[なっ解く]医療費控除 (2013年1月31日 読売新聞)

申告 対象範囲に注意

 まもなく2012年分の確定申告のシーズン。病気やけがで昨年1年間の医療費がかさんだという人は、医療費控除制度の利用を検討したい。会社員でも申告すれば、税金が戻ってくることがある。
 医療費控除は、多額の医療費を支払った人の税負担を軽減する制度。確定申告で、所得から控除され、払いすぎた分の所得税が還付される。
 控除を受けられる条件は、昨年1年間に、総額10万円か、所得の5%を超えた医療費を支払っていること。自分の費用だけでなく、「生計を一にする親族」も含められる。税理士の谷口誠さんは「配偶者や自分の子どもはもちろん、仕送りをしている遠方の両親などの医療費も対象」と話す。
 還付額の計算は、以下の通り。まず、昨年1年間に支払った医療費から、保険などでカバーされた金額と、条件に掲げた10万円か所得の5%のいずれか少ない方の額を引き、医療費の控除対象額を算出する。前年の所得から、この控除対象額などを差し引いて課税所得を導き出し、さらに所得税率をかけて所得税額を計算する。この所得税額と前年の源泉徴収税額との差額が還付額となる。4人家族で年間の医療費が85万円かかった場合の還付額の計算例=下=を示しておいた。
【還付額の計算例】
・会社員の夫、専業主婦の妻、高校生の長男、中学生の長女の4人家族を想定。年収は500万円(所得346万円、社会保険料や配偶者控除などの「所得控除の額の合計額」196万8630円、源泉徴収税額7万4500円※いずれも源泉徴収票に記載)。年間医療費は4人で85万円(うち保険でカバーされた分は30万円とする)

(1)医療費控除対象額〈A〉は、医療費85万円―保険など30万円―10万円(所得346万円の5%は17万3000円で、10万円の方が少ないため)=45万円
(2)課税所得〈B〉は、所得346万円―所得控除の額の合計額196万8630円―〈A〉=104万1000円(1000円未満切り捨て)
(3)所得税額〈C〉は、〈B〉×5%(所得に応じて5~40%まで6段階に区分されている所得税の速算表による)=5万2050円
(4)還付額は、源泉徴収税額7万4500円―〈C〉=2万2450円
 谷口さんによると、「支払った医療費の額が同じでも、還付額は所得や保険から戻る額などによって違いが出る。夫婦共働きなら、所得の高い人が申告した方が還付額も増えることが多い」という。
 申告の際に気をつけたいのが「医療費」の範囲だ。「一般的に診療や治療に関する費用は対象だが、美容や予防、健康増進に関するものは対象外」と谷口さん。例えば、歯科での支払いで義歯の装着は認められるが、美容のための歯の漂白は認められない。また、電車やバスなどの公共交通機関での通院費用は対象だが、自家用車のガソリン代や病院での駐車場代は対象外。分かりづらいことも多く、「迷ったら、近くの税理士会や税務署で確認してください」と谷口さんは呼びかける。
 今年の確定申告の受付期間は2月18日から3月15日までだが、医療費控除などの還付のみの申告は、すでに始まっている。
 申告書類を手際よく作成するためにはどうすればよいのか。東京税理士会常務理事で広報室長の福本光男さんは「厄介なのは、明細書の記入。領収書をあらかじめ、個人ごと、医療機関ごとに分けておくと楽」と話す。明細書は、個人ごとに受診した病院や医療費の内訳などを記載する用紙。4人分を申告する際、領収書が整理されていないと分類だけで一苦労。「クリアファイルや封筒を使って保管しておけば、紛失も防げます」
 また、領収書のない交通費は申告を忘れがちだが、「通院日や移動区間を記載したメモでも可能」なことを覚えておきたい。

 申告書類は税務署で入手できるが、パソコンがあれば、国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/)の「確定申告特集」を活用すると便利。画面上で記入を済ませ、印刷することが可能だ。

医療費控除を受ける際のポイント

・医療費控除は会社員も確定申告が必要
・自分自身だけでなく、親族の医療費も合算できる
・「医療費」の対象範囲に注意する
・領収書は日頃から、家族ごと、病院ごとにクリアファイルなどで分類しておく
 (谷口さん、福本さんの話を基に作成)

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2013年2月15日 20:05に書いたニュースです。

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