えっ私が!? 睡眠時無呼吸症候群(上) 簡易検査で「重症」(2014/11/6 東京新聞)

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「結論から言って、重症です」「エッ」-。主治医の言葉に絶句した。56年、健康に生きてきたつもりだった。私が重い睡眠時無呼吸症候群(SAS)だなんて。自覚症状はほとんどない。しかし、放っておけば命を縮める恐れがあるという。診断から治療までの体験を報告する。 (白鳥龍也)

 無呼吸低呼吸回数51回/時▽最長111秒▽平均51秒▽血中酸素飽和度最低値71%-。

 「無呼吸検査結果」と書かれた用紙に衝撃の数字が並ぶ。一時間に呼吸が止まるか浅くなる(低呼吸)状態が五十一回現れ、一回平均五十一秒、最長で二分近く、ほとんど息をしていない。裏を返せば、まともに息をしている時間は、一時間に十七分ほど。血中酸素飽和度という動脈血の酸素レベルは、正常とされる95%以上を24ポイントも下回る重度の酸欠状態だった。結果判定では、青・黄・赤に色分けされた棒グラフの赤ゾーンから飛び出した所に★印が打たれ「重症」とある。

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 私がSASを疑うようになったのは「いびきが大きく、呼吸が止まっていることがある」という家族の指摘が最初なのだが、昼間の眠気については気になる点はなく、深刻さを感じなかった。体形は身長一七三センチ、体重六六キロとほぼ標準。SASは肥満の人がなるもの、との認識だった。

 しかし、別の面で「もしや」と思う症状があった。夜間頻尿だ。ここ十年ほど睡眠中のトイレが近い。一晩に三、四回は起きる。酒量が多くなったせいとも思ったが、あまりにつらいので自宅近くの泌尿器科を受診した。前立腺やぼうこうの検査では異常なし。漢方薬なども処方されたが効かない。ある日、書店で手に取った尿トラブルに関する本に「SASが原因かも」との記述を見つけ、思い切ってSASの診療をしている職場近くの中沢プレスセンタークリニック(東京都千代田区)を訪れた。

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 診察前には昼間、どんなときにウトウトしたり、眠り込んだりしてしまうことがあるかの問診票を渡された。「座って読書しているとき」「午後横になって休息しているとき」など八項目に〇~三点をつける。十一点以上は要注意ということだが、七点だった。

 診察では、中沢英樹院長(69)からSASの仕組みについて説明を受け、簡易検査機器を渡された。約五センチ四方の本体をベルトで腹に装着し、鼻の息遣いを調べるチューブと、指先にかぶせて血中酸素飽和度を測るセンサーをつなげて眠る。機器では、いびきの音や体位も測定できるとのこと。これを三晩着けて出た結果が、冒頭の数字だ。

 当初は「一般に一時間当たりの無呼吸低呼吸回数が五回以上、四十回未満の場合、検査入院をしてもらい、さらに脳波などの測定で睡眠状態を詳しく調べる必要がある」と告げられていたが、簡易検査段階で五十回を突破したため「あなたの場合は"一発合格"だ」と、思わぬ診断を受けてしまった。このままだと、どうなってしまうのか。今後、どんな治療が待っているのか-。

<SAS(Sleep Apnea Syndrome)> 大半は睡眠中に喉周囲の筋肉が緩むことで、喉の壁や舌の付け根が奥に引き込まれて気道がふさがる、または狭くなることで起きる。加齢による筋力の低下、肥満で喉周囲に脂肪がつく、あごが小さく後退している、などの原因で重くなる。息が止まると無意識のうちに脳から非常信号が出て呼吸は再開するが、一晩に何十回も繰り返すと睡眠が分断され、昼間急激な眠気を覚えるといった症状が出る。2003年、JR山陽新幹線で起きたSASの運転士による居眠り運転が社会に衝撃を与えた。

このニュースについて

このページは、Uクリニック竹内歯科が2014年11月10日 16:29に書いたニュースです。

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