糖尿病の指標変更に注意を (2012.03.06 医療新世紀)

HbA1c、4月から、日本独自から国際標準へ

健康診断の結果を見ると「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という項目がある。糖尿病の診断や血糖のコントロール状態の把握に使われる指標で、血液検査で得られる。その数値の表記方法を4月から変更すると日本糖尿病学会 が発表した。

従来、国内の医療現場では日本独自の「JDS」という値を使ってきたが、国際標準の「NGSP」を正式な値とする。両者の間には0・4ポイントの差があるため、病状の誤解など混乱も起きかねない。患者と医療側双方に注意が必要だ。
 
グローバル化
 HbA1cは、赤血球の中にあって全身に酸素を運んでいるヘモグロビンの特定部位に、血液中の余分なブドウ糖が結合したもの。全ヘモグロビンに占める割合(%)で示される。
 血糖値は食事や運動によって短時間に変動するが、HbA1cは過去1~2カ月の平均的な血糖値を反映する。数値が高いと慢性的な高血糖を意味するため、血糖値と並んで糖尿病の有力な指標となっている。
 海外では 1990年代に米国で使われ始めたNGSPが広がったが、国内では 別の測定条件に基づくJDSが普及した。ただ、測定精度の違いから、JDSの方が数値が小さくなるずれが生じた。昨年、両者の間の換算式が確定。JDSに原則0・4ポイントを加えた値をNGSPとすることが決まった。

日本糖尿病学会理事長の門脇孝・東京大教授は「ほとんどの国がNGSPを使っている。グローバル化に対応するためNGSPにそろえることにした」と説明する。
 
0・4ポイント上乗せ
 糖尿病の治療法や医薬品の研究開発は国際的な連携や競争が進む。学会は、日本だけ独自のHbA1cを使い続けると、海外からの不信や無視を招いたり、海外の情報を国内で誤って解釈したりしかねないと判断。既に論文や学会発表などの学術分野では事実上、NGSPを使ってきた。
 今回はさらに、病院や診療所など日常の診療でもNGSPを基本とすることを決めた。4月1日からHbA1cによる糖尿病の診断基準は、JDSで「6・1%以上」とされていたものが「6・5%以上」に変わる。また、優、良、可(不十分、不良)、不可の区分で設定されている血糖コントロールの評価指標も、それぞれ0・4ポイント上乗せした値に変更される。
ただし実際の表記については当面、NGSPに加えてJDSも併記し、「HbA1c(NGSP)」「HbA1c(JDS)」のように、どちらの数値かを明示する。

混乱の種
 患者や医療関係者などで構成する日本糖尿病協会理事長の清野裕・関西電力病院長は「患者が自分のHbA1cが悪くなったと勘違いしたり、血糖コントロールの指標が上がることで治療目標が甘くなったと誤解したりしては困る」と話す。
 医療側についても「患者の血糖コントロールが悪化したと間違えると薬の増量につながりかねない」(門脇さん)との懸念がある。
 さらに混乱の種になりそうなのが、中高年を対象とした国の特定健診・特定保健指導、いわゆるメタボ健診では、来年3月31日までJDSだけが使われることだ。情報処理システムに大掛かりな変更が必要なため、今年4月の同時改定が見送られた。
 学会はホームページで市民に対し「一番大切なのは、自分が見ているHbA1cがJDSかNGSPか確認すること」と訴えている。また、ポスターやパンフレットを配布して周知に努めるという。(共同通信 斎藤香織)




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このページは、Uクリニック竹内歯科が2012年4月23日 09:52に書いたニュースです。

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