「高カロリーのジャンクフードが食べたい」という欲求に屈してしまうのは、背外側前頭前皮質と呼ばれる脳の自制に関わる領域の機能低下が関連していることがわかった。
カナダ、ウォータールー大学(オンタリオ)のPeter Hall氏らの研究で、「Psychosomatic Medicine: Journal of Biobehavioral Medicine」9月号に掲載された。
背外側前頭前皮質は、人が自分の行動を制御するのを助ける。以前の研究で、脳のこの部分の活動が増大すると不健康な食品への欲求を抑えられることが示されていた。今回の研究では、この部分の活動が低下することがジャンクフードに溺れる原因となる可能性があると判明した。
Hall氏らは、脳の磁気刺激という形を用いて、一時的に被験者の脳の左背外側皮質の活動を低下させた。その結果、高カロリー食への欲求が高まり、ジャンクフードの摂取量が増えることが判明した。前頭前皮質を一時的にオフラインにすることで間食の増加が生じることを示した研究はこれが初めてだという。
Hall氏は、「背外側前頭前皮質は長年、無意識の反応を食い止めるのに役立つと考えられていた。今回の研究は、効果的な自制に向けた最良の解決法は、脳の健康を最良の状態にすることだと示唆している。健常な人において、背外側皮質の機能を増強・保持を目的に介入することにより、肥満やその他の慢性疾患の可能性が減少する可能性がある」と述べている。