ビタミンDサプリに病気予防効果なし(2013/12/19 ヘルスデージャパン)

ビタミンDサプリに病気予防効果なし(2013.12.19掲載)
ビタミンD値の低下はがんや糖尿病など、さまざまな疾患の原因になると考えられてきたが、実際は逆で、原因ではなく結果である可能性の高いことが示唆され、「The Lancet Diabetes & Endocrinology」オンライン版に12月6日掲載された。

ビタミンDは骨の健康に重要であることが知られるほか、心疾患、自己免疫疾患、糖尿病、がん、パーキンソン病など、数々の疾患でビタミンD値の低下が認められている。現在、米国人の多くがビタミンDサプリメントを使用しているのはこのような知見によるものである。身体が日光に曝露することにより産生されるため「日光ビタミン」とも呼ばれ、卵黄や脂肪の多い魚に含まれるほか、牛乳などの強化食品もある。

フランス、国際予防医学研究所(リヨン)のPhilippe Autier氏らによる今回のレビューは、血液検体からビタミンD値を評価し、数年後のアウトカムを検討した観察研究290件、および被験者の一部にビタミンDを投与した無作為化臨床試験172件を対象としたもの。観察研究ではビタミンDによるベネフィットの可能性が示され、心血管イベント、糖尿病、大腸がんのリスク低減が認められた。しかし、無作為化臨床試験ではビタミンD値の上昇による疾患の発生率や重症度への効果はみられなかった。例外として、1日800 IU(国際単位)のビタミンDを摂取した高齢者には死亡リスクの低減がみられた。

米セント・ジョン病院&メディカルセンター(デトロイト)のShaun Jayakar氏は、この高齢者の所見について、ビタミンDの補充で骨が強化されたことによる転倒や骨折の減少が原因である可能性が高いと述べている。無作為化臨床試験の大部分でビタミンDによるベネフィットが認められなかったことから、著者らは、ビタミンD値の低下が健康状態の悪化をもたらすことはないと結論付け、多くの疾患で生じる炎症がビタミンD欠乏を生じる原因であると推理している。

米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク)のRobert Graham氏によると、現在、ビタミンDに関する大規模な介入試験が5件進められているが、結果が出るのは何年も先で、それまでは「ホメオスタシス(均衡)を保つよう努めるべき」という。Jayakar氏は、ビタミンDサプリはほとんどの人に無害だが、経済面での問題と指摘している。米国人の約50%がビタミンDサプリを使用しており、何のベネフィットもなさそうなものへの支出としては大きいという。なお、今回のレビューから、ビタミンD値の低下が若年者での疾患の指標として利用できる可能性が示唆されることも付け加えている。(HealthDay News 12月5日)

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2013年12月21日 18:12に書いたニュースです。

ひとつ前のニュースは「歯周病、ドライマウスで老化が加速する!?−3(2013/12/19日経トレンディーネット)」です。

次のニュースは「歯周病が原因 カピバラ死ぬ(2013/12/20京都読売新聞)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。