「痛くしない」「大きく口開かせて」
幼い子どもが自分で歯磨きをした後、保護者が行う「仕上げ磨き」。磨き残しを解消するのが目的なのに、しっかりと磨けていないこともある。虫歯予防のためにも、コツをつかんで磨いてやりたい。
公益財団法人ライオン歯科衛生研究所(東京都墨田区)の歯科衛生士、河村有美子さんによると、虫歯の原因となる
では、どのように磨けばいいのか。〈1〉は、中央の前歯2本の間の真上に「上唇小帯」という筋があり、歯ブラシが当たるのを子どもが嫌がってしっかり磨けない場合がある。写真《1》のように歯と歯茎の境目が見えるようにし、歯ブラシを持っていない方の人さし指の腹で上唇小帯を隠し、歯ブラシを横に動かせば、筋に触れずに磨ける。よく見える部分だからといって「磨けている。歯垢はついていない」と過信しないことが大事だ。
〈2〉は歯の表面がでこぼこしていて、歯ブラシが当たりにくい。写真《2》のように歯ブラシが奥にある状態から、手前にかき出すことを意識して磨くと、溝の汚れを落としやすい。
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このほかにも歯垢がつきやすいところはあり、その多くは頬と接している歯の外側部分全般だという。
幼い子どもの場合、乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く、虫歯の進行が速い。生えたばかりの永久歯も酸に対する抵抗力が弱く、虫歯になりやすい。河村さんは「歯垢はベタベタと歯に付いているので、簡単には取れない。歯ブラシを小刻みに動かしてしっかり磨いてやることが大切。その上で、2か月に1回は歯科医院でチェックしてもらうのが理想的」と話す。
その上で、大人が磨いてやる際に気をつけることは「痛くしないこと」と「口を大きく開けさせること」だという。「歯磨きが楽しければ子どもも嫌がらず、協力関係を築きやすいし、口を大きく開けられれば、普段目に付かない部分もよく磨ける」と吉田さんはアドバイスしている。
仕上げ磨きのポイント
(ライオン歯科衛生研究所の話を基に作成)
・理想は朝、昼、晩の食後3回磨く。特に就寝前は丁寧に。就寝時は、唾液の分泌が少なくなり、口の中の自浄作用が低下。細菌が繁殖しやすい
・歯ブラシの毛先を、歯と歯肉の境目、歯間にきちんと当てる。毛先が広がらない程度の軽い力で磨く。基本は歯ブラシを横にして磨くが、毛先が当たりにくい所は縦にして当てる
・親がひざ立ちをして、脇で子どもの頭を支えながら磨く=イラスト=と