"よくかんで ダイエット" 食べ方改善法

朝バナナに夜トマト、キャベツにニンジン、キムチ納豆・・・。
世の中には、実にたくさんのダイエット方法があり、流行したり廃れたりしています。
中には根拠のないものや、無理をして体を壊すケースもあります。
一体、何が本当なのか?ここに1冊の本があります。

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2006年に日本肥満学会が出した「肥満症治療ガイドライン」です。
この中に、「咀嚼(そしゃく)法」とあるのが、今回取り上げる「よくかんでダイエット」です。

【肥満と早食い】
早食いの人は太るというのは、何となく知ってますよね。本当かどうか、3年前、国が本格的な調査を行いました。すると、肥満の人のうち、食べるのが早い人の割合は、普通の人よりもずいぶん高いことが分かってきました。超早食いだと2倍です。

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では、食べる早さをゆっくりにして、よ くかんで食べればやせるのではないでしょうか?こうした取り組みが、今、全国的に始まっています。

【ある会社の取り組み】
これを社員に実践した会社があります。東京都内の製薬会社です。かむことを基本にした減量プログラム、略して「噛(か)むトレ」と呼ばれています。
プログラムに参加した44歳の男性は、6年前、研究職からデスクワークが中心の部署に異動。動かなくなったことから、体重が急増しました。74キロだった体重が80キロまで増え、それまで着ていたスーツもウエストが入らなくなりました。幼い子どもからも『太ったんじゃない?』と言われ、ダイエットを決意しました。
男性が保健師から指導されたのは、口に食べ物を入れたあと、「箸を置くこと」でした。
それまで、昼のごはんを食べるのにかけていた時間は10分以下。うどんやそばをかき込むこともしばしばでした。箸を置くことで、次々に口にほおばることがなくなり、しっかりかむようになりました。食べる量が減ったほか、食事の傾向も、しっかりかむ野菜などに変わっていきました。
男性は
「今までは、見た感じであれもこれもと箸が出ていたが、しっかりかむことで満腹感を感じるようになった」と話していました。
男性の体重は、3か月で6キロ減少。張り出していたおなかの脂肪が取れ、2年以上たった今も、その体重を維持しています。


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かむことがダイエットにつながるメカニズムです。
かむと、脳内にヒスタミンという物質が分泌されます。この物質が満腹中枢に働いて適度なところで食事を抑えます。
それだけではありません。内臓脂肪の分解を促すことが分かってきました。かめばかむほど、こ うした作用が働いて、減量につながるわけです。
プログラムを作成・実行した会社の保健師によりますと、これまでに90人の社員が取り組み、70%以上が目標の体重をクリアしたということで、「簡単で長く続けられることが、成功に寄与したのではないか」と話していました。

【どうかむ?】
よくかむと体によいということは、誰でも一度は言われたことがあると思いますが、どれぐらいかめばよいのでしょうか?
厚生労働省では、一口当たり「カミング30(サンマル)」と 題して、30回かむことを提唱しています。しかし、毎回数えながら食べるのは苦痛ですよね。実は、厚生労働省は、今、研究費を投じて、どのように実行すればより効果的に減量につながるか、研究を進めているんです。

(1)かむ回数は食事の方法で変わる
鶴見大学の塩澤光一講師は、国の研究班のメンバーとして、 どのようにすればそしゃく回数が増えるか研究を重ねています。まず、「ナイフとフォーク」で食べるのと「フォークだけ」で同じ量のハンバーグを食べるのを比べました。
すると「ナイフとフォーク」で食べたほうが、かむ回数が増えました。
また、同じ量のご飯を 「おにぎり」と「茶わん」で食べて比べてみると、茶わんで食べたほうが、かむ回数が増えました。
2つの実験には共通点があって、茶わんやナイフとフォークで食べたほうが一口の量が少なくなっている一方、一口当たりのかむ回数や速度は余り変わりませんでした。最近、イギリスのオックスフォード大学がチョコレート菓子で行った研究でも同じような結果が出たということです。
塩澤講師は
「かぶりつくよりも、一回、目で見て、どれくらいの量か確認しながら食べていく食事のほうが、たくさんかむことにつながるし、肥満予防などにもつながっていくのではないか」と話しています。


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(2)かむ回数は食事の内容で変わる
しっかりかむにはメニューを変えることが必要だという専門家もいます。栄養学を専門にする女子栄養大学を訪ねました。
食堂のメニューは、よくかむよう工夫がされています。ごはんは、白米ではなく胚芽米。しっかりかまないと飲み込めません。野菜は大きめにカットして、煮すぎず、歯ごたえを大事にします。豚しゃぶの下には、野菜や春雨が敷き詰められています。
食生活の改善でダイエットを行うコースを開いている、この大学の新井麻子講師は「自然とかむ回数が増えるようなメニューや食材を使うほうが、かむ回数が増えるポイントになります。早食いの人は、パンや麺類などの炭水化物や主食のみを食べる人が多いので、野菜とかきのこ、海草類を副菜や付け合わせに加えることが、かむことにつながります」と話していました。

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【記者も実践、すると・・・】
実は、私も早食いでしたので、このダイエット方法を実践してみました。
一口ごとに箸を置いてみると、効果は想像以上で、普通に食べていたNHK食堂の定食が、満腹になって食べきれなくなりました。結果として2週間で体重が1.5キロ減少しました。
よくかんでゆっくり食べるだけですから、特に我慢も無理する必要もありません。今後も続けようと思います(時に、忙しくて早く食べないといけないときもありますが・・・)。

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最後になりますが、こちらは厚生労働省の研究班が作った「早食いタイプ別」の食べ方改善法です。
▽かまないで食べる人・・・かみ応えのあるものを、形が無くなるまでかむ
▽一口の量が多い人・・・丸かじりしない、小さなスプーンを使う
▽次から次に口に入れる人・・・箸を置く


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2012年3月28日 18:17に書いたニュースです。

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