唇の両端に炎症起こす「口角炎」、ビタミン不足も原因
せっけんで洗い清潔に
唇の両端が荒れる口角炎は、日常でよく見られる症状の一つ。重い病気に発展する可能性は低いものの、口が開けづらいほか、見た目が悪くなるため悩んでいる人は少なくない。口角炎に詳しいお茶ノ水真菌アレルギー研究所(東京都)の比留間政太郎所長(皮膚科)は、細菌や真菌(カビ)、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、ビタミン不足などを原因に挙げ、予防には「せっけんで唇の端を丁寧に洗い、清潔を保つことが第一」としている。
口紅やリップクリームでも
口角炎は、唇の端(口角)の皮膚や粘膜に炎症が生じ、亀裂やかさぶたができる病気。比留間所長は「原因はさまざま。黄色ブドウ球菌や真菌のカンジダの感染をはじめ、入れ歯などの刺激、ビタミンB2を中心としたビタミン欠乏、栄養障害、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎といった皮膚疾患、口紅やリップクリームなどでも起こります」と説明する。
ストレスが多いとビタミン欠乏になりやすく、栄養障害は貧血、糖尿病、がんの末期やエイズの人に起こりやすいという。
「発症すると、口を大きく開けると痛むので日常生活に大変支障を来します。女性では美容上の問題で悩む人もいます」(比留間所長)
治療はせっけん+ワセリン
口の端の炎症など大したことはないと放置していると、他の病気を見逃す危険性もある。症状を自覚したときは皮膚科を受診するとよい。
「治療は原因によって異なりますが、症状が軽い場合は患部をせっけんで洗って清潔に保ち、ワセリンで粘膜と皮膚を保護するのが基本です。それとともに菌の検査を受け、感染の有無を調べてもらうべきです」(比留間所長)
原因が黄色ブドウ球菌など細菌の場合は、抗生物質の塗り薬を使う。カンジダなどの真菌性では、抗真菌薬の塗り薬が有効だ。
予防するには、入浴時にせっけんで口の両端を丁寧に洗って清潔に保つのが第一。また、「入れ歯を外すと唇にシワができるような高齢者は、口がへの字に曲がり、口の両端にたまった唾液の刺激で炎症を起こしやすいので注意してください」と比留間所長は付け加えている。