受動喫煙の害、肺だけでなく心臓にも影響 微小粒子が奥まで侵入(2014/7/24 あなたの健康百科)

喫煙による健康被害は周囲にも深刻な害を与える。1997年からインターネットを使った支援活動「禁煙マラソン」を実施し、個人の禁煙だけでなく地域や職場の禁煙化にも携わってきた奈良女子大学保健管理センターの高橋裕子教授に、受動喫煙の害について聞いた。

条例で心筋梗塞半減

 「2004年に報告された医学データが世界の受動喫煙の意識を変えました」と高橋教授。02年に米国のモンタナ州ヘレナで受動喫煙防止条例が実施されてから半年間で心筋梗塞の発生が半減。町ぐるみの禁煙は受動喫煙の影響の大きさを示し、それ以降、世界各地で同様の条例や禁煙法制定を促したという。

 「大気中のPM2.5(微小粒子状物質)の1日平均値が1立方メートル当たり70マイクログラム(単位以下同)を超えたら、外出を控えるようにといわれます。髪の毛の太さの30分の1ほどの粒子は肺の奥まで入りやすく、呼吸器系と循環器系への影響が心配されるからです。しかし、喫煙室のPM2.5は700、喫煙室前の廊下では70を超えています。危険は身の周りにあるのです」(高橋教授)

子供は中耳炎にも

 世界各地で受動喫煙による健康調査の報告が相次いでいる。英スコットランドでは喫煙規制法案施行後、毎年5.2%増加していた小児喘息(ぜんそく)の入院数が18.2%減少した。親が喫煙する家庭の乳幼児は、そうでない家庭の乳幼児に比べて夜間の救急受診が2倍になるなど、特に子供への深刻な影響を訴えている。

 米国では職場の受動喫煙で糖尿病発症率が1.81倍、慢性閉塞性肺疾患(COPD)発症の可能性が2.5倍に、子供では中耳炎を発症しやすいと警告している。

 たばこの煙は屋外では17メートル離れた場所まで届くという調査もあり、換気扇の下やマンションのベランダでの喫煙も同居者への影響を防げないことが分かってきた。

 「分煙は受動喫煙の防止にはなりません。公共施設や路上での禁煙を徹底してもらうとともに、禁煙に挑戦する人の相談窓口を設けて情報を提供する。特に若年層に対しては周囲が支援する姿勢が大切です」と高橋教授は話す。


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年7月25日 15:31に書いたニュースです。

ひとつ前のニュースは「糖尿病 薬頼り過ぎ注意 低血糖になりやすく危険(2014/7/22 東京新聞)」です。

次のニュースは「夏の体力維持・疲労回復に お肉は長寿食(2014/7/23 東京新聞)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。