牛乳は本当に健康の味方なのか?(2014.11.10ヘルスデージャパン)

牛乳を飲みすぎると健康によくないとする新たな研究報告が、英国医師会誌「BMJ」オンライン版に10月28日掲載された。これまでの研究では、牛乳に含まれるカルシウムが骨を強化するとされ、健康的な食品として牛乳が推奨されていたが、今回の研究によると牛乳に骨折予防効果はなく、死亡リスクの高さに関連するという。

この研究では、1日3杯以上の牛乳を飲む女性は、1杯未満しか飲まない女性に比べて死亡および心血管疾患のリスクがほぼ2倍であり、がんリスクが44%高いことが明らかになった。男性では、牛乳を1日3杯以上飲むと全体の健康リスクが約10%増大したという。

研究の筆頭著者であるスウェーデン、ウプサラ大学教授のKarl Michaelsson氏は、「この結果は、私自身も牛乳の摂取量を減らすほど、十分な説得力のあるものだった」と述べている。一方、付随論説の著者であるニューヨーク市立大学公衆衛生学部のMary Schooling氏は、現時点で性急に結論を下すべきではないと警告している。

今回の研究は、スウェーデンの女性6万1,000人、男性4万5,000人を対象としたものだ。女性は1980年代後半、男性は1997年に、それぞれ別の研究で食事に関するアンケートに回答していた。回答時の年齢はいずれも39歳以上だった。牛乳を飲む習慣と健康データを比較した結果、多量の牛乳の摂取が、男女ともに研究期間中の死亡リスクの上昇に関連していることがわかった。女性では、1日3杯以上牛乳を飲むと全体の骨折リスクが16%、股関節骨折リスクが60%上昇することも判明した。男性では骨折リスクへの影響はみられなかった。

Michaelsson氏らは、死亡リスクの上昇は牛乳に含まれる糖分(乳糖、ガラクトース)によって説明できる可能性があると述べている。ガラクトースはマウスの早期老化を促進することが明らかにされており、また乳糖は炎症を促進すると同氏は説明している。一方、乳糖含有量の少ない発酵乳製品(ヨーグルト、チーズなど)の摂取量が高いと、特に女性では死亡および骨折の低減がみられたと研究グループは報告している。

米国栄養・食事療法学会(AND)のIsabel Maples氏は、ガイドラインを変更する根拠としては、今回の知見はあまりに予備的なものだとしている。「米国の食事ガイドラインでは、骨の健康のみならず、心疾患、2型糖尿病、高血圧を低減するためにも、1日3サービングの乳製品の摂取を推奨している。ガイドラインは一時の流行や昔ながらの助言に基づくものではなく、科学的根拠に着目したものだ」と同氏は述べている。ヘルスデーは米国酪農協議会にコメントを求めたが、回答は得られなかった。(HealthDay News 10月29日)

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このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年11月11日 17:19に書いたニュースです。

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