特別講演 口内細菌、歯科医で除去 (2014/9/4 読売新聞)

歯周病は35~40歳から急激に増えます。歯周病は感染症で、原因となる細菌が何種類かいると考えられています。歯と歯茎の境目を舌でなめて、ぬるっとしたところがあれば細菌です。細菌が増えると歯茎に炎症が起きます。すると、普段は約1ミリの深さの歯と歯茎の隙間にポケットができます。ポケットが2、3ミリと大きくなり、細菌がたまりやすくなります。歯周病を起こす細菌は酸素が苦手で、ポケットの中は増えやすい環境です。やがて歯を支える骨が溶けていきます。

 歯周病菌は夫婦や親子間でうつります。ただ、細菌がいるからといって、すぐに悪くならないと言われています。加齢や糖尿病、肥満、喫煙、歯ぎしりなどの要因が組み合わさると、歯周病になりやすく、悪化しやすくなります。

 体調が悪いと歯茎が腫れる方がいますが、これは異物を食べて感染を防ぐ白血球の働きが落ちるためです。免疫力が落ちると、普段はおとなしくしている細菌が悪さをするのです。このため、体調が悪いと歯周病になりやすくなります。ストレスも免疫力を弱めると考えられています。

 たばこも要因です。たばこは口腔がんのリスクも高めます。これは直接、口の中に何百という有害物質が入るためです。

 さらに、糖尿病などのメタボリックシンドロームとの関係が深い。メタボリックシンドロームとは内臓脂肪型肥満、高血糖、高血圧、脂質異常症などです。歯周病菌は全身に影響することがわかってきています。糖尿病のほか、細菌性心内膜炎や動脈硬化、低体重児出産、関節リウマチ、誤嚥ごえん性の肺炎、ぜんそくが歯周病と関わっているのです。

 糖尿病の患者さんは歯周病になりやすく、治りにくい。一方、歯周病がある患者さんが実は糖尿病だったことがあります。歯周病と糖尿病の両方向の関係があるのです。

 歯周病と糖尿病を持つ患者さんで歯周病治療をすると、内科医が薬を出したのと同じぐらいヘモグロビンA1cの値が下がることがあります。まず口の中をチェックし、歯周病があれば治療することで糖尿病をよくすることができるかもしれないと言われています。

 歯周病は、普段からブラッシング力を高めて歯磨きをきちんとすることで、かなり予防できます。ですが、いったん深いポケットができると歯磨きだけでは歯周病菌を取りきれないので、歯科医の出番になります。悪い所がなければ歯科医院でプロに機械を使って定期的にクリーニングしてもらうとよいと思います。先端がゴム製の機器で、研磨剤を使って行います。これは意外と気持ちがいいです。

 自分で磨く際、歯ブラシはヘッドが小さめのシンプルなものがおすすめです。毛先を歯面に直角に当て、丁寧に磨くことです。歯ブラシで届かないところは、デンタルフロスや糸ようじを使うと効果的です。歯周病で歯茎が下がったり、上がったりして隙間が大きい場合は、歯間ブラシを有効に使うことが大切です。細菌は唾液にもたくさんいますし、舌の上の舌苔(ぜったい)も細菌です。ほおの粘膜にもたくさんついています。デンタルリンスを併用すると、歯周病になる頻度が下がるというデータが出ています。

 100%きれいに磨くことは簡単ではありません。ですので、毎日のブラッシング力をつけることが大事です。さらに、相性のいいかかりつけ歯科医をぜひ見つけていただき、プロの目でチェックしてもらうことが大切です。


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年9月 5日 17:15に書いたニュースです。

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