ストレス多い人や神経質な人は顎に注意! 顎関節症
食い縛りや歯ぎしりが原因に
ストレスが多いと心だけでなく、胃や腸などさまざまな内臓にも悪い影響を与えるが、顎の関節にまで及ぶのはご存じだろうか。職場や家庭でストレスを感じやすい人、神経質な性格の人は、歯の食い縛りや歯ぎしりを繰り返し、それが原因で顎(がく)関節症になりやすいという。慶応義塾大学病院(東京都)歯科・口腔(こうくう)外科の和嶋浩一専任講師は「かみしめを和らげるためのセルフケアが大切です」とアドバイスする。
口の開閉で音がする
顎の関節は、両耳の前側に指を当てて口を開け閉めするとよく動く所。咬筋(こうきん)は物をかむときに使う筋肉で、歯をかみしめると頬に小さな力こぶができる部分だ。顎関節症はこの関節や筋肉の周辺が痛む病気で、顎を動かすと痛い、口が開けにくい、口を開け閉めするとき音がする―などが代表的な症状となっている。
顎関節症は、かつては歯のかみ合わせの悪さが原因と考えられていたが、最近では、日常生活で顎に余計に負担をかけてしまう癖や習慣が主な原因といわれている。
日中、歯を食い縛る癖があると咬筋に痛みが起きやすくなり、睡眠中の歯ぎしりがあると顎関節に痛みが生じやすいという。
食い縛りや歯ぎしりは、神経質な性格、職場や家庭でストレスを感じやすい人がしがちで、さらに何らかのきっかけでぐっすり眠れなくなると、いっそう歯の食い縛りや歯ぎしりが強まる。顎にかかる負担がある限界を超えると、顎関節症の症状が表れる。
2~3割は治りにくいタイプ
症状に対する基本的な治療は、関節の痛みなら鎮痛薬を服用したり、痛む動きを避けたりする。筋肉の痛みには、温めてストレッチをし、こわばりをほぐす。
最も重要なのは日常的なセルフケアだ。日中食い縛りやかみしめをしている人は、小まめに顎や肩を意識的に動かして回避するといった方法が効果的という。
また、就寝中の歯ぎしりや食い縛りの原因の一つに、朝自分で起きなければならないと思い緊張して睡眠が浅くなることがあるので、「目覚ましに頼って熟睡するように」と指導するという。
和嶋専任講師は「こうした対応で1カ月以内に半数以上の人が改善します。ただ、2~3割は治りにくいタイプの人がいるので、こうした人は顎関節症の専門医に相談するとよいでしょう」と助言している。