◆欧州研究
スウェーデン・カロリンスカ研究所のÅsa Neuman氏らは、妊娠初期に喫煙していた母親から出生した子供では、妊娠後期や出生後に喫煙にさらされていなくても4~6歳時のぜんそくや喘鳴(ぜんめい)のリスクが高いことが分かった」と、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」(2012; 186: 1037-1043)に発表した。
◆妊娠後期や生後の喫煙では関連認められず
胎児期や出生直後に母親の喫煙にさらされた子供では、小児期のぜんそくや喘鳴のリスクが高いことが指摘されている。
Neuman氏らは、欧州で集められた8件の出生集団データから2万1,600人以上のデータを登録。喫煙とぜんそく・喘鳴に関する情報は、親へのアンケート調査によって集めた。なお、母親の妊娠中のみで喫煙にさらされた子供は735人だった。
親の学歴とぜんそく歴、子供の性別や出生体重などの影響を除いて解析した結果、妊娠中に母親が喫煙していた子供では、4~6歳時にぜんそくを発症するリスクが1.65倍、喘鳴リスクが1.39倍だった。喫煙時期別に検討すると、妊娠初期(12週まで)の喫煙と子供のぜんそく・喘鳴リスクとの間に関連が認められたが、妊娠後期(25週~出産)や生後1年間の喫煙では認められなかったという。
Neuman氏らは「今回の結果から、妊婦の喫煙が胎児の呼吸器系に与える影響は妊娠初期に始まり、特に妊娠初期の喫煙が学齢前の子供のぜんそくや喘鳴と関連することが認められた。未成年と若い女性に対しては、妊娠前の禁煙を奨励すべきだろう」と指摘している。