虫歯でもないのに、冷たいものを食べたり飲んだりしたときに、歯がしみたり痛みを感じたりすることはありませんか? そのような症状を「知覚過敏」といいます。特に冬は水が冷たくなるので知覚過敏を感じやすい季節です。
では、知覚過敏になるとなぜ痛みを感じるのでしょう。歯は、健康な状態であればエナメル質と歯茎に覆われていて、冷たさなどの刺激が神経(歯髄)に伝わらないように守られています。それが、歯周病の進行や加齢などにより歯茎が下がると、歯の根元の部分の象牙質が露出してしまいます。象牙質には神経につながる「象牙細管」と呼ばれる無数の穴が開いており、この穴を通して受けた刺激が神経に伝わり、痛みを感じるのです。
知覚過敏になると、歯がしみるために歯磨きが十分にできなくなり、歯垢がきちんと落とせなくなります。歯垢には細菌が潜んでおり、その細菌が出す酸によって、露出した象牙細管の穴がさらに広がって刺激を伝えやすくなり、痛みがますます強くなるという悪循環を繰り返してしまうことがあります。
歯垢は蓄積されると虫歯や歯周病の発症や悪化を招く原因にもなります。歯垢を蓄積させないためには、歯磨きなど「毎日のケア」を怠らないことが大切です。
そこで、知覚過敏の症状が気になる方にお勧めの歯磨き方法を紹介します。まず、知覚過敏を予防する薬用成分である「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」が入った歯磨き剤を使いましょう。
これらの成分は刺激の伝達を防いだり象牙細管の入り口を封鎖したりする働きがあり、どちらも知覚過敏による痛みを防いでくれます。作用する部位が違うので、両方の薬用成分が入った歯磨き剤を継続して使うことがポイントです。
ブラッシングには「やわらかめ」の歯ブラシを使い、歯と歯茎の境目を中心に、歯ブラシを5~10ミリくらいに小刻みに動かしながら、軽い力で丁寧に磨くようにしてください。歯磨き後のすすぎは、冷たい水ではなく、ぬるま湯ですすぎましょう。
知覚過敏と思っていても、実は虫歯のこともあります。痛みの症状が長く続くような場合は、早めに歯科医院で相談することをお勧めします。