あなたの歯と口、 こんな症状があれば受診が必要 (2012年10月01日 ダイヤモンドオンライン)

「頼れる歯医者さん」発 最新情報【第1回】

「痛い」「怖い」というイメージを持たれがちな歯科治療。歯医者さんに行かなければと思いながら、この程度なら......と、ついつい先延ばしにしている、ということはないだろうか。しかし、見過ごしがちな小さな症状が、思わぬ大きな疾患のサインということもある。大切な永久歯を守るためにも、異常を感じたら、できるだけ早めに受診するよう心掛けたい。

歯科医院に行くきっかけとして最も多いのが、「歯が痛む」「しみる」という症状が出たときだろう。

 真っ先に疑われるのは虫歯。たとえ自分では虫歯が見当たらなくても、実は歯と歯の間や詰め物の下などが虫歯になっていることもある。虫歯は自然治癒することがなく、放置するとどんどん進行して、大切な歯を抜かなければならなくなることもあるので、できるだけ早く治療する必要がある。

 また、痛みの原因には、虫歯以外にも次のようなさまざまな疾患がある。

知覚過敏:歯の表面のエナメル質が傷ついたり削られたりして、象牙質が露出することで発症する。飲食物などの酸によってエナメル質が溶けたり、歯周病で歯茎の位置が下がることも原因の一つ。冷たい物を口にしたり、歯磨きでブラシが患部に当たると、キーンとしみるような鋭い痛みが起きる。

歯髄炎:一般に歯の"神経"といわれる部分が歯髄。虫歯の進行が主な原因だが、打撲・外傷などによる損傷、歯科治療の切削による刺激、強い歯ぎしりなど、さまざまな原因で起きる。進行した歯周病により歯槽骨の吸収が起きた部分の歯茎から、細菌が侵入して発症することもある。歯髄は根管内にあるため、治療が遅れると膿がたまり、激しい痛みとともに歯茎・頬の腫れを起こす。放置すると顎の骨にまで炎症が及び、治療が困難になったり長期に及ぶ治療を要することもある。

 他にも歯周病やかみ合わせのずれ、かみしめや歯ぎしり癖などでも歯痛は起きる。ひどい場合は歯が割れたりひびが入ってしまうこともある。

 さらに、歯そのものには全く異常がないのに、精神的なストレスや、頭痛・肩こりなどから歯痛が起きる場合もある。ときには内臓疾患などによって歯が痛くなることも。このような痛みを関連痛(または連関痛)といい、歯の痛みをきっかけに、思わぬ内科的疾患が見つかることもある。まずは受診してみることだ。

口臭がある

 他人の口臭はもちろん、自分自身の口臭も、とても気になるもの。「お口で気になることは」という問いに、虫歯や歯周病を抑えて「口臭」が第1位であったというアンケート調査結果もあるほどだ。

 慢性鼻炎や喉の炎症など、呼吸器系の疾患が原因となったり、消化器系の病気をはじめとする全身的疾患や、女性のホルモン周期や、臭いの強い食事なども口臭を引き起こすが、口臭の80%以上は、口の中に原因がある。ほとんどが、口内細菌が唾液や血液、上皮の細胞、食べカスなどの含硫アミノ酸を分解・腐敗させることによって起きる臭いだ。

 寝起きや空腹時、また緊張やストレスを感じているときなどは、唾液の分泌量が減って口が渇き、口内細菌が繁殖しやすくなるので口臭が強くなる。舌の表面に付いている白い舌苔も細菌が繁殖しやすく、舌苔が増えると口臭の原因になる。

 口の中の細菌を繁殖させないためには、こまめな歯磨きや水分補給など普段のお手入れはもちろん、セルフケアで防ぎきれないプラーク(歯垢)や歯石など細菌の温床となる汚れは、定期的にプロのクリーニングを受けて除去しよう。細菌感染症である歯周病や虫歯・歯髄炎などの歯科疾患が原因の口臭もある。早期治療が有効だ。

 なお、体調が悪いときや睡眠不足のときなどは免疫力が低下し、口の中の細菌が増えて口臭がきつくなる。生活習慣の見直しや風邪予防を心掛けることは、口臭予防の面からも大切なことである。

かみづらい

 食事の際にかみにくいと感じたり、片方でしかかめない、また口を開けにくかったり、開けると顎が痛む、顎で音がするなどの症状が出たら、かみ合わせの問題や、顎関節症を疑う。

 自分は歯並びがよいからかみ合わせもよいと思うのは間違いで、かみ合わせのずれは、歯や歯茎の状態・上下の歯の当たり方などいろいろな原因で起きる。歯並びがよくてもかみ合わせがよいとは限らないのだ。

 食べ物を十分かめないと胃腸に負担がかかるうえ、かみ合わせや顎関節症は頭痛、肩こり、腰痛のほか、さまざまな不定愁訴を引き起こすこともある。

歯磨き時に
歯茎から出血する

 これは歯周病の典型的な症状。歯周病は「サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)」とも呼ばれるほど、重症化するまで目立った症状が出ないものだが、注意していれば初期や中期にもそれとわかるサインがある。

 これらのサインを見逃すと、歯周病はどんどん進行して、痛みとともに歯茎などから膿が出る、歯がグラグラする、といった大きな症状が出る。この段階は歯周組織の奥深くまで炎症が進んで、歯槽骨や歯根膜などが溶かされている状態だ。

口腔内のトラブルは、全身の健康にさまざまな影響を及ぼすことがわかっており、歯周病も進行すると、血中に侵入した菌が全身に運ばれ、動脈硬化や心血管障害、糖尿病発症の原因の一つになるといわれている。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2012年10月 9日 18:52に書いたニュースです。

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