ここまでいくとまずい!グラグラ動く歯の危険なサイン(2014/2/3マイナビウーマン)

ここまでいくとまずい!グラグラ動く歯の危険なサイン「指で押すと歯が上下に動く」「かむと歯が動く」


乳歯は、グラグラと動き出してからすぽっと抜け落ちたものです。では、動く永久歯も放っておくと抜けてしまうのでしょうか? 歯学博士で口腔衛生がご専門の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎医師に伺いました。

■歯を支える骨が溶けている......

「乳歯と永久歯では、歯の揺れの原因は異なります」と、江上医師は次のように説明します。

「成長とともに永久歯が上がってきて、乳歯の根の先に近づくにつれて、乳歯の根が少しずつ溶かされていき、やがて乳歯が抜け落ちます。

ところが、永久歯がグラグラと揺れる原因はこれとはまったく違う現象で、一般的に歯周病がかなり進行している場合が多いんです」

大人の場合、歯が動くのは歯周病のサインなのだとか。どういう状態なのでしょう。
「歯がグラグラと動く状態を不完全脱臼(だっきゅう)と呼びます。歯の根は、歯を支えているあごの骨(歯槽骨・しそうこつ)の中で、骨と歯の間にあるクッションの役割をする組織(歯根膜・しこんまく)を介して結びついています。

かみ合わせるときに大きな力がかかっても、このクッションが力を吸収する役割をするので、健康な歯では、生理的動揺と言って約0.2mmしか動かないのが正常な状態です。

ですが、歯周病は、歯を支えている歯周組織の病気で、進行するにつれて歯を支える骨の密度が低くなり軽石のように粗くなります。歯は、まるで泥沼に浸かるくいのように、グラグラとしてきます」(江上医師)

痛みは出るのでしょうか。

「においがする、硬いものをかみにくい、冷水がしみる、歯肉が減ったところに食べ物が入るなどの症状が出ます。

悪化すると、歯を支える骨の一部が溶け、膿(うみ)の中に歯が浮いている状態になります。こうなると歯は大きく動き、ものをかむどころか、猛烈な痛みに襲われるでしょう。

もう抜歯するしか方法がない、さらに歯の根の手術をしなければならないなど、手遅れになってしまいます。

このとき、指や舌で歯を動かすと骨にダメージを与えます。できるだけ動かさないように気を付けて、歯科を受診することをお勧めします」と江上医師。

歯周病以外でも歯が動き出すことはあるのでしょうか。

「かみ合わせが原因で、右奥や左前など一部の歯に繰り返し力がかかると、グラグラしてくることがあります。

放置すると、食べ物がかめなくなる、異物と感じるようになる、また歯ぐき(歯肉)が腫れてどんどん悪化していきます。

この場合も歯科を受診し、正しいかみ合わせとなるよう歯の形を処置しましょう」(江上医師)

さらに、「次の2つのケースのように歯が動くときは、注意が必要です」と江上医師。

(1)かむと歯が動く
指で動かさなくても、かむだけで動く歯は、歯周病がすでに進行している場合があります。

(2)指で押すと歯が上下に動く
むし歯やかぶせ物がない歯で、上下に指で動く場合は、歯周病が進行している場合があります。

■抜歯後すぐなら、骨に戻せることも

では、スポーツ中のけがや事故などの強い衝撃で歯が抜けた、あるいはグラグラする場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。
「歯全体が抜け落ちた場合は、すぐに抜けた歯を持って歯科で受診して下さい。元の位置に戻せる場合があるからです。特に、抜けてから1日以内であれば、骨に戻せる可能性が高いんです。抜けた歯は、塩水(1%程度)に浸すか、自分の口の中に入れておいて雑菌や乾燥を防ぎましょう。

また、歯の根元の部分に、血液と一緒に赤い組織が付着している場合は、洗い流したり触ったりせず、そのままビニール袋に入れるか、さっきの状態で持参してください。

ただし、元の位置に戻すまでに長い時間が経ったときや、根や歯根膜のダメージが大きいときは神経が死んでしまうので、神経の治療も必要になります」(江上医師)

永久歯がグラグラと動くのは、単に抜けかけなのではなく歯周病がかなり進んでいるサインだということです。とにかく動かしたり無理に抜こうとせずに、歯科へ駆け込みましょう。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年2月 8日 16:17に書いたニュースです。

ひとつ前のニュースは「歯が生える前から着手!歯磨き好きな子どもに育てる"プレ歯磨き作戦"3つ(2014/1/31マイナビニュース)」です。

次のニュースは「かむ力とバランス 歯をグッ、脳が骨格筋動かす(2014/2/4朝日新聞)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。