タバコに起因する病気として、真っ先に思い付くのが肺がんや咽頭がんだろう。
実際、スモーカーには、発がん作用のある「ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)」に感染している人が多いとの研究結果が米国から届いた。
喫煙するほど高い感染率
HPVはがん抑制遺伝子を分解し、発がんさせる作用がある。ここでいうHPVは16型で、主に中咽頭扁平上皮がんのリスク要因となる。
米国の健康栄養調査のデータ分析による研究では、6887人(14−69歳)を対象にタバコの嗜好(喫煙や受動喫煙の有無、無煙タバコの使用)などについて尋ね、さらにバイオマーカー検査を行い、口腔内に16型HPVの感染が認められるかを調べた。
その結果、スモーカーの16型HPV感染率は、喫煙しない人に比べはるかに高く、喫煙回数が多い人ほどHPV感染の割合が高くなる傾向も浮かび上がった。
咽頭や舌のがんリスク大きく
HPVウイルスに感染したからといって必ずがんを発症するわけではないが、16型HPVの感染は咽頭や舌などのがんになるリスクが大きいことを意味する。
今回の調査結果について、研究チームは「16型HPVの感染から悪性腫瘍に移行するプロセスの解明につながるもの」としている。
研究結果は「The Journal of the American Medical Association」に掲載された。