メークを口腔ケアに 資生堂が高齢者施設で教室(2014/8/30 中日新聞)

メークを口腔ケアに 資生堂が高齢者施設で教室

資生堂のビューティーセラピストの動きに合わせて、うれしそうに頬紅を入れる入所者ら=東京都板橋区のケアタウン成増で

写真

 メーキャップを口腔(こうくう)ケアの入り口に-。高齢になると、顔の筋肉の動きが悪くなり、食べ物をかんでのみ込んだり、話したり笑ったりする動作がしづらくなる。女性の気持ちを明るくする化粧から、口の機能を取り戻し、高めようとする取り組みが始まっている。

 東京都板橋区の特別養護老人ホーム「ケアタウン成増」。資生堂の化粧療法プログラム「いきいき美容教室」が開かれ、七十~九十代の入居者十二人が、スキンケアとメーキャップを習った。

 指先や腕を動かす準備体操をした後、鏡を置いて、お手入れ開始。手や顔を拭き、クリームで下地を整えた。「スールスール、ポンポンポン」。ビューティーセラピストの掛け声に合わせて、パフでファンデーションを肌にのせていく。

 眉毛を描き、頬紅をつけ、口紅をひくなど、メークが進むにつれて、華やかな笑顔でいっぱいに。「きれいね」「お似合いよ」。参加者は、鏡の中の自分をのぞきこんだり、ほめ合ったりして、楽しそうにひとときを過ごした。

 この施設では七月から、プログラムを導入した。介護福祉士の村上まみ子さんは「施設に入ると、鏡を見て自分に向き合う時間がなくなってしまいがち。肩や腕が上がるようになるなど、秘められた力が引き出されて、介護する側も驚いています」と話す。

 化粧療法に関しては、これまでもさまざまな効果が報告されている。具体的には▽気持ちが明るく前向きになった▽身だしなみに気を使うようになった▽自らおむつを外した▽握力や腕の筋力が戻り一人で食事ができるようになった▽トイレの介助が軽減された-など、日常生活が変化することもあるという。

 資生堂は、認知症や老人性抑うつの予防に効果が期待できるとして、二〇一一年からプログラムを提供してきた。よだれがおさまった事例から、口腔機能への影響にも着目。歯科衛生士と共同で研究を始めた。

 同社がプログラムを実施する老人ホームで調べたところ、唾液の分泌やのみ込む機能、言葉を話す機能が向上。「顔や首をマッサージし、化粧で会話が増えたため」と分析する。他にも、食欲が増し食事の際の姿勢が良くなったり、入れ歯を作ったりした例も。口の中を見られることに、抵抗がなくなったお年寄りもいた。

 同社事業企画部の池山和幸さんは「口腔ケアは、高齢者に多い誤嚥(ごえん)性肺炎の予防に大切。女性の生活に深く根付いている化粧からのアプローチも有効で、口腔機能のリハビリにつながると考えている」と話した。


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年8月30日 15:24に書いたニュースです。

ひとつ前のニュースは「赤ちゃんの歯の「まだ生えてこない...」は何ヶ月まで安心? (2014/8/27 アメーバニュース)」です。

次のニュースは「歯磨き 親がしっかり仕上げ 一部改編(2014/8/29 読売新聞)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。