知覚過敏の治療は生活習慣から 歯磨き粉を使用したセルフケアも効果的 (2014/3/13 結城典子先生)

歯磨きや氷入りの飲み物で歯がキーンと「しみる」。冬は水が冷たくて知覚過敏の方には辛い季節です。

 象牙質知覚過敏症(以下、知覚過敏)とは擦過刺激、冷温熱刺激で起こる短時間で一過性の痛みで、象牙質が露出することで起こります。歯の表面はエナメル質で覆われています。その下に象牙質、さらにその中に神経があります。最表層のエナメル質を削っても痛みを感じることはありませんが、エナメル質より深く削ると痛みを感じます。

 一見硬そうな象牙質なのですが、顕微鏡で見ると象牙細管という管状の穴が開いており、穴の中は象牙細管内液という液体に満たされています。諸説ありますが、その液体が動くことにより神経に刺激が伝達して痛みが生じる動水力学説が有力とされています。

 表層がエナメル質に厚く覆われていれば、それがふたになり象牙質に知覚過敏は起こりません。ただ、何らかの形でエナメル質のふたがなくなると、管の一端にある神経を刺激してしみるようになります。

 エナメル質がなくなるのには以下のような原因が考えられます。(1)ストレスによる歯ぎしりや食いしばりなどで強い力が歯にかかり、力の集中する歯の根元がくさび状にへこむ(2)歯ぎしり癖などの強い力でこすり合わせ続けるとエナメル質が物理的に摩耗する(3)炭酸飲料や酢やかんきつ類などエナメル質の脱灰するPH5・5よりも酸性の飲食物の多量摂取で歯の表面が溶ける(4)加齢とともに歯肉が退縮して歯根部や歯頚部(けいぶ)が露出する(5)ブラッシング圧が強く、ごしごし磨きすぎてエナメル質が削れる、などです。

 短期で知覚過敏の「しみる」症状を改善させるのは難しいものです。まずは生活習慣からチェックしましょう。歯ぎしり、食いしばり、強いブラッシング圧、酸っぱい物の飲食などの習慣を見直し、症状が軽度であれば硝酸カリウムや乳酸アルミニウム、CPP-ACPなどが配合された知覚過敏用歯磨き粉を使用したセルフケアも効果的です。

 歯医者での知覚過敏の治療法は小さな削らない処置から大きな処置へとステップを踏んで治療が進みます。(1)象牙細管をふさぐコーティング剤を塗る(2)レジンやセメントなどを詰めて覆う(3)レーザーを当てて神経を鈍麻させる(4)噛んですり減るのを予防するためにマウスピース装着、など。

 いずれでも改善しない場合は最終手段として大きな虫歯の治療と同じように歯の神経を取ることになります。知覚過敏だと思っていたら、実は虫歯であったり歯が割れていたり歯周病が重度に進行していることも。「しみる」サインが本当はどこから来るのか。歯科医院で知覚過敏の治療が必要なのか。迷ったら歯医者さんで「しみる」原因を探ってもらい、長く自分の歯でかめるようにお口の健康を守りましょう。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年3月19日 13:02に書いたニュースです。

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