「若いころのようにはいかない」。歳を重ねるとともに体力の低下を感じる。運動不足による体形の変化や生活習慣病も気になる。今はよくても、いずれ日常生活に支障が出るかもしれない。対策は今のうちから体力をアップしておくこと。速く・遅くを交互に繰り返して歩く「インターバル速歩」は、手軽にできる運動不足解消法の一つだ。
年を取っても今の体力をできるだけ維持し、将来も自立した生活を送りたい。そのためには日ごろの運動が必要だ。だが忙しい人や運動習慣のない人にとっては、それが難しい。
インターバル速歩は「ややきつい」と感じる程度に3分間サッサカ歩き、3分間ユックリ歩く。「サッサカ」ではずんだ息を「ユックリ」で調える。それを交互に繰り返していく。1日30分~1時間。30分なら「サッサカ」と「ユックリ」1セットを5セット。これを週4日する。
運動不足を感じていた松本市の百瀬敬子さん(56歳)は、職場や自治体の広報などから情報を得て5年前から始めた。「道具などがいらず、とりかかりやすかった。歩行にメリハリがあって飽きず、続けやすい」という。
■分割しても効果
仕事でまとまった時間がなかなか取れないため、朝、犬の散歩をしながらと、昼休みのできるときだけに分けた。インターバル速歩は5セットを一度にまとめてしなくても効果が出る。自分の生活スタイルに合わせやすい。
インターバル速歩の開発で中心的な役割を担った信州大学大学院(松本市)医学系研究科教授の能勢博さんは「人間の体力は20歳代がピーク。30歳以降、歳を10歳とるごとに5~10%ずつ衰える」と指摘する。
とくに40歳を過ぎたあたりから、下降カーブが急になる。ただ、50~60歳代までは衰えがあっても、他の部位で補うなどして自分では日常生活に支障を感じない。しかし、そのままにしていると70歳代で、要介護の状態になりかねないため、体力を維持する運動の継続が必要になる。