日本人の虫歯罹患(りかん)率をご存じでしょうか? 虫歯罹患率は、虫歯になったことのある歯を持っている人の割合です。厚生労働省の調査(平成23年)によると、大人(35~44歳)の虫歯罹患率は98・8%。つまり、ほとんどの人が虫歯の経験者です。一方、子供(10~14歳)は34・7%。まだ永久歯が虫歯になっていない子供は3人に2人です。
虫歯は子供の病気と思われがちですが、大人になってから虫歯になる人はたくさんいます。また、高齢になると、歯周病や加齢が原因で歯茎が下がり、歯の根が露出してしまうため、新たに歯の根が虫歯になってしまいます。そこで、子供はもちろん、大人にも役に立つ、虫歯予防に効果的な歯の磨き方を紹介します。
ポイントは口の中にフッ素を残すことです。
虫歯を予防するにはフッ素配合の歯磨き剤を使うことが大切です。フッ素は、歯質を強化する▽虫歯菌が出す酸を抑制する▽再石灰化を促進する-の3つの働きで、虫歯の発生や進行を予防する薬用成分です。
歯磨き剤の裏面の成分表示欄に、「フッ化ナトリウム」もしくは「モノフルオロリン酸ナトリウム」と書かれていればフッ素が配合されています。
フッ素の効果を十分に発揮させるために、歯磨き剤の使用量や歯磨き後のすすぎ方にも気を配りましょう。歯磨き剤は年齢に応じて適量を使用する必要があります。大人の場合、歯ブラシに載せる歯磨き剤の量は1~2センチが目安です。
歯磨き剤に配合されているフッ素は、歯磨きをしているときに作用するだけでなく、歯磨きをした後も歯や粘膜などに残り、少しずつ唾液(だえき)と混ざりあって効果を発揮します。
このため、歯磨き後のすすぎの回数は少量の水(10~15ミリリットル)で1回がお勧めです。口をすすぐ前に、歯磨き剤をしっかりと吐き出しておくと、少ない水でも効率的にすすぐことができます。ぜひ試してみてください。口の中にフッ素が残りやすいよう工夫された歯磨き剤もあります。(ライオン快適生活研究所副主席研究員 平野正徳)