すり足は全身鍛える 「和」の動きで体づくり-2(2014/7/26 日本経済新聞)

 大相撲の見どころのひとつが、美しい横綱土俵入り。その「四股(しこ)」が健康法になることはよく知られている。

 両足を大きく開き体の軸をしっかり取り、腰を低く落としてから片足を高く上げ、大地を力強く踏みしめる。この一連の動きによって下半身の筋肉が鍛えられる。股関節を広げることで、周辺のリンパ節が刺激され、全身の新陳代謝の促進、肩こりや腰痛の解消も期待できるという。

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 「一見、下半身しか使わない動きに見えますが、股関節を中心に背筋や腹筋、深層筋を使うので、体のバランスを左右対称に整えるという効果もある。一瞬の立ち合いが全ての取り組みには、強靱な下半身が重要」と貴乃花部屋の貴乃花親方。上の図では、親方が考案した「シコアサイズ」の基礎編を示した。

 全身を躍動させる和太鼓も、健康な体作りにつながる多くの要素を持つ。国際的な活動を展開している太鼓芸能集団『鼓童』(新潟県佐渡市)の舞台は、観客の多くが中高年。彼らは「太鼓の大きな音と躍動感」に引き寄せられ、自ら習う人も少なくない。

■肩こりと無縁に

 和太鼓の基本動作は、片足を斜め前に出して両足を開き、股を割るようにして開いた足で立つ。そして、へその下を意識して腕を上げ、そこからバチを打ち下ろす。

 体の軸がぶれていなければ、芯をとらえた音が出る。腕のみで打たず、ひざ、腰、肩甲骨、体幹を意識した全身運動だ。「肩甲骨周りを動かすのでメンバーに肩こりはいません」と鼓童の坂本雅幸さん。

 全身を使った「和」の伝統の動きは、無駄や無理がなくなめらかで美しい。「稽古を重ねた所作には洗練された優雅さがある」と名古屋学芸大学(愛知県日進市)教授の加藤和郎さん。立つ、歩く、座るなどの日常の動作、そして毎日のちょっとしたしぐさが、人をいきいきとさせて健康に近づけてくれる。日々の暮らしに、和の動きを取り入れるよう意識していきたい。

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■和装が崩れない動きに起源?

 伝統的な「和」の動作はどのようにして成立したのだろうか。桐朋学園大学教授の矢野龍彦さんは、和装との関係に着目する。「明治時代より前の日本人はみな、着物が着崩れないように、自然とすり足になり、身体をひねらない動作をしていました」と矢野さん。

 着崩れないように動くことは、体の奥にある筋肉を鍛える働きがある。上半身と下半身をつなぐ大腰筋が要となる。ここがしっかりすれば腰や膝への負担が軽くなり姿勢も美しくなる。意識するのは「胸郭と骨盤を連動して動かすこと」。矢野さんの研究によれば、胸郭と骨盤の連動によって腸の動きも正常に整うことがわかったという。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年8月 4日 16:31に書いたニュースです。

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