ドライマウスは嫌われる
年を取って歯が抜ける原因は主に歯周病。歯ぐきの組織が歯周病菌に侵され、破壊されることで、歯を支えられなくなっていく。歯周病になると歯周ポケットで菌が繁殖するため、口臭も強くなる。国内の潜在患者数は想像以上に多く、軽度の人も含めると「30歳以上の8割」とも言われている。
そう聞くと軽く考えてしまいそうになるが、歯周病の影響は口の中だけに留まらない。歯周病菌が血液の中に入ると、動脈硬化や糖尿病を悪化させる。新潟大学大学院歯学総合研究科の山崎和久教授らによって、血中の歯周病菌がHDL(善玉)コレステロールを減らし、動脈硬化を進めるメカニズムも確認された(PLoS One. 2011; 6(5): e20240)。
50歳を過ぎると「ドライマウス」に悩む人も増える。日本語では口腔乾燥症といい、唾液の分泌量が減ることで文字通り口が乾燥する病気だ。「健康な人は1日1.5リットルの唾液を出すが、重症のドライマウスだと10分の1になってしまうこともある」と斎藤教授。
唾液には抗菌成分が含まれている。それが減ることによって、細菌やウイルスにも感染しやすくなるし、口の中の常在菌が増えて口臭が強くなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなる。ドライマウスがひどくなると舌や粘膜に痛みを感じるようになり、やがて食事を取るのも難しくなるという。
歯周病とドライマウス、両者に共通する症状は口臭が強くなることだ。現代人にとって、口臭は大きな問題だろう。ちなみに、2013年10月にファブレスメーカー事業等を手掛けるブラシナが都市部に住む20~50代の男女600人に「オフィスや職場におけるニオイに対する意識調査」を実施したところ、汗のニオイや加齢臭といった強敵を抑えて口臭はブッチギリの第1位だった。60%以上の人が「気になる」と言っている(グラフ参照)。
オフィスや職場で気になる他人のニオイ(2つまで選択可能)
2013年10月、ブラシナの「オフィスや職場におけるニオイに対する意識調査」より引用