糖類の摂取量目安、従来の半分に WHOが指針案
1日25グラム、缶ジュース1本分
- 2014/5/11付
甘い物につい手が伸びる。そんな人がドキッとする指針案を世界保健機関(WHO)がこのほど発表した。1日の糖類摂取を総カロリー量の5%未満に抑えるよう勧める内容。平均的な大人なら、甘い清涼飲料水約1本でこの値に達してしまうこともある。「達成できない」という声が圧倒的だと思われるが、これを機に過剰にならない糖類摂取の基本を押さえておきたい。
都内に住む会社員Aさんは毎朝、通勤途中の駅の売店で清涼飲料水を買って一気に飲み干す。営業で外出した際も一息つきたいと思ったときは、自動販売機に足を向ける。
Aさんの習慣は3月発表のWHOの指針案では基準オーバーになる。砂糖などの糖類を1日の総摂取カロリー量の5%未満にするというのは、平均的な大人だと砂糖で約25グラム、ティースプーン6杯分だ。一般的な甘い清涼飲料水には全量の約10%に相当する糖類が含まれている。250ミリリットルなら約25グラムで、それだけで基準に達してしまう。
■飲料・菓子類が対象
WHOは以前から「10%まで」を推奨してきたが、今回はこれを残しながら半分に減らす案を示した。世界的に増えている肥満や虫歯などの予防効果が高まることがわかったとして数値を厳しくした。日本人の砂糖摂取量についてはっきりした数字はないが、各種の統計などから1日に70グラム程度を摂取しているとみられる。
WHOがいう糖類とは、主に単糖類といわれるブドウ糖や果糖、2糖類のショ糖(砂糖)で、これらを多く含む飲料や菓子類などが対象となる。コメなどの炭水化物や野菜類のでんぷんなどからの摂取分などは考えなくてよい。「WHOは炭水化物の摂取量を制限する食事などにも触れていない」と帝京大学の山内俊一教授は解説する。
新指針案を守るのは厳しいと見る向きが多いが、女子栄養大学の山田和彦教授は「糖類を多く取る人は結果的にたくさん食べていることが多く、総カロリー量を押し上げやすい。飲料を食事代わりにしてしまうと栄養も偏りやすいので注意すべきだという意味ととらえるのがよい」と説明する。
糖類は脳をはじめとする臓器のエネルギー源として欠かせない。リラックス効果をもたらすことも知られている。イライラしたときに甘い物を口にすると落ち着いたという経験は多くの人が持っているだろう。