入れ歯と口臭の関係は?
より口臭がきつくなりますか?(60代 男性)
入れ歯はニオイ物質が付きやすく、口臭の原因になりやすいです。
床義歯とは
取り外しができる入れ歯(床義歯=しょうぎし、といいます)は、大きく2種類に分けられます。歯が1本でもあれば部分床義歯、歯が全くなくなったときには全部床義歯を入れます。床義歯はどちらも、人工歯とそれを支えるピンクの床から成り立っています。その床の部分で義歯を口腔内に安定させますが、それに加えて部分床義歯では、クラスプ(金属のバネ)を歯にかけることで、義歯を維持・安定させます。
床義歯のニオイ
歯の表面に歯垢(しこう)がたまるのと同じように、義歯の表面に歯垢がついたように汚れていることがあります。この汚れは悪臭の大きな原因となります。歯垢は目で見て判断できますし、比較的容易に除去できるものです。
これとは別の義歯のニオイがあります。ピンクの床の部分は、口腔粘膜によく馴染むように吸水性にすぐれる素材でできています。そのため、細菌もよく浸み込んでしまいます。この場合、細菌の栄養源としては、唾液成分や新陳代謝ではがれた口腔粘膜上皮などが想定されています。きちんと手入れをせずに、細菌が付いたままの不潔な状態が続くと、悪臭が発生し口臭の原因になります。この汚れは見た目にはなかなかわかりにくいものです。
なかにはカンジダという真菌が付着して取れなくなっていることもあります。この場合、口腔カンジダ症という口内炎を起こしやすくなります。
また、部分床義歯でクラスプのかかっている歯は、その歯の表面やクラスプの部分に歯垢が付きやすく汚れやすいので、それが原因で口臭が発生することがあります。
義歯のニオイの予防法
歯垢のような汚れがつかないように、食後は毎回義歯を洗う必要があります。義歯の表面的な汚れを毎回しっかり取ることによって、義歯自体につく頑固なニオイを予防できます。流水下で、軟らかいブラシを用いて洗って下さい。堅いブラシを使って表面に傷が付くと、かえって細菌が付着しやすくなります。
夜は義歯を外ずして寝ます。夜中は唾液の分泌量が減るものです。そのため就寝中は細菌が増加するといわれています。そのような状態で義歯をしたまま寝てしまうことは、義歯や口腔粘膜が不潔になりやすいのです。入れ歯洗浄剤などの使用も、義歯を清潔に保つために有用です。