よく寝れば身長伸びるはウソ 眠りの最新常識 −2(2014/7/20 日本経済新聞)

三島部長は「睡眠時間を削ってうまくいったという根拠ある報告はない」と話す。短時間の仮眠は一時的に眠気を取るのに役立つ。短い昼寝で頭がスッキリするというのはその一例だ。ただ1日を通じて作業効率の低下を防げるかどうか。4時間睡眠は誰にも当てはまる方法ではなさそうだ。また「睡眠不足が続くと体の負担になる。強い眠気に襲われるだけでなく高血圧や糖尿病、うつ病などになりやすくなる」(三島部長)。

 「肌のゴールデンタイム」はどうだろうか。午後10時~午前2時の間に寝ていないと、体の傷を修復する成長ホルモンが出にくくなり肌が荒れるという考え方だ。成長ホルモンは眠りはじめの2~3時間の深い眠りのときに多く出るが、「時間帯と成長ホルモン分泌を結びつけるべきではない」と内山真日本大学主任教授は指摘する。成長ホルモンが肌荒れを癒やすというのも根拠が薄いという。

 「寝る子は育つ」という言葉もある。これについても「丈夫に育つという意味で、成長ホルモンの作用で身長が高くなるという意味ではない」(内山主任教授)。

 睡眠時は「レム」と「ノンレム」と呼ぶ状態が交互にやってくるというのを聞いたことがあるだろう。レムの眠りは浅く、ノンレムでは熟睡している。周期は約90分で、レム睡眠のときの方がすっきり起きられるとの考えに基づき「睡眠時間は90分の倍数がよい」といわれるようになった。

■「1日持つかは別」

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 しかし、これも肯定するだけの科学的根拠はないという。内山主任教授によると眠りの周期は平均100分で、同じ人でも日によって微妙にずれる。また起きる時刻に近づけば自然と眠りが浅くなり、いつ起きても寝起きのよさはあまり変わらない。すっきり起きるのはよいことだが「その状態が1日中続くかは別」(内山主任教授)。睡眠の絶対量が足りないと、結局どこかで集中力が落ちる。

 眠りに関する様々な情報が飛び交っており、一見科学的だが根拠が不十分な言説や商品も多い。見極めが重要だ。厚生労働省は今春、11年ぶりに睡眠指針を改め最新の科学的知見を盛り込んだ。一度目を通してみてもよいだろう。


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このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年7月25日 15:13に書いたニュースです。

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