歯周病菌と関連疾患 (2014/4/17 夕刊フジ)一部改編あり

 歯周病とさまざまな病気に関連性があることがわかってきています。歯や歯肉の血流も元は心臓から血液循環しており、口腔(こうくう)内に菌が増殖すると血流に乗って細菌が全身を駆け巡ります。虫歯や歯周病を引き起こす細菌はいろいろな毒性物質を持っており、それらの悪い成分が健康に影響を与えます。

 (1)糖尿病

 糖尿病になると細菌感染しやすくなります。血糖値が上がると免疫が低下するため、炎症が起きやすく歯周病も悪化します。健康な人に比べ糖尿病の患者さんは、歯周病が急激なスピードで進行しやすいといえます。

 歯周病菌が炎症を起こしたときに生じるサイトカインという炎症物質が血流に乗って肝臓や内臓脂肪を刺激し体内のインスリンの働きを低下させます。

 (2)心筋梗塞・脳梗塞

 狭くなった血管にできる血栓に歯周病菌や歯周病菌の出す毒素が関与している疑いがあります。

 心臓、脳などの狭くなった血管に血栓ができ、それがはがれて血管が詰まり心筋梗塞や脳梗塞をひき起こす原因となると考えられています。

 (3)誤嚥(ごえん)性肺炎

 お年寄りなど、飲み込む嚥下(えんげ)反射や吐き出す咳(せき)反射が弱い場合、歯周病原細菌と唾液を誤って肺や気管支に入り込み肺で炎症をおこします。

 (4)ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病

 歯周病の直接原因は磨き残し汚れのプラークですが、歯周病の発症や進行に喫煙が大きな危険因子になるとされています。1日の喫煙本数や喫煙歴と歯周組織の破壊程度が相関すること、非喫煙者と比較して喫煙者は歯周病が進行しやすいことがわかっています。

 ニコチンの血管収縮作用により血流量が低下し細菌から歯を守る歯肉溝浸出液量が低下します。血行が悪いため歯周病が重度に進行しているわりには歯肉からの出血、はれが軽度に見え炎症を起こしているかどうか分かりにくくなります。

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 歯周病菌との因果関係が明らかなもの以外にも、関与の程度に違いがあるものや解明がまだ十分でないものもありますが、全身の健康のためにも引き金となる歯周病菌の除去が大切です。病気の予防は口の中を清潔にすることから。菌が全身に拡散しないためにもセルフケアと定期健診、歯石除去でお口の清潔と健康を心がけましょう。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年4月18日 10:03に書いたニュースです。

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