舌が勝手に回り、口から露出 (2014/4/17 福井新聞)

舌が勝手に回り、口から露出 ふくいのドクター相談室

(2014年4月17日午後0時50分)

 7、8年前から口部ジスキネジーという病気にかかり、神経内科と精神科に通っています。1カ月ほど前から症状がひどくなり、1日中舌が勝手に回転し、常に口から半分出ている状態です。ずっと体中がしびれて痛み、特に両手の小指と右のおしりの筋肉がひどく、立っていられない時があります。(福井市、66歳女性)

 【お答えします】濱野忠則・福井大医学部神経内科准教授

 ストレスが悪化の原因

 舌が勝手に回転し、常に口から出る「口部ジスキネジー」は、唇、下あごにみられる不随意運動(勝手に動く)の一種です。咀嚼(そしゃく)、舌を膨らませたり突き出したり、舌打ち、舌なめずりを繰り返し、精神的ストレスで悪化します。

 「薬剤性」の口部ジスキネジーは、抗精神病薬や抗うつ薬、抗パーキンソン病薬によるものが有名です。高齢者に多い「特発性」口部ジスキネジーは、入れ歯の不具合や口内炎で誘発されます。いずれも大脳基底核の神経伝達物質ドーパミンの乱れが原因とされています。

 通常は、「薬剤性」の口部ジスキネジーを否定するため、悪化の直前に加わった薬がないかを確認します。もしある場合は、処方した医師と相談の上で薬の減量、中止により、ある程度改善が期待できます。また、頭部のMRI(磁気共鳴画像装置)検査で大脳基底核を中心とした脳梗塞などがないか確認する場合もあります。

 口部ジスキネジーの治療薬として、ハロペリドール、スルピリド、チアプリド、クロナゼパムなどが用いられます。特にハロペリドールが有効な場合が多いです。

 ただ、効きすぎると体の動きが鈍くなり、表情が乏しくなる「パーキンソニズム」が出現する場合があり、ごく少量から始める必要があります。なお、ジスキネジーを止めるはずの薬で、かえって症状が強くなる場合もあります。

 症状を受け入れ、軽減目標に

 両手の小指と右おしりを中心としたしびれ、痛みに関しては、口部ジスキネジーとの直接の関係は不明です。肘部管(ちゅうぶかん)症候群や頸椎(けいつい)症などが関係するかもしれません。右のおしりの痛みは、座骨神経痛かもしれません。神経学的な診察とともに、頸椎、腰椎のエックス線検査、MRI撮影で原因が特定できる可能性があります。

 ジスキネジーも、しびれもストレスが悪化の原因となります。これらを受け入れるとともに、完全に症状をなくすのではなく、支障のない程度に軽減することを目標にしてはいかがでしょうか。規則正しい生活や禁煙に努めると理想的ですね。


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年4月22日 16:29に書いたニュースです。

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