農作業や庭仕事も
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、65歳以上の高齢者は毎日40分、生活の中で体を動かすことを勧めている。
宮地部長は「高齢者は必ずしも運動をする必要はありません。家事や買い物など、日常生活の活動で十分。農作業や庭仕事、地域の子供の通学の見守りなどもよいですね」と話す。それぞれの活動は数分間ずつでも、合計で1日40分以上になればOKだ。
ただし、下記の点などに注意が必要だ。
- 急に頑張らず、少しずつ活動量を増やす
- 暑い日や雨の日、体調が悪い日などには無理をせず休む
- 持病がある人はかかりつけ医にアドバイスを求める
まずは、いつもよりも10分間だけ多く活動してみるという「プラス10」の考え方で取り組むことを宮地部長は勧める。例えば、普段全く家事をしない人は、お茶を自分でいれたりゴミ出しをしたりすることから始めるとよい。
認知症のは症も遅くなる
こうした活動で認知症の発症を1年遅らせることができ、さらに、1日40分の目標を達成すれば、達成していない人に比べて2年も発症が遅くなるという。
40分の日常活動の中に運動も取り入れるといっそう効果的だ。宮地部長は、高齢者の運動にはストレッチを勧める。膝や腰周りの筋肉をゆっくり曲げたり伸ばしたりする。コツはおなかで息をしながらゆっくりと痛くない程度に1カ所に30秒行うこと。膝や腰の痛みを和らげ、血圧を下げるほか、気分を安定させる効果がある。
「毎日を活動的に過ごすには、家族や近所の人との付き合いを良くすること。買い物や行楽などに誘われたら、面倒がらずに行ってみましょう。特に男性は、会社を退職すると社会とのつながりが薄くなる人が多いのです。自分からも旅行に誘うなど積極的に関わって」と宮地部長はアドバイスしている。