速く歩く人ほど長生き 自分に合ったウオーキング法を  (2012/10/7 日経新聞)

暑さが和らぎ、体を動かしたくなる季節になった。手軽に始められるウオーキングは有酸素運動でメタボ対策にも役立つが、やみくもにあるくだけでは体への負担が増す。専門家に聞くと、アプローチは様々で正しい歩き方に共通する解があるわけではない。いろいろ試してみて自分に合った歩き方を選びたい。

(1)背筋ピン、かかとで着地

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有酸素運動のウオーキングは脂肪の燃焼や心肺機能の向上に効く。しかし効果を高めるには、速度を意識してエネルギー消費を多くすることも必要だ。正しい姿勢で大股にすることを心がけると自然に速く歩けるようになる。

 埼玉県立大学の藤縄理教授を訪れると、いきなり厳しい口調で指摘された。「歩く前に立つ姿勢がよくない。街を歩く人のほどんどが猫背になっている」。猫背だと筋肉の負担が増し、腰痛や肩こりなどの原因にもなる。

 正しい姿勢は壁を背に立ち、かかととおしり、肩甲骨、後頭部を付ける。腰と壁の間の隙間に手のひらが入るのが目安だ。「おへその下にぐっと力を入れる」と藤縄教授は助言する。猫背だと肩の位置が前に来やすい。

 次に、この姿勢で幅10センチメートルほどの線に沿って歩く。つま先をしっかり上げ、足首がV字になるようにしてかかとから着地し、足の親指で地面を蹴る。太ももの内側からおしりへと、下から上へ筋肉を順番に使う。「普段いかに筋肉を使っていないかが分かる」と藤縄教授はいう。

(2)足を軸に腰を回して

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なぜか正しい姿勢は決まっているが、足の動かし方は研究者によって流儀が違う。次に訪ねたのは、歩き方教室を開催している東京大学の柏キャンパス。スポーツ科学が専門の小林寛道・東大名誉教授の理論によると「大腰筋」を使うのがポイントだという。大腰筋は骨盤を通って背骨と大腿骨を結ぶ太い筋肉で、老化に伴って減りやすく、70歳代では20代の半分になる。

 小林流の足の運び方は独特だ。例えば、左足を踏み出すとき、左側の腰も一緒に前に出すようにする。着地したら足全体に体重を載せ、左足を軸にして右側の腰を回転させながら右足を前に出す。着地した側で片足立ちをすると、体の軸という感覚をつかみやすいという。

 腰を回転させる分だけ歩幅も10センチメートルほど広がる。この歩き方をすると、通常のウオーキングでは鍛えるのが難しい上半身の筋肉を使うほか、体の深いところにある筋肉に働き掛ける。小林名誉教授は「歩きながら、他の動きもこなせる体になる」と話す。

(3)足の前部で着地、忍者歩き

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 「かかとで着地しないのが自然な歩き方」。全日本ウオーキング連合会会長を務める池田克紀・東京学芸大名誉教授は忍者のような不思議な歩き方をして現れた。「足の裏のつま先寄りの前部で着地するのがよい」という。マラソンや短距離走など陸上選手の中には足裏の前部で着地する人もいる。

 かかとから着地する歩き方ではひざが伸びきった状態になる。アスファルトのような硬い路面を歩くとき、着地の衝撃がひざや腰に伝わりやすい。一方、足裏の前部から着地する場合、曲げた膝や足首がクッションの役目を果たすという。最近ははだし感覚をうたった靴底が薄く、地下足袋のようなシューズも人気を集めている。

 今のシューズは靴底に衝撃を吸収しやすい素材を使っており、かかとで着地しても問題ない。しかし、池田名誉教授は「一度、はだしで小石のある道を歩いて筋肉の使い方がまるで違うことを体験し、日々の歩行にその感覚を取り入れてみては」と助言する。

■自分に合う歩き方探して

 いろいろな歩き方があるが、普段使っていない全身の筋肉を動かすという目的は同じ。国立健康・栄養研究所の宮地元彦・健康増進研究部長は「内股やすり足、猫背などはやめて、さっそうと歩くよう心がける」と助言する。ちなみに宮地部長の歩き方は足裏の前部で着地して頭が上下に大きく揺れる。「ゴムまりみたいといわれる」と話す。

 世界中の論文を読んできた経験から「誰にとっても健康維持に効果があるといえる歩き方はない」という。例えば足裏の前部で着地する歩き方は足腰への負担が少ない半面ふくらはぎが疲れやすく、初心者は長く歩くのがつらい。

 ただ歩くペースが速い人ほど長生きで、1日に15分間歩く時間が増えると死亡リスクが2~4%下がるという。「自分に合う歩き方を探し、少しでも速く長く歩こう」と宮地部長は訴える。

(鴻知佳子)


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2012年10月12日 17:37に書いたニュースです。

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