2013年3月アーカイブ

成人で歯を失うことは、糖尿病や肥満、高血圧、喫煙といった心疾患の危険因子とも関連していることが、スウェーデン、ウプサラ大学医療科学部のOla Vedin氏らの研究で示唆され、米サンフランシスコで開催された米国心臓病学会(ACC)年次集会で発表された。

Vedin
氏らは、残存歯の数と歯肉出血の頻度に関して調査した39カ国16,000人近くのデータを分析した。被験者の約40%が残存歯は15本未満であり、16%は歯がなく、25%は歯肉出血を報告した。歯の数が1本減るごとに、炎症と動脈硬化を促進する有害な酵素レベルが上昇した。

歯の数が少ないと、"悪玉"のLDLコレステロール値や血糖値や血圧の上昇、胴囲の増大など他の心疾患リスクマーカーも増えた。歯が少ない人は糖尿病になる可能性も高く、歯の数が有意に減少するごとにリスクが11%増大した。現喫煙者または元喫煙者も歯の脱落と関係しており、歯肉出血はLDLコレステロールと血圧の高値と関連していた。

今回の研究は学会発表されたものであるため、データおよび結論はピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。Vedin氏らは、歯の脱落と歯肉の健康、心臓の健康の関連性の背後にあるものは依然として不明であるとしている。同氏は、「歯周病が実際に心疾患を引き起こすかどうかはまだわからない。この2つの疾患は独立して共通の危険因子を持つ可能性がある」という。(HealthDay News 37日)

表情筋鍛えたら健康に (2013年3月21日 読売新聞)

◇遠野の歯科医が医療器具の効果報告
 口にくわえて顔の筋肉を鍛える医療器具で、睡眠障害や口腔(こうくう)内トラブルが改善されたという調査結果を、「第41回医療功労賞」の全国表彰者で遠野市国民健康保険宮守歯科診療所長の深澤範子さん(62)らがまとめた。深澤さんは「市内の仮設住宅などにも広め、震災被災者の健康づくりにつなげたい」と普及を進める考えだ。
 昨年11月から、同市内の22~85歳の男女18人に、1回3分ほどのトレーニングを1日3~4回実施してもらい、12月に効果をアンケートで調べた。使用したのは、板バネが入った特殊なポリエステル製の「Mパタカラ」という医療器具。東京都の医療器具メーカーが開発した。上下の唇と歯の間に挟み、バネの力で表情筋が鍛えられる。
 実施前は「睡眠中、トイレで何度も目が覚める」としていた5人がいずれも「改善した」と回答。睡眠障害に一定の効果がみられた。「昼間に眠くなる」としていた7人のうち、3人が効果を感じたという。
 また、「ほっぺたや舌を噛()むことがある」という7人のうちの5人と、「朝起きた時、口臭が気になる」という6人のうちの4人がそれぞれ改善したと答えた。
 このほか、年齢とともに下がるとされる「舌骨」の位置が上がったケースや、食べ物をのみ込む力が強くなった例もあったという。過去の研究では、この器具を使って要介護度が改善された高齢者もいた。
 深澤さんは「個人差はあるが、体の機能を正常に戻す効果が見られる」と分析。「噛むことで体も温まるし、美容にも効果があるので、使ってみてほしい」と呼びかけている。

味覚機能 (2013/3/11 14:22 福島民友新聞)

高齢化や口の衛生で変化

 年齢とともに、食べ物に対する好みが変わるといわれます。濃い味付けを好むようになったり、軟らかいものを多く取るようになったりすることです。これは、味に関する感受性が変わったために起こります。
 口の中には味を感じ取る味蕾(みらい)という組織があります。その多くは舌の表面にあるといわれています。
 味物質が唾液に溶けると、味蕾の中にある味細胞を刺激して、それが脳に伝わって味を感じることになります。
 残念ながら、年を重ねるにつれて味覚機能は低下します。味には基本的に甘味、塩味、酸味、苦味の四つがあります。このうち甘味、塩味は、年を取るにしたがって味を感じにくくなる傾向があります。また、口の衛生状態が悪くなると、味を感じにくくなるといわれています。
 従って、口の衛生状態が改善されれば味覚が回復し、砂糖や塩などの調味料の使用量を減らすことができるのです。また、よくかんで食べることで、唾液が分泌し、消化もよくなります。
 むし歯や歯周病のない、よくかめる口を目指して、日ごろの手入れと、1年に1回程度、歯科医院で定期点検を受けてはいかがでしょうか。
(県歯科医師会)

毎日は磨きをする人がほとんどだと思いますが、それでも歯肉炎や歯周病は30代、早くて20代でも発症する人が増えてきています。514歳で約40%、1524歳で約60%の方が歯肉炎で、40歳以上では80%以上の方が歯周病にかかっていると言われています。

ちなみに70歳以上は歯周病率が減るのですが、これは自分の歯が無い人が多いという状況なのです。しっかりとしたケアをしないと若いうちから歯が無くなってしまいます!

■歯磨きで安心していると歯周病に!

きちんと歯磨きをしていても歯肉炎や歯周病になるのです。

それは、原因となる菌や歯石が歯磨きだけではとれないからです。特に詰め物などしている歯の近辺は、隙間ができやすくて、食べ物が挟まりやすく、歯茎が圧迫されて、炎症をおこしやすい状態を作ってしまうのです。

夜しっかりと歯を磨いても、朝起きた時には、口がネバネバすることがないでしょうか? あのネバネバ、ヌメリは"ばい菌"が繁殖している状態なのです。

そのばい菌が毎日少しずつ溜まり、口臭や歯肉炎や虫歯などの原因となってしまうのです。

■日本人の歯の平均寿命は欧米に比べ短命!

日本人は70歳前後で健康な歯が半分の14本くらいになってしまう人が多いです。

これは、欧米では国民の80%が"予防"のために歯医者へ通っているのに比較して、日本人はたったの2%。まだまだ日本には予防で歯医者を利用するというのが少ないのです。

3ヶ月に1度の歯の定期検診、クリーニングは、歯の寿命を延ばすのにとても効果的という結果も統計調査であります。予防の為に、歯の検診にいくことは将来自分の歯をしっかりと残すためにも重要なことなのです。

歯は"悪くなってから治す""痛くなってから治す"のではなく、定期的に歯医者さんでチェックする習慣をつけると、きれいな口内環境にすることが出来るのです。

学生を過ぎると歯の検診という機会が減ってしまうので、症状が出てから歯医者に行くという悪循環に陥りかねません。是非かかりつけの歯医者をみつけて、定期検診の予約をして下さい。

歯周病は日本人の半数以上が罹っているといわれる。山田大樹アナが強調する。「自分は40代だから大丈夫と思っているあなた、とんでもありません。調べによれば、30代以上の80%がすでに歯周病で、歯を失う原因の第1位なのです」

初期症状「食べ物詰まる」「口臭」「血が出る」「歯が伸びた」「しみる」

東京医科歯科大学・和泉雄一教授は言う。「歯周病菌は誰もが抱えています。この歯周病菌が歯垢を増やし歯茎を衰えさせて、歯の中の骨まで溶かして歯が抜け落ちる。歯周病は虫歯と違って痛みがないので始末が悪い」

20歳代から40歳代までの7人の女性の歯周病進行度を、東京医科歯科大・秋月達也医師がチェックした。歯と歯茎の間の歯周ポケットが4ミリを超えるとすでに歯周病が始まっているという。診断では7人中6人が4ミリを超え、器具を当てただけで全員が出血した。8ミリ超のAさんは驚いて言う。「毎日3回歯磨きしていたのに、骨まで溶けていたなんて、もうショックです」

山田アナ「歯周病につながる初期症状があります。『歯の間に食べ物が詰まる』『口臭が強くなった』『歯が伸びた気がする』です。女性は生理や妊娠中に『歯茎から血が出る』『冷たい水がしみる』『眠るとき口の中が熱っぽい』などの特徴があります。当てはまりますか」

有働由美子キャスターが頷いた。「あります。ふたつある。物が詰まるのと冷たい物が浸みる。私も歯周病かな」

歯周病菌が血管に入り込むとさまざまな合併症

歯周病は放置すると歯を失うだけではなく、さまざまな合併症を引き起こす。和泉教授によると、「歯周病菌が血管に入っていくと糖尿病の悪化を引き起こします。また、血管を詰まらせるので心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなる。妊娠中の女性は早産や低体重出産になりかねません。きちんとしたケアがいかに大事かをわかってください」

お菓子を食べたときに、はがしそこねた銀紙をかんで「キーン」という痛みがはしった経験はありませんか? 私は虫歯の治療をしている歯が多く、スプーンなどが当たったときにも痛みがはしることがあります。

この「キーン」という痛み、どうやら虫歯に反応しているよう。口のなかではいったい何が起こっているのでしょうか。おおはし歯科クリニックの院長大橋康之先生に、くわしいお話をうかがいました。



■アルミホイルをかんだときに感じる痛み原因とは?

――奥歯でアルミホイルをかんだりすると、歯が「キーン」と痛みます。これは虫歯によるものなのでしょうか?

「虫歯の治療をしたときに、歯に金属の詰め物やかぶせ物をしていませんか? 実はその痛みは、金属間に電流が流れることでおこっており、この電流のことを『ガルバニー電流』や、『ガルバニック電流』といいます。

小学校の理科の実験で、塩酸の水溶液に、銅板と亜鉛版を入れて、中程に豆電球をつけた電線でつなぐと、豆電球が発光するというものがあります。電気を通す液体のなかに、異なる種類の金属を同時に浸すと電気が発生するという実験ですが、同様のことが口のなかでも起こっているということですね」(大橋先生)

私の口のなかは金属の詰め物だらけ。虫歯の治療をしたことがないという友人が、アルミホイルをかんでも痛むことがないといっていたのは、こういう理由があったんですね。

また、歯の詰め物やかぶせ物に、さまざまな種類の金属が使用されていれば、そこでもガルバニー電流は発生するのだとか。つまり、常に電流が流れているということ。......なんだかとても怖くなってきました。

■電流が発生することで、体に影響はないの?

――口の中で電気が発生しているなんて、想像するだけで怖いのですが、実際体に影響はないのでしょうか?

「電流が流れるということは、『イオン化』している、すなわち金属が溶け出しているということ。溶け出した金属は、口の粘膜から体内に吸収されてしまいますから、重金属の体内への蓄積という問題がでてきます。また、溶け出した金属や電流によって刺激され、味覚が変わってしまうという場合もありますね」

――虫歯の治療後、「変な味がするようになった」という話を聞いたことがあります。てっきり、詰め物の味かと思っていましたが、電流の影響もあるんですね。

「そのほか、電流が発生したことの影響による脳や神経系統への影響も問題視されていますが、これは真偽のほどがはっきりとはわかっていません。あるとしても、そこには大きな個人差があるでしょう。

ただ、実際に頭痛や肩こり、歯の痛み、めまい、不眠などの症状を訴えていた患者さんの金属を除去したところ、症状が改善するかなくなったという人もいました。もちろん、これらの症状すべてがガルバニー電流からくるのではありませんが、ガルバニー電流が原因になって、発生している症状もあることが考えられますね」

身近にあるちょっとした「イヤなこと」だと思って調べてみたら、意外と大きな問題につながることがわかりました。もし、金属をつかった歯の治療後、体に不調がでているという人は、ガルバニー電流の影響を疑ってみてはいかがでしょうか。

■ガルバニー電流をおこりにくくする対策は?

――口の中でガルバニー電流をおこさないため、大切なことはありますか?

「体に不調が出ているのであれば、金属はすべて取り除いたほうがいいでしょう。ガルバニー電流にとどまらず、体にあわない金属が口のなかにあると、体調不良の原因になることが多いですね。そのことが原因でおこっている問題であるならば、取り去ってしまえば不調が改善されることも多いんです。

また、治療に使用する金属は同じメーカーのものにし、貴金属(金やプラチナを主材料にしたもの)を使用すること。貴金属が良いのは、ほかのものに比べて圧倒的に溶けにくく、電気が発生しにくいからです」

大橋先生のお話によれば、ガルバニー電流測定器で測ると、同一の金属でも意外と強い電流が流れる場合があるので、「同じ金属だから問題ない」というわけではないのだとか。

また、ノンメタルや貴金属にも、個人個人で合う、合わないという問題があるため、個別の検査が必要だそうです。

ちなみに、銀歯が入っているという人に、どんなときに痛みやピリピリ感などを感じるかを聞いてみたところ、一番は予想通りアルミホイルでした。そのほか、フォークやスプーンなどの金属食器、中には、缶ジュースを口につけただけでも感じるという人も。

なんにせよ、今回のお話で「口に金属が入っていなければ、あの痛みはない!」ということがわかりました。やっぱり重要なのは虫歯予防。私もこれ以上銀歯を増やさないよう、歯を大切にしたいと思います。