首の腫れ「ガマ腫」、手術は必要? 外来でできる薬物療法も(2014/10/9 福井新聞)

 1カ月ほど前、小学5年の孫(男児)の首が腫れているのに気付きました。MRI(磁気共鳴画像装置)の検査を受け、「ガマ腫」と診断され、少し大きいので手術した方が再発が少ないと言われました。手術や再発のリスク、唾液などの影響が心配です。(福井県あわら市、男性)

【お答えします】 清水良憲  県済生会病院耳鼻咽喉科主任部長代行 

漏れた唾液がたまる病気 !

 ガマ腫は、舌の裏にある舌下(ぜっか)腺という唾液を作る組織から唾液が漏れ、口の底に軟らかい腫瘤(しゅりゅう)(腫れ物)ができる病気です。10代に多くみられます。通常痛みはありませんが、口の底が腫れて不都合を感じることがあります。

 舌下腺から漏れた唾液が舌の裏にたまる舌下型が多いですが、まれにあごの下部に唾液の漏れが広がる顎下(がくか)型もあります。ご相談の場合は、首が腫れるとのことで、顎下型の可能性が高いでしょう。

 腫瘤の中身は舌下腺から漏れた唾液なので、中身を抜くだけでは再びたまります。根本的な治療は、舌下腺を摘出する手術になります。全身麻酔で行い、この方法であれば再発は基本的にありません。

 唾液を作る組織は左右合わせて六つあるので、唾液の量が少なくなることはありません。

 口の底には血管と味覚の神経、舌の動きをコントロールする神経もあるので、これらを傷つけないように慎重に手術します。入院期間は1週間前後で、問題なければ手術翌日から食事もできます。

外来でできる薬物療法もある !

 過去には腫瘤を破って唾液を逃がしたり、腫瘤だけを摘出する手術が多く行われていました。最近の研究では、これらの手術は再発する可能性が高いといわれており、根治を目指すのであれば舌下腺摘出術が望ましいと考えます。

 近年、腫瘤の中身の唾液を薬で吸収させるOK432注入療法という治療も行われています。全例に有効ではなく、複数回の注入が必要で副作用として発熱があることなどがありますが、入院せず外来でできる治療法です。

 この治療が無効な時に手術を検討すればよいので、まずは試みてもよい治療法といえます。手術、OK432注入療法が可能な耳鼻咽喉科に相談するとよいでしょう。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年10月10日 15:27に書いたニュースです。

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