【桜井林太郎】奥歯のかみ合わせが悪いと、動脈硬化につながる可能性があることが、高齢者の健康長寿を研究している大阪大や東京都健康長寿医療センターなどのチームの調査で示された。緑黄色野菜や果物などをあまり食べなくなり、栄養摂取に偏りが出るためらしい。
歯周病が細菌感染や慢性炎症を通じて動脈硬化につながることを示す研究はあるが、歯のかみ合わせ自体が、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中につながる動脈硬化のリスクになることを初めて示した。
研究チームは兵庫県の伊丹市と朝来市に住む70歳の男女300人に対し、歯科検診で奥歯の状態を、超音波検査で動脈硬化かを調査。高血圧や糖尿病、喫煙など動脈硬化のリスク要因と歯周病の影響を取り除いて分析した。
その結果、正常ならば4カ所ある奥歯のかみ合わせが全くない人たちは、すべてある人たちより1・97倍も動脈硬化になりやすいと出た。参加者の食事内容から栄養摂取との関連を調べたところ、かみ合わせが悪いと、緑黄色野菜や果物、魚介類をあまり食べないことが浮かび上がった。
阪大歯学研究科の池辺一典講師は「歯のかみ合わせが悪くても、緑黄色野菜や果物をしっかり食べるとともに、入れ歯の方も含め、かみ合わせ状態を定期的にチェックしてほしい」と助言する。