、そういったものの多くが、たいして噛まずに飲み込めてしまうものだったりするのです。噛むことすら億劫になった人にとってはベストな選択かもしれませんが、噛まなければ、唾液が充分に分泌されません。
加えて、食事に興味がなくなったのが昔からではなく、最近、ここ数年のものであれば、余計に心配です。というのも、食事に興味がなくなった原因がストレスなどの心因性のものであれば、それによっても唾液量の分泌が低下してしまうからです。緊張して口が渇いた経験は誰しも一度はあるのではないかと思いますが、極度の緊張感やストレスは、心の健康ばかりが唾液までも奪います。そして、それによる口臭がまたストレスの一因となってしまうこともありえるのです。
「食べる気が起きないから」と食べないままでいると、栄養バランスの乱れからストレスへの抵抗力も落ちてしまいます。メンタルが弱っているときには、風邪をひいているときと同じように、体に栄養を与えてあげてほしいものです。こうしたときには、食べたいものを問われても何も思い浮かばないと思いますが、「昔好きだったもの」「おいしかったお店」でも良いので、“おいしいと思われるもの”を口にしてみてください。そして、できるだけ、「なんでもいいや」よりは「Aよりは隣のB」とより良い選択をしてみるのも、口臭以前に、自暴自棄にならないために大切なことです。
口臭や加齢臭に加え、いつの間にか耳毛が気になるようになってきたり、鼻毛や眉毛が勢いを増してきたり…あぁ、もう、現役引退かな…なんて思うことがあるかもしれません。でも、“近づきたくない人”にならなければ、いつでもチャンスはあるように思います。そのための身だしなみではないかもしれませんが、それがモチベーションにつながるのならば、多いに活用したいところです。
余談ですが、こうした話をするときにいつも思い出す父と母の会話があります。
「男性の身だしなみがきちんとしていると、奥さんに愛されているんだなぁ、と感じる」
その言葉は妙に印象に残っていて、私もしっかりケアしないと、と思わせてくれます。でも、長いこと放置したあとに手入れするのはなんでも大変! しかも、その頃には、触れたくもない…なんてことになっていないとは言い切れません。身だしなみがビジネスにおいて大事な要素なのは言わずもがな。男性も、自分自身ではまだ気にならないうちから、パートナーにチェックしてもらうと良いかもしれないですね。