口臭の原因は?(2011/9/7 あなたの健康百科)

病気が原因のものと、生理的なものの2通りが考えられます。

口からの臭いと肺からの臭い

 本人あるいは第三者が不快と感じる程度を口臭と呼びますが、その原因はさまざまです。口臭は主として、口腔に存在する微生物が産生する臭いと、肺から出る呼気の臭いとに分けることができます。口腔には多くの微生物が住み着いています。微生物が口腔の糖やタンパク質を栄養素として摂取し、それを代謝してガスを産生します。これが口臭のもとになります。口が原因となっている臭いです。

 肺から出てくる臭いとは、血液中に溶けているニオイ物質が、肺におけるガス交換によって呼気中に出てくるものです。食物は、胃で消化され、腸で吸収されたのち、肝臓で代謝され、血液内に入ります。血液の中にニオイ物質が存在した場合、呼気が臭うのです。

 このように口腔や肺から臭いが発生しますが、その原因として病気が存在する場合と、病気とは関係のない生理的な場合があります。

病気が原因の口臭

 肝臓や腎臓の病気、糖尿病などでは、代謝や排泄がうまくいかないなどの理由でニオイ物質が血中に停滞する場合があります。これが呼気からの口臭になります。便秘も口臭の原因になると考えられています。腸内では常在菌が、摂取した食物を発酵させてガスを発生させます。便秘で腸内に便が長くとどまると、悪臭ガスが腸壁から吸収され、血中を巡ってやがては肺にたどり着いて呼気中に出ます。

 一方、口腔由来の病的口臭としては、歯周病、不適合補綴物(適合の悪くなった歯のかぶせもの。歯とかぶせものの間に隙間ができた状態)などが原因となります。特に歯周病では口腔微生物が増加していることが多く、また口腔ケアが行き届かないということもあり、これが口臭の大きな原因となっています。また、鼻に病気があると口呼吸となり口が乾くため、口腔微生物が増えやすくなります。同様に唾液の出る量が少なくなると、唾液による自浄作用の低下から微生物が増加しやすくなるため、口臭の原因になることがあります。

生理的口臭(病気が原因ではない)

 摂取した食べ物の成分のうち、体内で代謝されても、その状態でニオイを持っている物質があります。ニンニクやお酒にはそのような物質が含まれています。これは呼気中に排出されます。他人を不快にさせることもありますが、病的とは言えない状態です。

 口から発生する生理的な口臭は、歯垢(しこう。歯の汚れ)と舌苔(ぜったい。舌に付着するコケ状のもの)です。なかでも舌の表面は微生物や栄養素となる物質がとどまりやすいので、揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds; VSC)の主な発生源となっています。口臭の最も大きな原因となっていますが、多くは生理的なものです。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年12月26日 15:31に書いたニュースです。

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