歯周病の治療法―プラーク除去が原則
進行例では再生療法も
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歯周病とは歯自体の病気ではなく、文字通り歯の周りにある歯周組織の病気。原因はプラーク(歯垢=しこう=)の中で増殖した歯周病菌だ。日本大学歯学部付属歯科病院(東京都)歯周病科の伊藤公一教授に最近の治療法を聞いた。
歯の喪失につながる
歯磨きを怠るとプラーク中の歯周病菌が増えて悪さを始め、歯肉(歯茎)、歯の根の周りのセメント質、歯の土台の骨である歯槽骨、歯の根と歯槽骨との間の歯根膜などの歯周組織の一部か全部に炎症を起こす。これが歯周病だ。
歯周病菌はまず歯肉炎を起こす。初期には痛みがなく、むずがゆい、リンゴをかむと血が出るといった程度で、程なく症状が消える。ここで、治ったと誤解して放っておくとだんだん悪化する。
歯と歯肉との間には溝があるが、歯肉炎で深くなりポケットが形成されると、プラークがその中に入り込み、ブラシで除去しにくくなる。セメント質や歯根膜など深い部分も侵され、さらに進行すると歯槽骨が溶け出して歯がぐらつき、歯を失うことにもなる。
治療はプラークを取り除くプラークコントロールが原則。歯ブラシや糸式ようじ、歯間ブラシなどを用いて行うのが安全で安価、重要な方法だ。
外科手術行うことも
ポケットの中に入り込んだプラークや歯石を取るには専門的な治療が必要。金属製の用具でプラークや歯石を取り除くスケーリングなどを行う。深さが4ミリ以上になると、歯肉を切開してプラークや歯石を取り除き、歯肉を縫い合わせる外科手術が必要になる。
歯槽骨(歯を支える骨)まで進行したケースでは、自分の骨や人工の骨を移植することもある。最近は、再生療法であるGTR法が普及し、健康保険も適用されている。歯根膜には各歯周組織に分化する大本の細胞があり、この治療法はその細胞の増殖を促進させ、各歯周組織を再生させる方法。
歯ぎしりや食いしばりによる外力によってセメント質、歯根膜および歯槽骨が傷つくこともあり、力のコントロールが必要なケースもある。
伊藤教授は「歯周病治療には長期間のメンテナンスが不可欠なので、かかりつけ歯科医を持つことを勧めます」と助言している。