2014年8月アーカイブ

(PR TIMES) - リリース発行企業:株式会社主婦の友社 

株式会社主婦の友社は、8月26日(火)、介護の現場でも使われているスプーンとフォークを付録にした「スプーン&フォークつき シニアのおいしい健康レシピ」(http://amzn.to/1pjnjDO)を刊行いたしました。

 年齢を重ねるとかむ力や飲み込む力、口の中の状態が変化していきます。本書は、「口腔」のトップランナーである菊谷武先生が開発した、施設・病院でも実際に使われているスプーンとフォークが付録。また、口腔の変化に伴い、食べやすさや食べ方、栄養に考慮し、3世代が満足できるレシピを収録しています。そのほかにも、どのように食事を工夫したらいいのか、知っておきたい口腔エイジングなどを、わかりやすく解説しています。


新聞でも紹介!「本当のひと口」がわかる注目のスプーン&フォーク!
 付録のスプーンとフォークは、年齢を問わずふだん使いにもオススメで、「かむ、飲み込む」をスムーズにするような工夫を施しています。

【スプーン】


口に入れやすい幅
手前が深く、奥が浅いので口からの出し入れがスムーズ
口の左右、真ん中とどこから入ってもたべやすい
持ちやすいグリップ、緩やかなカーブの柄
清潔なステンレス仕様

 
【フォーク】


めん類が絡みやすい設計の先端
先端は丸く、口に入れるのにちょうどいい大きさ・長さ
持ちやすいグリップ、緩やかなカーブの柄
清潔なステンレス仕様

 


50代でも気づかないうちに衰えが・・・
 年を重ねると個人差はありますが、誰でも体が変化します。口腔の変化では、歯周病で歯がぐらぐらしたり、歯ぐきがはれたりします。また、のどの乾きを感じにくくなり、食べ物の飲み込みが悪くなったりもします。このように、シニアになると若いときのような食べ方ができなくなります。

  <いつまでも元気でいるために!50代からチェック!>
   ☑ いつも使っているスプーンは、大きすぎないか
   ☑ 一度に口に入れる量が多すぎないか
   ☑ 食事中にむせることがある
   ☑ 食事がのどにつかえることがある
   ☑ 「噛みごたえがないとおいしくない」「この食材はこの調理法」など、思い込みはないか


トラブル解決!食べやすくしただけで元気も若さも復活!
 口腔内も体と同じように衰えていくもの。そこで、少しの手間を加えることで食生活が大きく違ってきます。本書では、レシピのほかにも知っておきたい口腔エイジングやトラブルの予防策を紹介。トラブル予防のためにも、自分の咀嚼力、嚥下力を把握することが大切です。また、かむ、飲み込むが楽になる調理法も掲載。
 「口から食べること」は、意識レベルを向上させたり脳の活性化にもつながるので、自身の口腔状態を知り、トラブルを予防することが重要です。


3世代みんなが大満足のレシピ!
 本誌で紹介するレシピは食べやすさやエイジングを考慮しつつ、3世代そろって食べていただけます。
また主菜、副菜、スープ&デザートを紹介、各レシピには「食べやすくするポイント」つき! 家族みんなが楽しめるように4人分のレシピで掲載しています。

●主菜

●スープ

●デザート


■監修は、摂食・嚥下機能など「口腔」のトップランナー!


菊谷 武(きくたに たけし)

日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長
東京・飯田橋の日本歯科大学で口腔リハビリテーションの外来を経て、2012年から東京都小金井市で口腔リハビリテーションを目的とした専門クリニックを開設。世界初で唯一の口腔専門のリハビリテーションクリニックで、外来、訪問介護にも力を注ぐ。


【書籍紹介】


「スプーン&フォークつき シニアのおいしい健康レシピ」

監修:菊谷武
価格:本体1500円+税
ISBN:978-4-07-297253-3
発売日:2014年8月26日
全国の書店・ネット書店で発売
amazon http://amzn.to/1pjnjDO


本件に関するお問い合わせ先
株式会社主婦の友社 広報宣伝課 TEL:03-5280-7577 FAX:03-5280-7578 pr@shufutomo.com

PR TIMESプレスリリース詳細へ

歯磨き 親がしっかり仕上げ 一部改編(2014/8/29 読売新聞)

「痛くしない」「大きく口開かせて」

 幼い子どもが自分で歯磨きをした後、保護者が行う「仕上げ磨き」。磨き残しを解消するのが目的なのに、しっかりと磨けていないこともある。虫歯予防のためにも、コツをつかんで磨いてやりたい。

 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所(東京都墨田区)の歯科衛生士、河村有美子さんによると、虫歯の原因となる歯垢しこうが特に残りやすいのは、〈1〉上の前歯の歯間〈2〉上下の奥歯の、かみ合わせの面にある溝〈3〉上下の奥歯の歯間、の3か所。「歯磨きをしていても、これらの部分は、歯ブラシの毛先がしっかり当たっていないことが多い」と河村さんは指摘する。

 では、どのように磨けばいいのか。〈1〉は、中央の前歯2本の間の真上に「上唇小帯」という筋があり、歯ブラシが当たるのを子どもが嫌がってしっかり磨けない場合がある。写真《1》のように歯と歯茎の境目が見えるようにし、歯ブラシを持っていない方の人さし指の腹で上唇小帯を隠し、歯ブラシを横に動かせば、筋に触れずに磨ける。よく見える部分だからといって「磨けている。歯垢はついていない」と過信しないことが大事だ。

 〈2〉は歯の表面がでこぼこしていて、歯ブラシが当たりにくい。写真《2》のように歯ブラシが奥にある状態から、手前にかき出すことを意識して磨くと、溝の汚れを落としやすい。

 このほかにも歯垢がつきやすいところはあり、その多くは頬と接している歯の外側部分全般だという。

 幼い子どもの場合、乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く、虫歯の進行が速い。生えたばかりの永久歯も酸に対する抵抗力が弱く、虫歯になりやすい。河村さんは「歯垢はベタベタと歯に付いているので、簡単には取れない。歯ブラシを小刻みに動かしてしっかり磨いてやることが大切。その上で、2か月に1回は歯科医院でチェックしてもらうのが理想的」と話す。

 その上で、大人が磨いてやる際に気をつけることは「痛くしないこと」と「口を大きく開けさせること」だという。「歯磨きが楽しければ子どもも嫌がらず、協力関係を築きやすいし、口を大きく開けられれば、普段目に付かない部分もよく磨ける」と吉田さんはアドバイスしている。

仕上げ磨きのポイント

  (ライオン歯科衛生研究所の話を基に作成)

 ・理想は朝、昼、晩の食後3回磨く。特に就寝前は丁寧に。就寝時は、唾液の分泌が少なくなり、口の中の自浄作用が低下。細菌が繁殖しやすい

 ・歯ブラシの毛先を、歯と歯肉の境目、歯間にきちんと当てる。毛先が広がらない程度の軽い力で磨く。基本は歯ブラシを横にして磨くが、毛先が当たりにくい所は縦にして当てる

 ・親がひざ立ちをして、脇で子どもの頭を支えながら磨く=イラスト=と

メークを口腔ケアに 資生堂が高齢者施設で教室

資生堂のビューティーセラピストの動きに合わせて、うれしそうに頬紅を入れる入所者ら=東京都板橋区のケアタウン成増で

写真

 メーキャップを口腔(こうくう)ケアの入り口に-。高齢になると、顔の筋肉の動きが悪くなり、食べ物をかんでのみ込んだり、話したり笑ったりする動作がしづらくなる。女性の気持ちを明るくする化粧から、口の機能を取り戻し、高めようとする取り組みが始まっている。

 東京都板橋区の特別養護老人ホーム「ケアタウン成増」。資生堂の化粧療法プログラム「いきいき美容教室」が開かれ、七十~九十代の入居者十二人が、スキンケアとメーキャップを習った。

 指先や腕を動かす準備体操をした後、鏡を置いて、お手入れ開始。手や顔を拭き、クリームで下地を整えた。「スールスール、ポンポンポン」。ビューティーセラピストの掛け声に合わせて、パフでファンデーションを肌にのせていく。

 眉毛を描き、頬紅をつけ、口紅をひくなど、メークが進むにつれて、華やかな笑顔でいっぱいに。「きれいね」「お似合いよ」。参加者は、鏡の中の自分をのぞきこんだり、ほめ合ったりして、楽しそうにひとときを過ごした。

 この施設では七月から、プログラムを導入した。介護福祉士の村上まみ子さんは「施設に入ると、鏡を見て自分に向き合う時間がなくなってしまいがち。肩や腕が上がるようになるなど、秘められた力が引き出されて、介護する側も驚いています」と話す。

 化粧療法に関しては、これまでもさまざまな効果が報告されている。具体的には▽気持ちが明るく前向きになった▽身だしなみに気を使うようになった▽自らおむつを外した▽握力や腕の筋力が戻り一人で食事ができるようになった▽トイレの介助が軽減された-など、日常生活が変化することもあるという。

 資生堂は、認知症や老人性抑うつの予防に効果が期待できるとして、二〇一一年からプログラムを提供してきた。よだれがおさまった事例から、口腔機能への影響にも着目。歯科衛生士と共同で研究を始めた。

 同社がプログラムを実施する老人ホームで調べたところ、唾液の分泌やのみ込む機能、言葉を話す機能が向上。「顔や首をマッサージし、化粧で会話が増えたため」と分析する。他にも、食欲が増し食事の際の姿勢が良くなったり、入れ歯を作ったりした例も。口の中を見られることに、抵抗がなくなったお年寄りもいた。

 同社事業企画部の池山和幸さんは「口腔ケアは、高齢者に多い誤嚥(ごえん)性肺炎の予防に大切。女性の生活に深く根付いている化粧からのアプローチも有効で、口腔機能のリハビリにつながると考えている」と話した。



子育てをしていると、心配になるのが周りのお友達との成長の差だったりしますよね。寝返りした、おすわりした、歩き始めた......という周りの声に、ウチの子はまだだけど大丈夫なのかしら?と初めての子育ては不安がいっぱいです。
そこで今回は、筆者が普段の診療の中でママたちから質問されることの特に多い「赤ちゃんの歯の生え方」について取り上げてみたいと思います。

■赤ちゃんの歯はいつからどの順に生えてくるの?
"歯がなかなか生えてこない"と不安になるママも多いと思いますが、実は歯の生える時期や順序は非常に"個人差"が大きいんです。生える時期に関しては平均から±4ヶ月ほども個人差があると言われていて、多少遅くても心配いりません。おおよその目安としては以下となります。
(1) 生後7~8ヶ月頃から・・・下の前歯が生える
(2)1歳頃 ・・・上下の前歯が4本ずつに(全部で8本)
(3)1歳6ヶ月頃・・・第1乳臼歯(奥歯)が生える
(4)2歳6ヶ月~3歳頃・・・第2乳臼歯(奥歯)が生える(全部で20本)
赤ちゃんの小さなお口の中で、じっくりと長い年月をかけて乳歯が20本生え揃った時には成長を感じて感慨もひとしおですよ。

■「3番めを飛ばして4番めの歯が生えてきた」けど大丈夫?
→大丈夫です!
とても不思議ですが、前歯が生え揃った次は乳犬歯を飛ばして乳臼歯から生えてきますので、問題ありません。

■赤ちゃんのお口の中がおかしい...?と思ったら
6~7ヶ月健診などでは、医師が赤ちゃんの全身と共にお口の中をチェックします。さらに歯科医師が1歳半、3歳健診の時にもチェックしますが、このような健診以外でも「歯の数・色・形が違う」「歯ぐきがなんだか変な気がする」など、ママの目から見て心配なことがあれば小児歯科を受診して相談しましょう。

白くて小さな歯がのぞく赤ちゃんの笑顔ってたまらなく可愛らしいものです。お口を開けて笑う写真や、母子手帳の歯に関する記録ページなど、素敵な記録を残しながら健康な歯の持ち主に育ててあげたいものですね。

歯ブラシでの手入れ大切 (2014/8/25 福島民友新聞)

 歯ブラシでの手入れ大切

 歯周病は歯に付着したプラーク(歯垢(しこう))や歯石が原因となって起こる感染症です。原因となるプラークは、白っぽい粘着性の沈着物のことで、多くの細菌とその産生物から構成されています。口の中は食べかすなどの栄養が豊富なため、プラーク中の細菌が大変繁殖しやすくなっています。
 こうしてできたものはバイオフィルムと呼ばれ、台所などのヌルヌルした汚れと似ており、強固に歯に付着し洗口剤などの薬品だけでは除去しにくい状態になります。従って、歯周病を予防するためには、日頃から歯ブラシなどでプラークをしっかりと除去することが大切です。
 歯磨きを怠ると歯肉に炎症が起こり、少しの刺激で出血しやすくなります。そして歯周病の進行とともに細菌が増殖すると、糖尿病や心疾患、誤嚥(えん)性肺炎、低体重児出産などのさまざまな全身疾患を引き起こします。
 歯周病は全身疾患と密接な関係があることが明らかになっており、これを予防するためには歯の表面や歯と歯の間、歯と歯肉の境などに行き届いた歯磨きが必要です。
 しかし、磨けていると思っていても不十分なことがあります。歯科医師や歯科衛生士による自分に合った歯磨き指導を受けることも効果的です。口の中の健康だけでなく、全身的な健康のためにも、歯ブラシでの日頃のお手入れを大切にしましょう。(県歯科医師会)

■人間の睡眠時間の差はせいぜい2時間程度

 自分の「適正睡眠時間」を知るのは思いのほか大変だ。「8時間でも寝足りない」「5時間も寝ればすっきり」などと話している人も「その生活を1カ月続けてください」と言われればやや自信が無くなるのが普通だ。毎日8時間寝続けられるのは一般的にはかなり若い頃だけで、「目が溶けるまで寝てやる~」とベッドの中心で叫んでいた人も、しばらくすると早めに目が覚めるようになる。

 逆に寝不足に強いと豪語しつつ日中に寝オチしている人もいるが、これは反則。「いや、そんな長時間寝てないし」と弁明されても、昼寝は夜間の睡眠に大きく影響するため、単純な足し算以上の眠気防止効果がある。実はナポレオンは午睡が得意であったともいわれている。

 我々が経験的に自覚している「適正睡眠時間」は大きく以下の3つの要因で決まる。

 第1は体質で決定されている必要睡眠量、第2は睡眠ニーズに関わる生活習慣、そして第3は睡眠不足に耐える力、である。これに季節変動や加齢の影響が加わり、その時、その人にとっての適正睡眠時間が決まる。

 第1の要因、必要睡眠量を調べるのはとても手間がかかる。特殊な施設内でしばらく生活してもらい、運動や食事、午睡などさまざまな環境条件を整えて睡眠時間を毎晩脳波で測定するのだ。いずれ詳しく紹介する機会があると思うが、最近我々が行った研究の結果、実は一般人の必要睡眠時間にはせいぜい2時間程度の個人差しかないことが明らかになった。我々の睡眠時間は思いのほか公平にセッティングされているらしい。では実生活でみられる6時間以上の個人差はどのように生まれてくるのであろうか。

■夜型の人は睡眠不足に強い

 そこで第2の要因、生活習慣が重要になる。ライフスタイルによる睡眠ニーズを考えることなしに睡眠時間の長短は語れない。

 アスリートが現役を引退すると、いきなり睡眠時間が短くなるという。ごく普通のサラリーマンでさえ退職して家でゴロゴロするようになると、眠りが浅く短くなることが少なくない。消費エネルギー量と睡眠時間との間に関連があるからだ。睡眠の最大の役割は休養である。必要な時に必要な人にやってくるのだ。

 実生活で睡眠時間の長短が生じる第3の要因は眠気に打ち勝つ力に大きな個人差があることだ。例えば、メカニズムはいまだ不明だが、夜型の人は睡眠不足に強いことが分かっている。夜更かしでも朝の出勤・登校時間は変わらないので夜型の人は概して睡眠不足だ。その分、翌日には早寝をしても良さそうなものだが、昼に感じていた眠気は夜になると消えてしまい、むしろ目がさえてきて深夜にガサゴソ活動を開始するのだ。睡眠不足に強い夜型を放っておいて自然に早寝になることはない。

 一方で朝型の人にも弱みがある。睡眠リズムは規則正しいものの睡眠不足には弱く、夜勤は苦手とされている。ちなみに、メディア関係者で「朝型です!」と力強く答えた人に私は2、3人しか出会ったことはない。圧倒的多数は「夜行性」という印象。夜型にクリエイティブな人が多いのか、単なる生き残り効果か、これもまた理由は不明である。

 睡眠時間の個人差に関わる要因はさまざまあるが、上記の3点は特に影響が大きい。実生活での快眠スキルに役立つ情報も多く含まれているので、もう少し詳しく解説してみたい。そこで次回は、第1の要因、体質で決定されている必要睡眠量を取り上げる。

   三島和夫氏

   三島和夫氏

三島和夫(みしま・かずお)
1963年、秋田県生まれ。医学博士。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部部長。1987年、秋田大学医学部医学科卒業。同大精神科学講座講師、同助教授、2002年米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、米国スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授を経て、2006年6月より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事、日本生物学的精神医学会評議員、JAXAの宇宙医学研究シナリオワーキンググループ委員なども務めている。これまで睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者を歴任。『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(川端裕人氏と共著、日経BP社)、『睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン』(編著、じほう)などの著書がある。


 このところ急速な進歩を遂げた睡眠の科学だが、それだけに誤解も流布している。そこで「ためしてガッテン」や「チョイス@病気になったとき」といったテレビ番組でもおなじみの第一人者、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部部長の三島和夫氏が、眠りにまつわる都市伝説を一刀両断。睡眠の常識と非常識を科学の視点からひもとき、日々の快眠に役立つ確かな情報を紹介します。今回は、個人によって異なる睡眠時間について。

 しょっぱなからなんだが、永久の眠り(死)を借金、睡眠を"当座の"返済にみたてたのはショーペンハウアーだ。ぐっすり眠ることで利息を多めに支払えば元金返済を求められるのが遅くなる、つまり長生きできると説いた。睡眠不足で生活習慣病や脳血管障害での死亡率が増加するという最近の知見にも通じる名言だが、一方で、眠らなくても済むなら生活に余裕が生まれるだろうなぁ......と積み上がった仕事を抱え眠い目をこすりながらため息が出る。

 米国の作家ナンシー・クレスが書いた『ベガーズ・イン・スペイン』というユニークなSF小説がある。時代は近未来、遺伝子操作の結果、眠らなくても健康に生活できる無眠人(スリープレス)が誕生した。しかし、彼らは徐々に周囲の妬みや憎悪の対象になって、社会的軋轢(あつれき)を生むことになるのだ。うーむ、週末の明け方に原稿を書いていると、その気持ち、分からないでもない。

 8時間睡眠であれば1日の3分の1、75年の人生であれば25年間は寝ているわけであるから、これがナポレオンのように3時間睡眠で済めば中学から大学時代に匹敵する余剰時間が生じる計算だ。ましてや丸々25年ともなればまさに小学校入学から結婚までの、あの独身時代と同じ長さ(注:筆者のケース)。しかも単に寿命が延びるのではない、元気生活の期間が延びるのだ。これは最近話題の健康寿命(介護の必要がなく、自立した日常生活を送れる期間のこと。WHOが2000年に提唱。厚生労働省も健康寿命を延ばす「スマートライフプロジェクト」という運動を行っている)の延長そのものではないか。

 なるほど、短時間睡眠のコツ、のような書籍がバカ受けするわけである。長短が無ければ公平だが、各種調査による現代人の睡眠時間は4時間以下から10時間以上まで実に幅広い(下図)。これはよく考えると不思議なことだ。なぜなら睡眠時間の長短は活動時間の長短であり、そのまま摂食量やエネルギー消費、捕食者との遭遇確率など生命維持に直結する大問題だからである。

日本人の睡眠時間の分布。NHK放送文化研究所編『日本人の生活時間2005』(NHK出版、2006年)から作成(イラスト:三島由美子)

日本人の睡眠時間の分布。NHK放送文化研究所編『日本人の生活時間2005』(NHK出版、2006年)から作成(イラスト:三島由美子)

 生存のために最適化され、自然淘汰を生き延びてきた人類の睡眠にそれほど大きな個人差が許容されるのだろうか。実際、他の動物ではこれほど大きな睡眠時間の個体差、日々の変動は知られていない。そこで人間に特有な睡眠時間の個人差の原因について考えてみよう。この疑問をひもとくことが快適睡眠習慣を考える大事なヒントになるからだ。


食べ物かすや唾液が肺に入ってしまう「誤嚥ごえん」は、高齢者に多い肺炎の原因となる。物を飲み下す(嚥下えんげ)機能の低下を防ぐため、口や首などの運動や唾液腺マッサージなどの「口腔こうくう体操」を入所者の日課に取り入れ、誤嚥性肺炎の発生件数を大幅に減らした特別養護老人ホーム「成法苑」(大阪府八尾市)をシニア2人が訪ねた。

口腔体操を体験する田辺さん(左)と杉山さん(大阪府八尾市の特別養護老人ホーム「成法苑」で)=原田拓未撮影

 同府吹田市の杉山昌美さん(69)と、同府東大阪市の田辺卓さん(68)。元ケアマネジャーの杉山さんは高齢者施設でのボランティア歴が長く、製紙メーカー代理店を定年退職した田辺さんは1年半前から義母の介護を家族と分担している。

 「成法苑」には、日常の介護が必要な50人が入所している。年に数件だった誤嚥性肺炎が2011年に12件と急増したことから、同年秋以降、口腔体操や発語練習、歯科医と連携した口腔ケアの徹底などに努め、12年は10件、13年には4件まで減らした。今年はまだ1件しか起きていない。

 2人を出迎えた生活相談員の小山隆博さん(40)は、一連の取り組みを主導し、女性職員をモデルに教材となるDVDの撮影を担当した。「口腔体操の内容を掲示している施設は多いですが、定着しないと効果はない。職員が力を合わせて毎日続けることが大切で、挿絵ではわかりにくい動きもDVDならうまく示せると考えました」と振り返る。

 昼食前、食堂に集まった約30人がお茶でのどを潤した後、口腔体操が始まった。DVDの画面と職員のサポートに従って約5分間、全員が口や上体を動かす。BGMも参加者の希望を聞き、美空ひばりさんの「川の流れのように」など3種類を用意した。

 体を動かした後は、舌の動きをよくするため、「パ・タ・カ・ラ」の発語練習を繰り返し、杉山さんは「確かに唾液が出てきた」と驚いた様子。職員の指示によって手の指を折っていく運動では、失敗する人も多く、笑いが広がった。「笑うともっと元気になれる」と男性職員が皆を励まし、最後は深呼吸で締めくくった。

 DVDは当初、「テンポが速過ぎる」と不評で、スローペースに作り直したという。入所者の嚥下機能の改善を示すデータを見、「定着するまでにはいろいろあったんでしょうね」と水を向けた田辺さんに、小山さんは「でも、工夫して利用者さんに喜んでもらうことが私たちの生きがい。流動食を刻み食に、刻み食を普通食に戻す試みもやっています」と答えた。(石塚直人)


楽しそうな姿印象的

 杉山さん「皆さんが楽しそうに取り組んでいるのが印象的。食事を(流動食から)普通食に近いものへ、食べやすいように車いすから普通のいすに戻すなど、介護の負担より入所者への配慮を重視する姿勢に感動しました」

 田辺さん「義母の入院と前後していくつも高齢者施設を見ましたが、ここは入所者も職員もとても明るい。リーダーの方を中心に、時間をかけて取り組んできた経過がよくわかり、参考になりました」

肺炎7割 誤嚥

 高齢化の進展に伴い、肺炎は日本人の死因の3位を占めるようになった。日本呼吸器学会によると、高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥に関係。誤嚥性肺炎は再発しがちで治療が難しく、口内の清潔を保つこと、口腔体操などで嚥下機能の低下を防ぐことが予防のカギとなる。

 成法苑の取り組みは、12、13年の大阪府老人施設研究大会で発表され、その後、問い合わせが相次ぐなど注目を集めた。特別養護老人ホームの約7割が加盟する全国老人福祉施設協議会(東京)は、ガイドブックを発行するなど、約10年前から口腔ケアの啓発に力を入れているが、「1日2回の歯磨きだけの施設もありレベルに差がある」と認める。


恋人・他人の仕草がきっかけで口臭を自覚が14%

 次に、口臭に悩む働く女性が、どのようなきっかけで口臭を自覚したのかを調べた結果を図4に示す。自分で気づいたケースが59%と大半を占めるが、自分では気づかずに「人から指摘された」という人も21%いた。さらに、「彼氏がキスをしてくれない」(7%)、「他人の仕草」(7%)など、他者の動作や行動をきっかけに、自分の口が臭いのではないかと悩み始めた人もいる。

どのようなきっかけで口臭を自覚したか?

他人の口臭~私ならこう伝える!

 「口臭を指摘したら傷つけてしまうかもしれない。」と不安になるが、その人を思うからこそ、口臭を自覚して、いち早く対策を講じてほしいと願うケースもある。最後に、OKWaveに投稿された回答の中から、「他人へ口臭をどのように伝えればよいのか」についての意見、経験談を紹介する。

身内にははっきり伝えた方がよい
回答
「私が夫の立場なら言ってもらいたいと思います。自分の口臭や体の臭いは、自分では分からないですから、確かに言われれば少しは落ち込むと思いますが、言ってくれたら、どうしたら臭いを消せるか考えると思います。妻より先に他人に臭いと言われてしまったほうが傷つきます。夫婦なんですから、言ってあげてください。

回答
「接客業なら口臭はものすごいマイナスだと思うのではっきり言ってあげたほうがいいと思います。におうと思ったときに、何か適当にニンニクでも乳製品でもコーヒーでもいいんですが『○○たべた?』『○○のんだ?』って聞いて、それが当たっていても当たってなくても『ちょっとにおうから気をつけたほうがいいよ~』と言う。これを何回か繰り返せば気にするようになるのではないでしょうか。3回目くらいで『お客さんもそういうことに敏感だと思う』的なことを言ったら、なお良いかもしれません。ほかの回答者様もおっしゃっていますが身内しかそういうことは言えないので、言ってあげたほうがいいと思います。」

口臭予防グッズをプレゼントしてみる
回答
「私はクリスマスに全自動歯ブラシと口臭の消える歯磨き粉をプレゼントしました。便利だから使ってみれば? という具合です。でも普段から『臭い』じゃなくて、『ちゃんと舌とか洗わないと臭くなるよ』と言っていました。さすがに臭いとはいえないし可哀想なので、『臭くなるよ!』と言えばいいのではないでしょうか?」

体調を気遣う体で伝える
回答
『最近、体調でも悪いのか』などと聞いて、口臭を指摘してやったらどうだ? 内蔵がやられていると口臭がきつくなるんだよ。心配そうに言えば、それほど角は立たないと思うけどな。」
回答
『胃腸の具合とか悪くない?』とか『歯医者行ってる? 虫歯ない?』と聞いてみたら...それとなく察してくれませんかね...。ちなみに家の夫は結婚したら口臭が悪化しました。私との暮らしがストレスなのでしょうか? 問答無用で『口臭すぎ! 歯磨いてんの?』と言っています。質問者さんも早く彼にそんな風に言えるように...ならない方がいいか。」

職場の人にはさりげなくガムを差し出す
回答
「『はい』と笑顔でガムを差し出しています。毎回やっていれば気づいてくれるかも...。」

 自分が臭っても、他人が臭っても、気になる口臭。自分の臭いが気になる人は、こんな記事もご参考に!口臭のタイプ別の対策法を歯科医師が分かりやすく解説してくれています。

 通勤するだけで汗だくになる日本の夏。電車やオフィスで他人の臭いが気になり、もしかして自分も・・・と心配になったことはないだろうか。体の臭いの悩みは、女性同士であってもなかなか相談できないものだ。OKWave総合研究所では、OKWaveに投稿された「臭い」に関する質問データ(2626件)をもとに、働く女性が抱える臭いの悩みの傾向を分析した。

【調査概要】
対象ユーザー:20代~30代の社会人女性
抽出キーワード:「臭」※(面倒臭いなど、嗅覚で感じる臭いと無関係な下接語は除外)
対象期間:2000年5月30日~2014年2月19日
抽出質問データ数:2626件
データ分析:OKWave総合研究所

 働く女性の臭いに関する質問のうち、体から発される臭いについての質問数を種類別に図1に示した。図1から分かるように「口臭」の悩みが突出している。

悩みのトップは自分の口臭

体から発される臭いについての質問数

 口臭に関する質問(230件)の内訳は、自分の口臭についての悩みが59%、他人の口臭についての話題が41%だった(図2)。他人の口臭については、「恋人」の話題が30%と最も多く、次いで「会社の人」が24%、「夫」が21%だった。

誰の口臭に関する悩みが話題に?
自分以外の誰の口臭に悩んでいる?

 ここで、自分の口臭に関する実際の質問データ(悩みの声)をいくつか紹介しよう。

悩みの声
「私は会社の受付をしています。毎日歯磨きもしていますし、食事も臭いが残らないものを選んでいます。虫歯もないのに、最近口臭で悩んでいます。口臭スプレー、口臭カプセルも毎日使用していますが、あまり効果がありません。受付をしていますので、口臭が気になります。何か、良い口臭対策はありませんか?」
悩みの声
「37歳の女性です。営業でお客様先をまわる日々を送っています。最近、口臭が気になり出しました。先日、外回り中の午後、車中でメイク直しをしていたら『自分の息が臭いわ!』と自然に感じました。しかも食事後に歯を磨いたにもかかわらず...。場合によっては磨けないときもあります。営業などをやっている女性の方はどのような対策をしていますか? 汚いような話ですみませんが、最近は唾液が粘ったり唇が『プチッ』としたりして気持ち悪いことが多いです。お客様に不快な口臭を飛ばしてないか? とても気になります。どうすればよいのかしら?」

 受付や営業など、人と会話をする機会が多い仕事をしている人が、自分の口臭を心配して、様々な対策を講じている様子が伺える。

砂糖,シュガー,糖分,粉

クッキーに、ケーキ、アイスクリーム、ジュースと子どもは甘いものが大好き。それらを摂り過ぎると、虫歯や肥満、糖尿病につながるのは誰もが知るところだろう。

だが、それ以外にもデメリットがあるという。あまり知られていない、砂糖が子どもの健康に与える影響を米ニュースサイト「Fox News」から紹介する。

1.慢性的な風邪様の症状

米フロリダ州・ヌムール子ども病院の医師Julie L Wei氏によると、砂糖の摂り過ぎで、せきや鼻水といった風邪のような症状が続く。時として、間違ってアレルギーと診断されることもある。しかし、これらの症状は砂糖の摂取を控えれば、治まることが多いらしい。

2.咽頭炎、胃酸の逆流

たまに咽頭炎を繰り返す子どもがいる。ベッドに行く時は特に問題はなく、夜中になって咳き込んだり呼吸が苦しくなったりという症状が出る。

そうした症状を抱える子どもを診察したWei氏は、共通点として日中にたくさんのチョコレートミルクを飲む習慣があることを突き止めた。Wei氏によると、乳製品と砂糖という組み合わせは消化に時間がかかり、横になった時に逆流しやすいのだとか。

3.免疫の低下

砂糖の摂り過ぎで腸内細菌のバランスが崩れ、結果として免疫力が下がってしまう。免疫が下がると、風邪をひきやすくなる。そして、風邪は万病のもとで、「いつも不調」という状態に陥りやすい。

上記のような症状を改善するには、砂糖の摂取を少なくするのが根本的な解決策となる。しかしいきなり、「甘いものは一切なし!」というのはおそらく難しいだろう。

例えば、子ども向けシリアルは砂糖たっぷりなので、少し減らして甘くないシリアルを混ぜたり、スナックの代わりにフルーツを与え、ジュースをライム水にしたりすれば、無理なく砂糖を減らすことができそうだ。

123RF
123RF

コーヒーには抗酸化物質が豊富に含まれるほか、抗炎症作用もあるとも言われており、これまでにも様々な健康効果が伝えられてきた。ボストン大学歯学部らの研究により、コーヒーの摂取が歯周病の予防に役立っている可能性があることが分かった。

30年間にわたる長期調査のデータを分析

研究者が用いたのは、1968年から1998年までの30年間、退役軍人を対象に3年に1度行われた歯科関連の長期調査から集めたデータ。その中から男性1152人分のデータについて(調査開始時の年齢は26~84歳)分析を行った。

コーヒーの摂取量が多いと歯槽骨の減少を防げる?

研究チームは対象者の自己申告によるコーヒーの摂取量をレベル分けし、アルコールの摂取や喫煙の程度、糖尿病の有無や状態、歯磨きの頻度等を考慮したうえで、歯周ポケットの深さ、プロービング時の出血(先端に目盛りの付いた探針を使って歯周ポケットの深さを調べる時の出血)、レントゲン写真による歯槽骨(顎骨の中でも特に、歯を支えている部分)の状態との関連を調べた。

その結果、コーヒーを大量に摂取している場合、歯槽骨の減少が見られる歯の数に関して統計的に有意な低下が認められ、コーヒーの摂取が歯周衛生に悪影響を与えないこと、むしろ歯周病の予防に役立っている可能性があることが分かった。

今回はデータの数が多いとは言えず、研究者は今後さらに対象を広げて調査・研究を行っていきたいと述べている。

ボストン大学らの研究は『Journal of Periodontology』に発表された。

背筋鍛え 骨粗しょう症予防 (2014/8/24 読売新聞

「骨に負荷をかける運動をすると、骨細胞が刺激を受けて反応する。新しい骨をつくる骨芽細胞が活発になり、だんだん骨が丈夫になってきます」

 

 東京・大手町の「東京クリニック」骨・生活習慣病外来医師の板橋明さん(元埼玉医大教授)は、運動習慣の必要性を強調している。

 ウォーキングやジョギング、スクワットなど、主に下半身強化の運動のほか、骨粗しょう症対策に欠かせないのが背筋運動だ。骨折しやすい腰椎の骨密度を増やし、筋力を高める。

 座布団を数枚、腹の下に入れ、うつぶせから上半身を起こし、数秒~10秒間キープして元に戻す。これを繰り返す。日常生活の中で背筋をしっかり伸ばすのも、背筋が鍛えられ、習慣づけるといい。

 "骨太対策"は年配者だけの問題ではない。「20、30歳代で脊椎骨折した妊婦の方がいました」と板橋さんは指摘する。胎児の骨格作りで、母親の体のカルシウムが提供され、授乳時には一時的に閉経に似た状態になるため、骨を壊す「破骨はこつ」が進む。妊娠するまでに栄養不足や運動不足が重なると、大きなおなかを脊椎が支えられず、骨折してしまう。

 まだ若い人たちは「骨貯金」ができる。骨密度がピークに達する20歳代までに、栄養や運動などで骨を丈夫にして最大骨密度をできるだけ増やす「骨貯金」をしておく。すると、加齢で骨密度が低下しても、骨折しにくくなる。

 もう一つ、骨粗しょう症で注意しなければならないのが遺伝。「母親や祖母に骨粗しょう症の症状があった場合、娘さんが発症する可能性がある。娘、母、祖母3世代そろって骨密度チェックを」と板橋さんは勧めている。

酸性度の高いソフトドリンク、フルーツジュース、スポーツドリンクは子どもの歯を脅かすとの報告が、「Journal of Dentistry」に掲載された。オーストラリア、アデレード大学のSarbin Ranjitkar氏らの研究。

Ranjitkar氏は、「歯のエナメル質の永久的な損傷は、強い酸が歯に接触してから30秒以内に起きることが本研究で示された。このことは、酸性度の高い飲料を避けることが最も重要だと示唆している。1時間後や30分後に歯磨きをすればよいという単純な問題ではない」と述べている。

通常、健康な口腔内では酸と予防機構のバランスがとれているが、このバランスが酸に傾くと、酸の種類にかかわらず歯は損傷する。Ranjitkar氏によると、小児や思春期の若者は夜間に歯ぎしりすることが多く、未診断の胃酸の逆流がある場合もある。そこに酸性度の高い飲料が合わさると、若者の歯に長期的な損傷を引き起こしうる3つの脅威となるという。

酸性飲料による歯の酸蝕症は小児および思春期の若者で増加している。「歯の酸蝕症は先進国で懸念が高まりつつある問題で、臨床的には広範な歯の摩耗が生じてから見つかることが多い。酸蝕症になると、生涯にわたる歯科衛生状態の低下が起こり、複雑かつ広範なリハビリが必要になる。しかし、この病気は最小限の介入で予防できる」とRanjitkar氏は述べている。

 塩分・糖分・脂肪分は、加工食品業界の3本柱であり、彼らの聖杯である。この3成分の配合が完璧であれば消費者は歓喜し、商品は飛ぶように売れる。消費者をつなぎとめるため、業界は安くてしかも脳に強力に作用するこの3つの成分に頼り切っていた。その内実に迫ろうとした『フードトラップ』の執筆は、私にとって、探偵物語の中に入り込むような経験となった。

 まず、私が幸運だったのは、本来であれば極秘であるはずの資料にアクセスできたことだった。そのもとになったのが、複数の州がたばこ産業を訴えた訴訟である。裁判のために、たばこ企業は内部資料を公開しなければならなくなった。実は、世界最大のたばこ企業フィリップモリスは、1980年代後半、米国の2大食品メーカーであるゼネラルフーヅとクラフトを買収しており、2000年代まで最大の食品メーカーでもあった。

 たばこ企業が裁判に提出した資料は、まさに食品産業の機密情報の宝庫でもあった。企業の業務連絡、内部報告書、戦略文書、覚え書きなど、合計8100万ページにも及ぶ膨大な資料を閲覧できた。このことは、取材した食品業界の内部の人々に、より深い秘密を明かしてもらうのにも役立った。

 明言しておきたいが、私は食品業界のことを、意図的にわれわれを太らせようとか病気にさせようとしている悪意の業界だと見ているわけではない。彼らが目指しているのは、他のすべての企業が目指していることと同じだ。買わずにはいられないような商品を作り、できるだけ多く売って、できるだけ多くのお金を得る。問題の根は、そこにある。

 1999年4月8日夜、米国ミネソタ州ミネアポリス。春の嵐が吹き荒れる中、南6番街のオフィスビルの前にタクシーが列を作った。上等のスーツに身を包んだ男たちが降りてくる。米国最大規模の食品メーカーのトップ11人。合わせて70万人の雇用と年間2800億ドルの売り上げを掌握する人々である。豪華なディナーがふるまわれる前から、業界の今後の方向性について話し合いが始まった。
 この席に報道関係者は1人も招かれなかった。議事録も含め、記録は一切残されていない。普段はライバル同士である社長や経営責任者たちが、極秘の会合を開いていた。議題はただ一つ。肥満の急増とその対応策である。(『フードトラップ』より抜粋)

 『フードトラップ』は陰謀を臭わせる場面から始まる。しかし、読み進むにつれて、読者はその趣が予想とずいぶん異なることに驚くだろう。私自身、この会合について初めて知ったときは愕然(がくぜん)とした。1999年春、大手食品企業の経営者たちが極秘に集まり、夕食会を兼ねた会合を持った。彼らが一堂に会したこと自体も驚きだが、もっとも意外だったのは、議題が肥満急増の問題だったことだ。

 会合の中でプレゼンテーションを行ったクラフト社の幹部は、「責任の少なくとも一端は自分たちにある」と話した。そして問題解決に向けて、業界一丸の取り組みに着手すべきだと訴えかけた。

 この幹部をはじめとして、会合を計画した加工食品業界内部の人々は、消費者のために正しいことをしたいと考えていた。しかし彼らにとって、会合は悲惨な結果に終わった。経営者たちは訴えを退け、結局、食品売り場の覇権争いに戻ることになった。それは基本的に、塩分・糖分・脂肪分の使用量をさらに増やすことを意味していた。

 食品企業は、成功し生き残るために、塩分・糖分・脂肪分がどれほど重要かということを嫌というほどよく知っている。この3成分の配合が完璧になっていれば、消費者の買う量が増え、食べる量も増える。そして企業は儲かる。

 加工食品の大手企業は、消費者の健康のために正しいことをしようとはしない。これこそ、私が行き当たった真の陰謀だった。

お菓子を食べはじめたら、途中でやめられなくなり、気づいたら一袋を一気に食べてしまった──。そうした経験は誰にでもあるだろう。実は、加工食品のグローバル企業は、消費者が自社の食品を買い続けるよう、さまざまな罠(トラップ)を製品に仕掛けているという。『ニューヨーク・タイムズ』紙記者のマイケル・モス氏は、近著『フードトラップ』で、長期的には健康をむしばむ可能性があることを承知で、消費者をひっかける製品を次々と世に送り出す加工食品業界の実態を暴いた。著書の舞台は米国だが、登場するのは世界を市場にしている企業ばかり。当然、日本も無関係ではいられない。2010年に食肉汚染報道でピュリッツアー賞した敏腕記者モス氏が、無防備に加工食品を利用する消費者に警鐘を鳴らす。

 2008年、イラク戦争やイスラム過激派の取材で中東にいた私に、『ニューヨーク・タイムズ』紙の編集部から連絡があった。加工食品産業について調査してほしい、という依頼だった。

 米国南部、ジョージア州のピーナッツ加工工場で、ずさんな製造管理によって病原菌のサルモネラが混入した。消費者8人が死亡し、体調不良をきたした人は43州で推定1万9000人。同社のピーナッツ原料を使った加工食品は数千にも及び、メーカー各社は商品回収などの対応に追われた。

 事件を取材する中で、一つの実態が浮き彫りになった。非常に複雑な取引関係や利益を確保しなければならない圧力に、がんじがらめになっていた加工食品業界は、もはや原材料をコントロールしきれなくなっていたのだ。

 ピーナッツの次に私が調査したのはハンバーグ肉だった。大腸菌汚染による食中毒事件が相次いだからだ。調べてみると、事態はピーナッツにも増して深刻だった。食肉加工業者は、安い端肉を世界中の食肉処理場から調達し、それらを混ぜ合わせてハンバーグ肉を製造・出荷している。製造工程の中で、汚染を防止する方法はいくつもあったはずだが、そこにはまったく目が向けられていなかった。

 私は加工食品業界の実態について、ますます興味を引かれるようになった。その後、ワシントン州シアトルで知人と夕食をともにした。その知人は、加工食品分野の情報源として私が特に信頼する一人である。彼はこう言った。

(写真:PIXTA)

(写真:PIXTA)

 「マイケル、確かに食中毒は痛ましい事件だ。だがそれと同じくらい、人々の健康を脅かしている脅威がある。それは、食品メーカーが意図的に商品に加えているものだ。こちらは、彼らが絶対的な支配権を握っている」

 これが5年前の話だ。米国の2012年の調査によると、成人の3人に1人、子どもでも5人に1人が、医学的肥満に該当する。糖尿病の患者数は全人口の9.3%に当たる2900万人、さらに、20歳以上の3人に1人にあたる7900万人が、糖尿病にはなっていないが血糖値が正常よりも高い予備軍とされる。痛風患者も800万人いる。糖尿病患者数は2010年よりも300万人増えており、専門家からは清涼飲料の取り過ぎなど、不健康な食生活との関連性が指摘されている。まさに彼の言葉通りだった。

 肥満の急増は医療費増大と生産性低下をもたらし、その社会的コストは年間約3000億ドルにも達すると推定されている。日本など、ここまで劇的な数字でない国もあるが、糖尿病の増加傾向は世界的にみられる。

■塩分・糖分・脂肪分は、加工食品業界の聖杯

 この危機的状況の大きな責任を負っているのが、塩分・糖分・脂肪分を大量に使い続けている加工食品産業だといえる。

 私たち消費者も、塩分・糖分・脂肪分を大量に使った加工食品――私としては「好きになりたくないが好きになってしまう食品」と呼びたい――が、健康を蝕んでいるのではないか、と疑い続けてきた。しかし、食品業界の取材活動を通じて明らかになったのは、製品を送り出している企業たちが、それを承知のうえで、塩分・糖分・脂肪分の使用量を増やし続けていたということだ。


■痛み数年続く人も

 高齢者の病気と思われがちだが、実は10代~20代前半の発症も多い。これは子供の頃に水ぼうそうにかかって獲得した免疫が徐々に弱まるためとみられる。20代後半から30代になり家族を持つと、子供が水ぼうそうにかかった際にウイルスにさらされて免疫が高まり、帯状疱疹の発症率が下がるとされる。

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 とはいえ「職場の過労やストレスで発症するケースは以前より増えた」と専門家は指摘する。ぴりぴりとした違和感などを感じたら早めに皮膚科を訪れることが得策だ。

 初期症状だけでは他の病気と自分で早合点してしまう場合もある。「体の半分の一部に痛みまたは発疹が出たら帯状疱疹を疑ってほしい」と宇野皮膚科医院(東京・世田谷)の漆畑修院長(東邦大学客員教授)は訴える。

 治療は抗ウイルス薬の投与が中心で、鎮痛剤やステロイドを使うこともある。漆畑院長は「発疹が出て3日以内に治療を始めれば3~5日で大半は治る」と話しており、早めに対処すれば症状が長引く可能性を減らせる。

 通常は皮膚の発疹が治れば痛みも消えるが、ぴりぴりとするなどの痛みが続く場合もある。後遺症の1つの「帯状疱疹後神経痛」だ。数カ月から数年続く人もいる。このほか顔面神経まひや耳鳴り、目まいなどの後遺症が出る例もある。医師の指示に従い、きちんと治療することが大切だ。

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 帯状疱疹は自らの免疫低下で発症するので基本的に周囲に感染しない。ただ、水ぼうそうにかかったことがない人にうつると、水ぼうそうを発症する恐れも。妊娠時に感染すると生まれた子が「先天性水痘症候群」になるケースがある。これは低体重や白内障、脳炎などが現れる病気だ。帯状疱疹の患者は周囲への気配りを忘れないようにしたい。

 欧米では帯状疱疹を防ぐため、水ぼうそうのワクチンを接種している。日本でも今年10月から子供を対象に定期予防接種が始まるが、水ぼうそう向けだ。大人が帯状疱疹の対策としてワクチンを接種することも可能なので、医師に相談してみるのもよい。健康保険は利用できない。費用は1万円前後が目安だ。

(山本優)


 帯状疱疹(ほうしん)は、体の奥に潜んでいた「水ぼうそうウイルス」が再び活発化して引き起こす病気だ。電気が走るようなぴりぴりとした痛みとともに赤い発疹ができて水ぶくれとなり、胴体などの片側だけで帯状に広がる。高齢者の病気というイメージが強いが、若い世代の発症も目立つ。加齢や過度なストレスなど原因は様々で、治療が遅れると痛みなどの後遺症が長引く恐れがある。早期の対応を心がけたい。

帯状疱疹は帯状に水ぶくれが広がり、痛みを伴う(宇野皮膚科医院提供)
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帯状疱疹は帯状に水ぶくれが広がり、痛みを伴う(宇野皮膚科医院提供)

 神奈川県に住む80代男性は腰のあたりに痛みを感じていた。家族に皮膚を見てもらったが、特に異常は見つからなかった。2週間様子を見たが、痛みは増すばかりで、38度を超す熱も出た。男性は痛みで動けなくなり、家族に抱えられて病院を訪れた。

■ウイルス再び活動

 医師は帯状疱疹と診断。男性は処方された抗ウイルス薬などを飲み、5日ほどで痛みなどの症状は改善したが、皮膚はただれたままだった。

 帯状疱疹は加齢やストレスなどにより、病原体から身を守る免疫の働きが下がり発症する。ぴりぴりとした痛みを皮膚に感じた後、数日後に赤い発疹が出て、帯状の水ぶくれとなる。

 新ゆり内科(川崎市)の高橋央院長は「衣類や髪の毛が触れただけで痛むので夜も眠れず、日常生活に支障を来すことがある」と説明する。発疹ができる場所は胸、腹部、腕、顔、頭部など幅広く、体の片側だけに帯状に出る。

 帯状疱疹を引き起こすのは、子供の頃にかかる例が多い水ぼうそうのウイルスだ。このウイルスに初めて感染したときは水ぼうそうとして発症するが、「治ってもウイルスが体の奥の神経節という場所に逃げ込む」(高橋院長)。ウイルスはその後じっとしているが、加齢やストレス、過労などで免疫の働きが弱まると再び活性化し、神経の道筋に沿って表面に出てくる。

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 発疹は体に走る神経に沿って出る。三叉(さんさ)神経の場合は顔面に、肋間(ろっかん)神経なら胸や背中などの胴体部分に痛みを引き起こす。それらの神経に沿って帯状の水ぶくれができる。頭皮で発症すると髪の毛で気づきにくいこともある。通常は体の1カ所だけに起こるが、複数箇所に起こる例もある。

 帯状疱疹は免疫の働きが下がる50歳以上の発症が多い。75歳以上ではさらに発症する可能性が高まる。一生のうちで6~7人に1人が帯状疱疹を発症するといわれている。発症は季節によって変わるという。高橋院長は「水ぼうそうは春先に多く、帯状疱疹は体が疲れてくる年後半の発症が多い」と指摘する。


 整体や骨接ぎ、カイロプラクティックなどで行われている"首ポキ治療"こと「スラスト法」。首の骨(頸椎=けいつい)に急激な回転を加える矯正治療のことだが、そうした施設で受けるだけでなく、自分でも日常的についやってしまう―という人も少なくないのでは? かねてから"体に良くない"といわれていた行為だが、米国心臓協会と米国脳卒中学会は、スラスト法が脳卒中を引き起こす可能性があるとの声明を、8月7日発行の米医学誌「Stroke」(電子版)に掲載した。なお、スラスト法について厚生労働省は「患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要がある」との通達を出している。

首への負荷で頸動脈が裂ける

 声明によると、スラスト法が直接、脳卒中を引き起こすのではなく、頸動脈解離を介してのもの。血管(動脈)には3層の壁があって、血液が流れている最も内側の壁を内膜という。頸動脈解離は、この内膜に何らかの原因で傷ができ、その裂け目から血液が流れ込んで内膜が中間の壁(中膜)から剥がれてしまう状態のこと。スポーツ、むちうち、ストレッチ、突然の動作、激しい咳(せき)・嘔吐(おうと)などによって首に瞬間的に強い負荷がかかることが、"何らかの原因"の12~34%を占めているという。

 頸動脈というと首の前側にある太い2本の動脈(総頸動脈)を想像しがちだが、これまでの研究では、スラスト法によって頸動脈解離が発生する場所は、首の骨を走る椎骨動脈が多いと指摘されている。

 スラスト法と脳卒中や頸動脈解離との関連は、これまでもいくつかの論文で指摘されている。2003年に米医学誌「Neurology」(2003; 61: 1314)に発表された論文では、45歳以下の脳卒中患者は1週間以内にスラスト法を受けていた割合が5倍以上だったと報告。また、脳卒中だけでなく、骨や関節の損傷を引き起こすことも指摘されている。

「低リスクだが施術前に説明を」

 声明の責任著者である米ロヨラ大学シカゴ校医学部のJose Biller教授(神経学)は「頸椎の矯正治療と頸動脈解離との因果関係は証明されておらず、そのリスクはおそらく低い。ただし、頸動脈解離は重い神経損傷をもたらす可能性がある」とコメント。スラスト法を含む施術を行う人に対し、「施術前に頸動脈解離に関する情報を患者に伝えるべき」との見解を示している。

 両学会は、スラスト法など首の矯正治療を受けた後、首の後ろや後頭部の痛み、目まい、複視(物が二重に見えること)、歩行が不安定、言語不明瞭、吐き気や嘔吐、目玉が動かしにくいなどの症状を感じた場合は至急、医療機関を受診するよう呼びかけている。

 なお、厚労省は脳卒中との関連には触れていないものの、1991年の通達でスラスト法を「一部の危険な手技の禁止」の対象に認定。「カイロプラクティック療法の手技にはさまざまなものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頸椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること」とし、各都道府県の衛生担当部署に指導するよう求めている。

(編集部)

顔の幅が広いと交渉に有利(2014.8.11 ヘルスデイジャパン)

交渉事では顔の幅が広い男性のほうが有利で、顔の細い男性よりも交渉に成功する可能性が高いことが、米カリフォルニア大学リバーサイド校経営管理学部の経営助教授Michael Haselhuhn氏らの研究でわかった。研究論文は「The Leadership Quarterly」オンライン版に7月16日掲載された。ただし、交渉に協力や妥協が必要になる場合は、顔が幅広でも役には立たない可能性があるという。

Haselhuhn氏らは、男性の心理的または身体的な相違が交渉結果に及ぼす影響を調べるため、4つの交渉シミュレーションを設定した。最初のシナリオでは、顔幅の広い男性が顔の細い男性よりも2,200ドル高い賞与の獲得に成功した。2番目のシナリオでは、顔幅の広い男性は顔の細い男性に比べて化学工場をより高い価格で販売できた。逆に買収する立場になった時も、顔幅の広い男性は顔の細い男性よりも低価格で購入することができた。

3番目のシナリオは不動産取引をまとめる創造的な解決法に関与するもので、この場合は、顔幅の広い男性のチームのほうが交渉に成功しなかった。なお、一連の質問で男性の魅力と美しさを評価してから、再度チーム分けをして3番目のシナリオを行ったところ、魅力的な男性のほうが成功した。

Haselhuhn氏は、「この研究は、顔の大きい男性には良い点も悪い点もあることを示している。将来の事業の成功にはこの認識が重要である可能性がある」という。今回の研究は、身体的要因と交渉成功の関連性を確立したが、因果関係は証明していない。(HealthDay News 7月29日)

 そもそも夜間低血糖を起こしている人は、日中も血糖値の変動が激しいという。糖尿病の糖負荷試験では、ブドウ糖をのんで2時間後までの血糖値しか調べないが、溝口院長のところでは5時間調べる。「通常の試験では『正常』でも、5時間測定すると血糖値が異常に乱高下していたり、糖を処理するインスリンが過剰に分泌されていたりして、血糖の調節障害が起こっている人が少なくない(図2)」(溝口院長)

図2 どちらも通常の検査では「正常」。右は血糖値がドカンと上がって急降下。下がるときにパニックを起こしやすい。左は血糖値が十分上がらず、疲労感や抑うつが強い
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図2 どちらも通常の検査では「正常」。右は血糖値がドカンと上がって急降下。下がるときにパニックを起こしやすい。左は血糖値が十分上がらず、疲労感や抑うつが強い

 改善法はあるのか。鍵は食事だという。「低血糖は血糖値がグンと上がった後、反動で起こる。血糖値を上げるのは糖質だけ。夜間低血糖を改善するには、夕食の糖質を抜くか、極力少なくして、食べる順番も最後に回す。こうして血糖値をなるべく上げない食生活をまずは1週間続ける。それでも改善しないなら昼食の糖質も抑えて、もう1週間様子を見て」と溝口院長。

低血糖を防ぐ食べ方
 血糖値の急上昇&急降下を防ぐには、ご飯やパンなどの糖質を抑え、たんぱく質を増やすのが一番。「懐石料理などは、最後にご飯が少しだけ出てくる。あれがお手本」と溝口院長。先に野菜や肉、魚などをしっかり食べ、糖質を食べるなら最後に少し。順番を変えるだけで、血糖値の上がり方が緩やかになる。

 睡眠中に歯ぎしりをする、寝汗がひどい、悪夢にうなされる、寝ても疲れが取れない......。そんな睡眠トラブルの背景に、「夜間低血糖」が潜んでいるかもしれない。寝ている間の血糖値の急激な変動が、眠りの質を著しく低下させるというのだ。

■糖尿病でない人も血糖値の急降下に注意

「チーズ、ナッツ、焼き鳥、ホットミルク、豆腐などがお薦め。これらはたんぱく質と脂質をほどよく含み、糖質が少ない。血糖値が上がりにくい」と溝口院長(イラスト:平拓哉)

「チーズ、ナッツ、焼き鳥、ホットミルク、豆腐などがお薦め。これらはたんぱく質と脂質をほどよく含み、糖質が少ない。血糖値が上がりにくい」と溝口院長(イラスト:平拓哉)

 低血糖というと、糖尿病の薬が効きすぎて血糖値が極端に下がるというイメージがあるが、ここでいう夜間低血糖は糖尿病でない健康な人にも起こるという。「血糖値の数値ではなく、急激に変動することが問題」と新宿溝口クリニックの溝口徹院長。

 睡眠中に血糖値がガクンと下がると、それを回復させようとアドレナリンやコルチゾールなどの興奮系ホルモンが一気に分泌され、交感神経が優位に。その結果、寝汗や歯ぎしり、悪夢などに見舞われ、睡眠の質が悪くなる。図1のグラフは、46歳の健常男性が持続的に血糖値を測定した結果。睡眠中に血糖値が急激に落ち込んでいるが、このとき被験者は寝苦しくて熟睡感が全くなく、翌朝は首のこわばりもひどかったという。

図1 46歳男性の2晩3日分の血糖値変動。前半は血糖値の乱高下が激しく、睡眠中は急激に低下。糖質の多い食事が原因と見られる。糖質制限弁当を食べた日は血糖値も睡眠も安定していた(資料提供:溝口院長)
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図1 46歳男性の2晩3日分の血糖値変動。前半は血糖値の乱高下が激しく、睡眠中は急激に低下。糖質の多い食事が原因と見られる。糖質制限弁当を食べた日は血糖値も睡眠も安定していた(資料提供:溝口院長)

 「2011年の欧州糖尿病学会では、1086人を対象にした調査で、夜間の軽い低血糖が睡眠の質を低下させ、翌日の体調も悪化させるとの報告があった。あまり知られてないが、睡眠障害だけでなく、パニック障害やうつ病、体調不良なども、血糖値の乱高下が引き金になっていることが多い」と溝口院長。

こんな症状がある人は「夜間低血糖」の可能性が
□ 寝汗や歯ぎしり、悪夢を見るなど、睡眠の質が悪い
□ 寝る前に何か食べないと眠れないことがある
□ 午後3~4時ごろにだるさや眠気、集中力の低下を感じる
□ 朝起きたとき、頭痛や肩こり、疲労感などがある
□ わけもなく不安感に襲われるなど、感情の起伏が激しい

 午後4時ごろは1日の中で血糖値が最も低くなる。血糖値の調節障害がある人はこの時間帯に症状が出やすい。上の項目に該当する人は、夜間に限らず日中も血糖値の乱高下が起こっている可能性が大。

■低血糖になると寝汗や悪夢が起きるのはなぜ?
インスリンが過度に血糖値を下げる

寝ている間に低血糖になる

血糖を上げようと、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが一斉に分泌される

自律神経の交感神経が興奮する

その結果、寝汗、歯ぎしり、こわばり、悪夢などが起きる


「甘いものばかり食べていたらむし歯になるよ!」 

子どものころに、こんなことを言われて育った方も多いはず。実際、むし歯の原因になる酸は、糖を分解して作られるもの。シュガー・コントロール、つまり、砂糖のとり方をじょうずにコントロールすることは、むし歯予防に欠かせないことなのです。

お子さんに甘いものをガマンさせるのはちょっと大変なことですが、シュガー・コントロールができないばかりに、お子さんがむし歯だらけになってしまったら、困りますよね。

今回は、そんなお子さんのシュガー・コントロールを、無理なくすすめていく方法について、子どものための医学事典『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』(小学館)を参考にお伝えします。

■3歳までは甘味をさける

人間は、2歳くらいの時期に味を覚え、5歳くらいまでに味覚が完成するといわれています。だからこそ、3歳くらいまでの間に、あまり甘いものを与えないようにして育てるのがよいとのこと。これで、5~6歳になったころには、あまり甘いものをほしがらない子になるそうです。 

お子さんが甘いものをほしがらなければ、甘いものから遠ざけるのもラクですよね。親ががんばるだけでなく、お子さんと接点のある祖父母などにも協力してもらうとよいでしょう。

■砂糖入りの飲みものに気をつける

甘い食べものに気を付けていても、飲みもので砂糖をとっていては効果がありませんよね。砂糖入りの飲みものは、やはりむし歯の原因に。お子さんに与えるのは、できるだけ麦茶や牛乳など、無糖の飲みものがよいそうです。 

市販の清涼飲料などの飲みものには、砂糖が大量に含まれているものもあります。なかでも、炭酸飲料は注意が必要。炭酸には甘さを感じにくくする作用があるので、ついたくさん飲んでしまいがちに。お子さんに与える際には、含まれる砂糖の量など、表示をよく見て選んだ方がよいでしょう。

■おやつの時間を決める

砂糖は、長時間口の中にとどまると、むし歯の発生率が高くなるとのこと。ということは、甘いものを食べるにしても、口の中にとどまる時間を短くすれば、むし歯の発生率を低くすることができるのです。 

だからこそ、おやつの時間を決め、だらだら食いをしない、というのがよいそうです。また、無糖の飲み物と組み合わせたり、粘着性の高いお菓子をさけたり、といった工夫も効果的だとのこと。

甘いものを全部禁止してしまったらかわいそうですが、親子でルールを決めて上手に食べれば、それだけでもむし歯の発生をかなり抑えることができるのです。

以上、無理なくシュガー・コントロールをする方法について紹介しましたが、いかがでしたか?

甘いものをなんでもガマンさせるのは辛いと思いますが、この程度ならすぐにでもできるのではないでしょうか。むし歯予防だけでなく、食生活全体の改善にもなりそうなシュガー・コントロール、ぜひ試してみてくださいね。

酸蝕症 (2014/8/4 福島民友新聞)

酸蝕症

 エナメル質が溶ける病気

 むし歯・歯周病に続き、第3の歯科疾患が「酸蝕症(さんしょくしょう)」です。「酸蝕症」に罹患(りかん)した歯のことを「酸蝕歯(さんしょくし)」といい、6割の方がかかっているともいわれています。スポーツドリンク、ワイン、柑橘(かんきつ)類やビタミンCを含むサプリメントなど酸性の強い飲食物の摂取により、知らないうちに歯の表面のエナメル質が溶けてしまう病気です。酸蝕症にかかると歯が薄くなり、歯が欠けたり象牙質や神経が露出することで、しみる(知覚過敏)、へこむ、詰め物が取れる-などの症状が出ます。
 原因は、偏った食生活や誤った歯磨き方法・習慣などのほか、摂食障害、口腔(こうくう)乾燥症、胃食道逆流症などの病気と関係しています。
 酸蝕症は生活習慣から発症する疾患でセルフケアが重要です。まずは、酸性の強い食品をダラダラと取り続けないことです。食後は水やお茶で口をゆすぎ、酸を洗い流し、口の中に残った酸を唾液が中和してくれるのを待ちます。その後歯を磨くようにすると良いともいわれています。睡眠中は唾液の量が減少し酸の影響を受けやすくなるので、就寝前は特に丁寧に歯を磨くことで予防ができます。
 酸蝕症に罹患した歯は、専門的なケアと処置が必要です。日頃から定期健診を受け、むし歯・歯周病も含め酸蝕症の傾向がないかどうかのチェックを受けることが大切です。(県歯科医師会)

仕事中に女性と話していて、態度が悪いと感じたら、もしかしたらあなたの口臭で、怪訝な顔をされているかもしれません。
20140727maruta01自分ではタブレットやガムで口臭予防をしているつもりでもタブレット系の香りと、食事の異臭が交じり合っていることに気づいていないことが意外と多いものです。どんなものを食べたら異臭となってしまうかも学習しておきましょう。

 ■口臭はなぜ発生するのか?
自分の匂いはわかりづらいかもしれませんが、口臭は主に、口の中の食べ物カスによる細菌や虫歯、胃腸の消化不良で吐く息が臭くなったり、風邪などで耳鼻咽喉が弱っている時、そしてタバコやコーヒーなどによるヤニなどが原因で匂ってしまうそうです。 

■口臭の原因となる食事ワースト3
風邪からの口臭は治れば問題ないですが、タバコやコーヒーは控えるのがベター。タブレットやガムでは、口の中に残った食べ物カスと入り混じるので、昼食後の歯磨きが望ましいでしょう。しかし外回りなどで機会が持てない場合は、口臭の元となってしまう食事例を3つ挙げますので、ご参考に。

1)野菜の摂取量が足りない
定食の野菜を残す人が目立ちますが、必ず食べるようにしましょう。野菜には口臭予防となる、フラボノイドやクロロフィルといった成分が入っています。またミーティングのある日はニンニク料理や、コーヒーを選ばないこと。飲み物は緑茶やウーロン茶に入っているカテキンも口臭予防効果が期待できます。

2)丼物や具沢山の麺類を避ける
丼物や寿司、パスタ、ラーメンなど、動物性食品と炭水化物を同時に食べるメニューも胃腸での消化に負担がかかり、口臭の元になる可能性があります。動物性食品と炭水化物は消化経路が違うそうなので、なるべく定食やランチコースにしておかずを食べ終わった後に、ご飯やパンを食べるようにしましょう。

3)デザートのフルーツが口臭の元にも
ランチについてくる食後のフルーツやフルーツ系スイーツも口臭の元となります。「フルーツ酸」という酸が、先に胃の中に入った食べ物を胃の中で発酵させてしまうので、異臭が発生し、それが口臭の元となります。また発酵の際、ガスも発生させるので胃もたれやポッコリお腹の原因にもなるようです。 

口の中の食べ物のカスはタブレットやガムで多少ごまかせても、この3つは胃の中で起こることなので、匂いも強烈です!ビジネスマンが選びがちなメニューに落とし穴があるので、メニュー選びに気を付けて、さわやかな息を心がけましょう。


在宅療養って何 (2014/8/5 読売新聞)

定期的に家庭訪問し診察

  友達のおばあちゃんの家には、月2回、診療所からお医者さんが来て診察してくれるんだって。高齢者には助かるよね。

  医療機関に通うことができない患者の家に、医師が出向くことを「訪問診療」というんだ。対象の多くは高齢者だよ。昔からある「往診」と似ているけど、「訪問診療」は曜日や時間を決めて定期的に来てもらうのに対し、病状が悪化して急に来てもらう時などを「往診」というんだ。歯科医師による訪問診療や、看護師が来てくれる訪問看護なども合わせて、「在宅医療」と呼ばれているよ。


  家で訪問診療を受けている人って、多いの?

  昨年度、訪問診療を受けた人は54万人ぐらい。ここには、自宅だけじゃなく、有料老人ホームやグループホームなどに来てもらうケースも含まれている。国は在宅医療を推進しようとしているから、今後はもっと増えていくと思うよ。


  へえ、国はなぜ推進しようとしてるの?

  戦後間もなく生まれた団塊の世代が、2025年には75歳を超える。75歳以上になると、病気や障害を持つ割合が高くなるけど、病院をあまり増やせないからだよ。日本の病院のベッド数は今も多すぎると言われているからね。国は、病院を増やす代わりに、在宅医療を充実させようとしているんだ。終末期を過ごす場として「できるだけ自宅がいい」と希望する人が6割近くいるという国の調査もあるよ。

 

  在宅医療を広げるには、訪問をするお医者さんがたくさん必要だよね。

  そうだね。そういう医師はまだ十分とは言えないね。国は2006年に、担当する患者から24時間、いつでも連絡が取れるようにするなど、一定の態勢を取る診療所には、高い報酬を認めるようにした。こうした診療所は今、全国に約1万3000か所ある。その後も在宅医療の報酬を上げてきたんだ。


  お医者さんにとっては、患者さんに来てもらったほうが楽だろうね。

  昔は、開業医が往診するのは普通だったし、自宅で亡くなるのも当たり前だった。1950年ごろは、8割の人が自宅で亡くなっていたんだ。ところが今は、逆に8割近い人が病院で亡くなっている。病院が増えて、医療が病院中心に変わり、診療所は、日中の外来診療だけを行うところが多くなったからね。国は再び、患者を訪問する医師を増やそうとしているわけだね。


  訪問診療をするお医者さんを増やすのは難しいの?

  医師のなかには、患者の要請があれば24時間対応しなければならなくなることや、看護師など他の職種と連携して在宅医療を行うことを「大変だ」「面倒だ」と考える人もいる。医師の意識改革も必要だと言われている。


  医療も変化が求められているんだね。

  国は、限られた財源の中で、高齢者の医療ニーズに対応するため、病院の再編を進めようとしている。在宅医療はその重要な受け皿になると見られているんだ。患者の側も、在宅医療についてもっと知って、うまく利用してもらいたいね。


「また、ネットで第1類医薬品を買う際は、性別、年齢、症状、医療機関受診の有無などを入力し、薬剤師がメールで使用者の状態に応じた個別の情報提供をし、購入者がそれを理解した旨を連絡して初めて購入できる。最低でも一往復半のやり取りが必要で、症状や持病によっては受診を勧められ、薬が購入できないことも。副作用を避けるには、正直な情報を伝え、薬剤師からの返信もきちんと読んで」と渡辺教授。

持病や普段使っている薬によっては、併用すると副作用のリスクが高まるものがあるので要注意。自分の症状に合った市販薬をメールやチャット、テレビ電話で相談してもOK(イラスト:平拓哉)
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持病や普段使っている薬によっては、併用すると副作用のリスクが高まるものがあるので要注意。自分の症状に合った市販薬をメールやチャット、テレビ電話で相談してもOK(イラスト:平拓哉)

 やり取りに時間がかかるのが難点だが、ケンコーコムが24時間チャットなどを使ってリアルタイムで薬剤師とやり取りができる「薬剤師LIVE」を5月末から開始するなど、ネット業者も対策に余念がない。アマゾンなど当日受け取りが可能なネット薬局もある。

 心配なのは偽薬局サイト、偽薬を販売するサイトの存在。厚生労働省もパトロールを強化しているが、4月からの2カ月間で35の未承認薬販売サイトや偽薬局サイトが見つかっている。

 「購入前に、医薬品販売業者として許可を受けている薬局のサイトか必ず確認を。その店で買った薬でなくても薬剤師には相談に応じる義務があるので、処方薬も市販薬も扱う"リアル薬局"をかかりつけにすると疑問点も相談できて安心」と渡辺教授。

ネットで薬を買うときの6つの心得
1.医薬品販売業許可を受けているネット薬局か確認
 厚生労働省の「一般用医薬品の販売一覧」サイトをチェック
2.購入前に添付文書を熟読する
 添付文書が読めるサイト(PMDA:医薬品医療機器総合機構)が便利
3.市販薬でも副作用や持病薬とののみ合わせが悪い場合があると知っておく
4.相談用の連絡先や勤務中の薬剤師名の記載も要チェック
5.医薬品の写真、使用期限も確認して購入を
6.ネットで買った薬の疑問点も、地元の薬局で相談OK
 6つの心得を常にチェック。ネットでの薬の販売を都道府県に届け出た薬局は5月末現在1048軒。店舗での営業が週に30時間以上などの条件をクリアした薬局のみネット販売を許可される。

 薬に関する法律が改正され、2014年6月12日から、ほぼすべての市販薬(OTC医薬品)がネットで購入可能になった。忙しくて薬局に行けない人には便利で、例えば水虫薬など対面販売では購入しづらかった薬が買いやすくなったが、注意点もある。

■改正薬事法で薬のネット通販ルールが変更

 「今回の法改正で99.8%の市販薬が購入できるようになった。ただ、市販薬でも重い副作用が出ることがあり、消費者の自己責任が増したのは間違いない。薬を選ぶ際に事前に薬の添付文書を熟読し、効果と副作用、普段使っている薬と併用しても問題ないかを必ず確認してから購入を」と東京薬科大学薬学部の渡辺謹三教授は強調する。

 法改正の発端は2013年1月、全ての市販薬のネット販売を求めた行政訴訟でケンコーコムらネット販売業者の勝訴が確定したこと。従来は副作用などの心配が少ない「第3類医薬品」しか通販できなかったが、勝訴以降は事実上、全面解禁されていた。

「スイッチ直後品」は、販売から3年後に安全性が確認されればネット販売が可能に
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「スイッチ直後品」は、販売から3年後に安全性が確認されればネット販売が可能に

 今回の改正では新たに要指導医薬品が指定。この20品目は店頭で薬剤師の説明を理解したうえで、使う本人しか購入できない。

改正後、ネットで買えない薬(要指導医薬品)が指定された
●スイッチ直後品(15品目)
・ストナリニ・ガード、アレジオン10、アレグラFXなど(アレルギー用薬)
・エルペインコーワ(生理痛用薬)
・アンチスタックス(むくみ等改善薬)
・ナロンメディカル(解熱鎮痛薬)
・エパデールT、エパアルテ(中性脂肪異常改善薬)
・近日発売予定の月経前症候群治療薬や膣カンジダ用薬、アレルギー用薬など
●劇薬(5品目)
・エフゲン(殺菌消毒薬)
・ガラナポーン、ハンビロンなど(勃起障害等改善薬)
 ネット販売禁止の要指導医薬品(6月12日現在20品目)は、販売記録を残すなどルールが厳格化された。


 大相撲の見どころのひとつが、美しい横綱土俵入り。その「四股(しこ)」が健康法になることはよく知られている。

 両足を大きく開き体の軸をしっかり取り、腰を低く落としてから片足を高く上げ、大地を力強く踏みしめる。この一連の動きによって下半身の筋肉が鍛えられる。股関節を広げることで、周辺のリンパ節が刺激され、全身の新陳代謝の促進、肩こりや腰痛の解消も期待できるという。

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 「一見、下半身しか使わない動きに見えますが、股関節を中心に背筋や腹筋、深層筋を使うので、体のバランスを左右対称に整えるという効果もある。一瞬の立ち合いが全ての取り組みには、強靱な下半身が重要」と貴乃花部屋の貴乃花親方。上の図では、親方が考案した「シコアサイズ」の基礎編を示した。

 全身を躍動させる和太鼓も、健康な体作りにつながる多くの要素を持つ。国際的な活動を展開している太鼓芸能集団『鼓童』(新潟県佐渡市)の舞台は、観客の多くが中高年。彼らは「太鼓の大きな音と躍動感」に引き寄せられ、自ら習う人も少なくない。

■肩こりと無縁に

 和太鼓の基本動作は、片足を斜め前に出して両足を開き、股を割るようにして開いた足で立つ。そして、へその下を意識して腕を上げ、そこからバチを打ち下ろす。

 体の軸がぶれていなければ、芯をとらえた音が出る。腕のみで打たず、ひざ、腰、肩甲骨、体幹を意識した全身運動だ。「肩甲骨周りを動かすのでメンバーに肩こりはいません」と鼓童の坂本雅幸さん。

 全身を使った「和」の伝統の動きは、無駄や無理がなくなめらかで美しい。「稽古を重ねた所作には洗練された優雅さがある」と名古屋学芸大学(愛知県日進市)教授の加藤和郎さん。立つ、歩く、座るなどの日常の動作、そして毎日のちょっとしたしぐさが、人をいきいきとさせて健康に近づけてくれる。日々の暮らしに、和の動きを取り入れるよう意識していきたい。

◇            ◇

■和装が崩れない動きに起源?

 伝統的な「和」の動作はどのようにして成立したのだろうか。桐朋学園大学教授の矢野龍彦さんは、和装との関係に着目する。「明治時代より前の日本人はみな、着物が着崩れないように、自然とすり足になり、身体をひねらない動作をしていました」と矢野さん。

 着崩れないように動くことは、体の奥にある筋肉を鍛える働きがある。上半身と下半身をつなぐ大腰筋が要となる。ここがしっかりすれば腰や膝への負担が軽くなり姿勢も美しくなる。意識するのは「胸郭と骨盤を連動して動かすこと」。矢野さんの研究によれば、胸郭と骨盤の連動によって腸の動きも正常に整うことがわかったという。

 日本舞踊や能、相撲など我が国の伝統文化の動きを全身運動としてとらえ健康法に取り入れる動きが広がり始めている。健康維持や体力増強につなげていくだけでなく、美しい立ち姿や所作を身につけることもできるのが特徴。それぞれの専門家に、実践する上でのポイントなどを聞いた。

 能の流派の一つ、能楽シテ方金春流(東京都千代田区)には、一般の人向けの稽古(けいこ)に上は90歳以上、下は子どもまでが通う。伝統芸能としての能に触れるだけでなく、体力づくりも目的のひとつ。

 能は「20キロ近い装束と、視界のほとんどを奪う面をつけて謡ったり舞ったりする」と、先生を務める能楽師の櫻間右陣さん。稽古では「それに耐えうる強靱(きょうじん)な体力」も養うことができる。

■両足に体重かけ

 まずそこで教わるのは基本動作の一つ、両足均等に体重をかけてまっすぐ立つ「かまえ」だ。これが意外に難しい。片方の足に重心がかかってしまうと、股関節やひざ関節の負担になり痛くなる。

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 次に「すり足」。実際に櫻間さんに歩いてもらった。舞台で悠々と滑るように歩む姿が美しい。ひざを軽く曲げて頭は決して上下しない。「出て行く足に体が乗っかるように全体的に動く。腰は安定させて、足裏を見せないようにじっくりと歩くので外側の筋肉より内側の深層筋を使っています」。想像以上に「すり足」は体力のいる運動になる。

 かつては京都の芸妓(げいぎ)として知られ、現在NPO法人日本文化芸術国際振興協議会(京都市)で理事長を務める岩崎究香(みねこ)さんは日本舞踊を取り入れた健康法として、座ったり立ったりの動きを紹介する。自身、4歳のころから50年以上続けている稽古の結果、股関節、膝関節、足首の関節がどれも柔らかいまま。正座の状態から、ゆっくり片膝を立て、すっと立ち上がる動作は、足裏のストレッチになり、体力もつく。

 日舞では、「すり足」で歩きながら、上半身は扇子で森羅万象を表現する。この腕を上げる動きも、肩の関節の筋肉が衰えるのを防ぐ健康法になるという。また、歩く際に自然にできる深い息の出し入れのおかげで「心身の濁ったものが澄み、新陳代謝が良くなっていく」そうだ。さらに「見られている」という意識をもつことで、動きが「優雅なものに洗練されていく」。


指しゃぶりと歯並び(2014/7/30 中日新聞)

3歳過ぎると影響も

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 「指しゃぶりはいつまで続けて大丈夫ですか」「このままだと歯並びには影響はありませんか」という質問を保護者の方から受けることがあります。一般的に3歳くらいまでの指しゃぶりは、赤ちゃんの時の「吸う」という生まれながらの反射の名残ですので、歯科的に問題となるような点はありません。しかし、しゃぶる指やしゃぶり方によっても変わってきますが、乳歯が生えるに伴って、長時間しゃぶる行為が続けば続くほど、歯並びやかみ合わせへの影響が出やすくなるのは事実です。

 歯並びは歯がどのように生えてきたかということも重要ですが、生えた後、歯の外側にある唇や頰の筋肉から加わる力と、歯の内側にある舌の圧力のバランスによっても並び方は変化していきます。そして最終的には、両者のバランスの取れた場所に歯の位置は落ち着いていきます。

 長時間の指しゃぶりが続くと、指そのものやしゃぶるときの口の周囲の筋肉によって、歯や歯を支えている骨に力が加わり、歯並びやかみ合わせに影響が出てきます。その例として(1)上の歯が前に出る上顎前突 (2)上下の前歯に隙間があく開咬(こう) (3)上下の奥歯が横にずれて中心が合わない交差咬合などが生じてきます。また、このような異常に伴って、発音や嚥下(えんげ)、呼吸にも影響が出てくる場合があります。

 指しゃぶりは生理的なものであり、3歳くらいまでは特に禁止するものではありませんが、それを過ぎたら、4〜5歳くらいまでには、周囲の方の配慮により、徐々にやめられるように導いていってあげてください。

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