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仕事や授業でパソコンを使うのは当たり前、余暇も便利なスマートフォンや携帯型ゲーム機を使い続けている人は多いのでは? こうした機器の画面が発している青色の光、ブルーライトによって、頭痛が引き起こされているかもしれない。東京都済生会中央病院小児科の荒木清部長は、ブルーライトを発生する機器の使用を制限することで、なかなか治らなかった思春期の頭痛が改善したと、11月14~15日に山口県内で開かれた日本頭痛学会の会合で報告した。
2人に1カ月の入院治療を実施
ブルーライトは、波長が380~495ナノメートル前後で青い光で、紫外線(400ナノメートル以下)と一部が重なる可視光線。スマートフォンや携帯型ゲーム機、液晶テレビ、パソコンなどLED液晶画面から発せられる。こうした機器の普及から、近年は日常生活でさらされる機会が増えており、体内時計が狂ったり、目の病気や肥満、がん、精神疾患などを引き起こしたりすることが指摘されている(関連記事:ブルーライト、昼間の"浴びな過ぎ"も体内時計狂わす)。メガネなどの対策グッズも人気だ。
一方、思春期に1日4時間以上の頭痛が1カ月で15日以上、3カ月を超えて続く病気で、不登校の原因にもなるという。ストレスが片頭痛を悪化、慢性化させていると考えられており、鎮痛薬が効きにくいケースも少なくない。
荒木部長らは今回、睡眠障害、昼夜逆転、登校不可を訴える慢性連日性頭痛患者2人に対し、ブルーライト制限を中心とした約1カ月間の入院治療を行った。治療内容は下記の4点が主体。
- 規則正しい生活(食事・睡眠)
- 午前、午後の一定の運動(階段昇降、竹刀の素振りなど)
- スマートフォン、ゲーム機の排除
- 頭痛体操+マッサージ(起床後、就寝前)
1日3時間以内、午後8時以降は使用しない
こうした入院治療に加え、薬は漫然と飲ませず、痛みが強く出た場合に限った。その結果、2人とも1カ月後には症状が改善し、薬を飲む回数も減少、登校も可能になったという。
荒川部長は「片頭痛が悪化する要因は一つではないが、思春期の慢性連日性頭痛による登校不可や昼夜逆転を伴うケースでは、特に夜間のブルーライト制限が最良・最短の治療となることがある」とコメント。
なお、頭痛で通院中の12~19歳の男女30人にアンケート調査を行ったところ、スマートフォンや携帯型ゲーム機、パソコンの所持率は100%(スマートフォンは93%)、ブルーライトを発する画面の使用時間は平均5.6時間(最長15時間)、午後8時以降の使用が「ほぼ毎日」だったという。
荒川部長は、以下のような思春期学童・生徒を守るための「ブルーライト制限の基準」づくりなどの対策が急務だと提言した。
- スマートフォンやパソコンなどの使用は1日3時間以内
- 午後8時以降はなるべく使用しない
- ブルーライトカット眼鏡の着用