えっ私が!? 睡眠時無呼吸症候群(下) 「サル顔」効果抜群(2014/11/7 東京新聞)

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耳元に響く「スーハー」の音で目覚めた。そうだ、CPAP(シーパップ)(持続陽圧呼吸)装置で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を始めたのだ。鼻のマスクを外すとシューと強い空気が流れ出る。慌てて本体の停止ボタンを押した。

 一息ついてみると、何だか頭が軽い。酸素が行き渡って脳が活性化されているといった感じ。夜中のトイレも一回だけだった。以前は、トイレに起きたり寝たりで、何時間布団に潜ってもだるさが残っていたが、これはすごい。

 ただ、問題も。旅行や出張でこの装置を持ち歩くのは難儀だ。重さ二キロ余のバッグ一個が余計になる。そこで、主治医から次善の策と聞いたマウスピース(口腔(こうくう)内装具)治療を試すことにした。口にはめた装具で下あごを前方に引き出して固定し、気道を広げるというもの。

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 紹介状をもらい、通院先と同フロアの歯科オノザワを訪ねると、その場で型取りに。小野沢彰院長(43)からは、思いきり下あごを前に突き出すよう言われた。おサルさんの物まねをするときのように。「あなたの場合、下あごの前後可動幅は十一ミリなので、八ミリ前に突き出した状態で固定するようにします」

 二週間後に装具は出来上がった。半透明の樹脂製で、エイリアンの「くちばし」の先のよう。上下の歯を溝に入れてかみしめると、がっちり吸い付く。下あごはサル顔で固定なので疲れる。口を開けられず、舌も動かせず、唾液がたまる。やはり違和感は強いが、我慢して寝た。

 一カ月後、この状態で簡易検査し効果を見た。結果は一時間当たりの無呼吸低呼吸が〇・七回と「健康人と同じ」(主治医)レベルに。CPAPほど目覚めの爽快感はないが、軽くて扱いも簡単だ。今後は時と場合に応じ使い分けることにする。根気は必要だが、いずれ慣れるだろう。

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 SASは、放置すれば健康に深刻な影響を与える。車の運転で事故を起こす、仕事の能率が下がるなどで他者に大きな迷惑をかけることもあり得る。しかし、複雑な治療、痛い治療、頻繁な通院はいらない。装置、装具の使用で劇的に良くなる場合が多く、治療費も高額ではない。

 「SASは重症といっても気にすることはない。心配な方は迷うことなく医師に相談を」。SAS研究の第一人者、成井(なるい)浩司・虎の門病院睡眠センター長は訴える。現在は、一般の開業医でも簡易検査を受け付けるところが多い。私もいつからSASだったのかは分からないが、今、診断されたことに感謝している。健康改善の余地はいくらでもある。成井医師の言葉を広く伝えたい。 (白鳥龍也)

<SASの治療費> CPAP治療には、定期的な通院を条件に健康保険が適用される。装置のレンタル代も含めた自己負担は、3割の場合で月5000円ほど。マウスピースも一般の上下一体型は保険対象。1万5000円前後(3割負担)で作製できる。

 

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年11月10日 16:47に書いたニュースです。

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