カラダの水、2%失ったら脱水症 のどの渇きの仕組み −2(2014/7/27 日経ヘルス)

■血液が足りなくなると細胞内の水が供出される

 体内の水分といわれて、多くの人がまず思い浮かべるのは「血液」だろう。

 血液は、体内に張り巡らされた血管の中を流れて、体内の細胞に酸素と栄養を届ける。大人一人の血管をすべてつないだ長さはなんと10万キロメートル。これは赤道の2.5倍に及ぶというから、途方もないスケールだ。

 ただ「体液の中で血液が占める割合は、実はさほど多くありません」と永島さん。30リットルの中の、せいぜい4リットル分だという。

 残り26リットルのうち16リットルは「細胞内液」。細胞一つ一つは顕微鏡でなければ見えないほど小さな袋(直径数十マイクロメートル程度)だけれど、60兆個もあるので、細胞内の水の総量はこんなに多くなる。

 残った10リットルが「細胞外液」。細胞の外側を満たす水分で、イメージとしてはこれが、"細胞が浸る海"に近いだろう。

 血液が運んできた酸素と栄養は、毛細血管から細胞外液へしみ出て、それを細胞が取り込む。逆に、細胞が吐き出した二酸化炭素や老廃物は、細胞外液をへて血管に回収される。

 「交通網に例えると、血管はスピードの速い高速道路。高速を降りてから家庭の玄関までをつなぐ一般道にあたるのが細胞外液で、速度は遅いけれど、隅々まで行き渡ってます」。こんな"物流システム"が、全身の細胞を養っているわけだ。

 ただしこれは、水分が十分に足りているときの話。ひとたび水不足になると様相は一変すると、永島さんはいう。

 「例えば汗をかいて血液の水分が急に減ると、緊急的に細胞内の水分が引き出されます」

 血液が不足すると血圧が下がり、脳へ血が巡らなくなってしまう。脳は体の中枢であり、酸素や栄養が届かなくなるのは生死にかかわる問題。だから非常事態と見るや、全身の細胞は自分の細胞内液を差し出す。特に、肌や手足など、生きていくための重要度があまり高くない場所の細胞がまず"犠牲"になるという。「16リットルの細胞内液は、非常用水分ストックでもあるのです」。

 同時に、脳が「のどが渇いた」という指令を出す。そして私たちが水を飲み、血液量が回復すれば、細胞は再び内なる海にゆったりと身を預ける。


このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年7月28日 13:11に書いたニュースです。

ひとつ前のニュースは「カラダの水、2%失ったら脱水症 のどの渇きの仕組み −1(2014/7/27 日経ヘルス)」です。

次のニュースは「カラダの水、2%失ったら脱水症 のどの渇きの仕組み −3(2014/7/27 日経ヘルス)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。