◇遠野の歯科医が医療器具の効果報告
口にくわえて顔の筋肉を鍛える医療器具で、睡眠障害や口腔(こうくう)内トラブルが改善されたという調査結果を、「第41回医療功労賞」の全国表彰者で遠野市国民健康保険宮守歯科診療所長の深澤範子さん(62)らがまとめた。深澤さんは「市内の仮設住宅などにも広め、震災被災者の健康づくりにつなげたい」と普及を進める考えだ。
昨年11月から、同市内の22~85歳の男女18人に、1回3分ほどのトレーニングを1日3~4回実施してもらい、12月に効果をアンケートで調べた。使用したのは、板バネが入った特殊なポリエステル製の「Mパタカラ」という医療器具。東京都の医療器具メーカーが開発した。上下の唇と歯の間に挟み、バネの力で表情筋が鍛えられる。
実施前は「睡眠中、トイレで何度も目が覚める」としていた5人がいずれも「改善した」と回答。睡眠障害に一定の効果がみられた。「昼間に眠くなる」としていた7人のうち、3人が効果を感じたという。
また、「ほっぺたや舌を噛(か)むことがある」という7人のうちの5人と、「朝起きた時、口臭が気になる」という6人のうちの4人がそれぞれ改善したと答えた。
このほか、年齢とともに下がるとされる「舌骨」の位置が上がったケースや、食べ物をのみ込む力が強くなった例もあったという。過去の研究では、この器具を使って要介護度が改善された高齢者もいた。
深澤さんは「個人差はあるが、体の機能を正常に戻す効果が見られる」と分析。「噛むことで体も温まるし、美容にも効果があるので、使ってみてほしい」と呼びかけている。