脳の活性化も「よくかむ習慣」の様々な効用-2(2014/5/3 日本経済新聞)

脳の活性化も 「よくかむ習慣」の様々な効用 

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2014/5/3付

■記憶力も左右

 かむことの効果がとくに大きいのが高齢者だ。神奈川歯科大学などの研究チームによる調査では、2分間ガムをかんで記憶力に関する調査を実施したところ、60~76歳の高齢者では約2割で記憶力が顕著に上がった。若者はそれほど変わらなかった。様々な器官から刺激を受ける子どもや若者よりも、高齢者は口から受ける刺激が大きいと見られる。

 高齢になるとかむ力が衰えるが、神経質にならなくていいそうだ。日本歯科大学教授で同大の口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武さんは「巧みに口の中を動かせるかがより大事」と話す。

 固いものを強くかみすぎると、顎関節症や歯の破折が起きて逆効果になることもある。かむことは咀嚼(そしゃく)という口全体の運動の一部。かんだ食べ物に舌をからめたり、頬を動かしたりしながら食べ物を口の中でまぜる――。高齢になるほど一連の動きをなめらかにできるかがポイントとなる。入れ歯にするとかみにくくなるが、慣れれば、かみ方を工夫できるようになる。

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 歯科医に行けば、ガムなどを使って咀嚼能力を判定してくれる。まず自分の咀嚼力やどういった部分が衰えているのかを知っておきたい。そのうえで菊谷さんは、家でも舌や頬を動かすトレーニングをすることを勧める。いつまでもおいしく食べ物を味わうには、日ごろからの鍛錬も欠かせないということか。

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■精神面にもプラスの効果

 高齢者では、食べ物をよくかめなくなることで引きこもりがちになったり、体調を悪化させたりするケースも多い。神奈川歯科大学の木本克彦教授は「食事を通して人とコミュニケーションを取ることはとても大事。社会参加できるようになり、認知症の予防効果も期待できる」と話す。

 しっかりかめることが栄養面だけでなく、精神面でもプラスに働くことはほぼ間違いないようだ。木本教授は「かめないとあきらめるのではなく、義歯などをしっかり活用してほしい」と訴える。現時点でかむことと認知症予防の直接の関係ははっきり解明されていないが、今後一段と研究が進みそうだ。


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年5月 9日 15:36に書いたニュースです。

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