糖尿病と歯周病 相関性あり(2013/10/16 中日新聞 朝刊 滋賀)

お元気ですか 〈1274〉 糖尿病と歯周病 相関性あり



(2013年10月16日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】この記事を印刷する
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 世界で最も患者数が多いといわれている細菌感染症の歯周病は、歯茎に炎症を起こし、歯槽骨が溶け、やがて歯が抜けてしまう病気です。むし歯と異なり、痛みがなく進行するため、放置してしまいがちな病気で、沈黙性疾患(サイレントディジーズ)と呼ばれています。40歳以上の日本人は、10人中9人が歯周病というデータもあります。

 糖尿病も自覚症状なく進行する沈黙性疾患です。国際糖尿病連合の調査では、2011年時点で世界の人口約70億人中、糖尿病と推定される人は約3億6600万人といわれています。40歳以上の日本人に限れば、約5人に1人が糖尿病か、あるいはその可能性を否定できない予備軍です。

 厚生労働省のホームページには「歯周病は糖尿病の第6番目の慢性合併症である」と記載されています。歯周病と糖尿病には、どのような関係があるのでしょうか。

 196○年代から、歯周病と糖尿病には相関関係があるのではないか、という論文が発表されてきました。199○年代後半からは、そのメカニズムも次第に明らかになってきました。

 糖尿病になると、歯周組織の微小血管障害、歯周結合組織コラーゲンの代謝異常、唾液の減少、口腔(こうくう)乾燥、体を守る白血球の中でもマクロファージの機能低下が生じ、歯周病が発症し悪化します。糖尿病患者の歯周病発症リスクは、2型糖尿病の場合約2・5倍という報告もあります。

 一方、ジンジバリスなどの歯周病菌の内毒素が、歯肉から血管内に入り込むと、毒素に反応したマクロファージが仲間を呼ぶために、腫瘍壊死因子(TNF−α)を産生します。インスリンが機能し血糖値を下げるためには、細胞表面のインスリン受容体に結合しなければなりません。TNF−αはインスリン受容体を阻害し、インスリンの指令が糖を取り込む細胞に伝わるのを防げます。そのため糖尿病が悪化し、歯周病もさらに重症化するという悪循環に陥ってしまうのです。運動療法や食事療法でなかなか効果が出なかった人が、歯周治療を受けたところ血糖値が劇的に改善された例が多数報告されています。

 歯科と内科の連携がより糖尿病の重症化を防ぐものと思われます。 (米原市、角田和芳=滋賀県歯科医師会)

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