「インターバル速歩」で 手軽に運動不足解消を -2(2014/11/15日本経済新聞)

能勢さんたちの研究グループは、1997年、地元の松本で長寿健康社会の達成を目指して始まった産官学の共同プロジェクトの中で、学術面を担当した。「だれでも、どこでも、いつでもでき、お金もかからず、長続きしやすい運動で体力向上の効果が上がる最良の運動処方を探求し続けた」(能勢さん)。そしてたどり着いたのがインターバル速歩だった。

 当初は全身運動になるウオーキングで1日1万歩に着目したが、思った効果が得られなかった。運動生理学では、その個人の最大体力の70%以上の運動を一定頻度で、一定期間すると効果があるという基本理論がある。たんにウオーキングをするだけでは、最大体力の70%以上の運動になりにくかったのだ。

 インターバル速歩で効果をあげるポイントは、「ややきつい」と感じる高負荷の運動(その人の最大体力の70%以上)を加えること。能勢さんによれば、「自分の最も速い歩きを100としたら速歩は70くらいの速さ。3分もすれば胸がドキドキして息がちょっとはずむ程度」。心拍数を測らず、感覚的な判断で構わないという。

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 インターバル速歩を続けて運動不足を解消することで、生活習慣病の予防や改善の効果も期待できるという。5カ月間続けた人には、血圧、血糖値、肥満度を示すBMI(体格指数)などの数値改善が見られたそうだ。

 運動不足や加齢が筋肉の萎縮や全身性の慢性炎症を引き起こし、糖尿病や動脈硬化など様々な生活習慣病につながることがわかってきた。予防するためには筋肉をつければいいのだが、とりわけ筋肉が太い大腿筋を強くするのが効率的だ。

■60分以内に牛乳

 運動後60分以内に牛乳を飲むなどして乳糖(ブドウ糖)と乳たんぱく質(アミノ酸)を補給するとさらによい。筋肉の吸収率が高まるこの60分は、効果的に疲労を回復させ、筋肉の肥大に役立つゴールデンタイムだ。

 NPO法人熟年体育大学リサーチセンター(JTRC)健康推進コーディネータの森川真悠子さんはインターバル速歩について「生活の中で効果を実感でき、前からやっておけばよかったという声を聞く」という。「達成感も得やすい。まずは2週間続けてみてほしい」と能勢さん。体力がついてくると、いろいろなことに挑戦する意欲も高まってくるだろう。

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■うつ病などの運動療法に活用

 インターバル速歩を病気の治療に活用しようとする動きもある。デンマークのコペンハーゲン大学の研究によると、2型糖尿病患者がこの運動を取り入れたところ、インスリン抵抗性の数値が改善したという。

 能勢さんらの調査でも、インターバル速歩をすることで、うつ傾向の改善が見られた。青葉こころのクリニック(東京都豊島区)では、JTRCと連携し、うつ病の運動療法に取り入れている。院長の鈴木宏さんは「効果が見られる。一人ひとりに合わせた専門的な指導が重要」と話す。 このほか、遺伝子の働きとインターバル速歩とのつながりについても分析が進められている。


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このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年11月22日 17:58に書いたニュースです。

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