ノースカロライナ大学チャペルヒル校のスティーブ・オッフェンバッハー氏によると、口は体の鏡であり、簡単な歯科検診で体全体の状態もチェックすることが可能です。
彼はある患者の女性に、歯ぐきが赤いので妊娠しているのではと言ったことがありました。翌週、彼女が戻ってきて、病院にいったら妊娠していましたと彼に話したそうです。
このケースでは、彼はいいニュースを予言したことになりますが、お口からわかるのはいいことばかりとは限りません。歯から判断することの可能な、健康をおびやかす5つの病気をみていきましょう。
1.糖尿病
2014年に行われた研究では、歯科医の3分の2が歯周炎をもつ患者に対し、糖尿病を疑うよう話したことがあるそう。高血糖で口の中が乾燥すると、歯垢がたまりやすくなり、虫歯につながります。歯ぐきがはれてすっぱい果物のような口臭がある場合は要注意です。
2.心臓病
2007年の研究で、歯周炎のある人はそうでない人よりも心臓病になりやすいことがわかっています。歯周炎を治療して、心臓病の症状がよくなるケースもあるそう。慢性的に口内で炎症をおこしていて、歯がぐらぐらしたり抜けたり歯周ポケットが深くなってきているのは赤信号!
3.認知症
最近イギリスで行われた研究で、歯がないことと精神的な衰えは関連があるとされています。2012年の別の研究で、歯が健康でない人は認知症になる確率が76%も高いという結果も。また2013年には、歯周病の原因菌が、認知症患者の脳内に発見されています。
4.骨粗しょう症
歯に直接影響があるわけではなく、レントゲンであごの骨などを見たときにわかるんだそう。通常は骨全体がしっかり写っているはずですが、そうでない場合、骨粗しょう症が疑われます。2013年には、あごの骨と背骨の骨密度の関連についての研究結果も。
5.胃食道逆流症
胃酸が逆流することによる症状は、胸やけだけでなく口の中にも見られます。歯の表面にあるエナメル質が薄くなってしまうのですが、特に下の前歯に顕著にみられるそう。2008年の研究では、歯牙侵食の見られる大人の3分の1が、胃食道逆流症も患っています。
この5つの病気のなかには、自覚していない潜在的な患者が多いものもあります。このような病気が、年に一度の健康診断だけでなく、簡単な歯医者さんの検診でも見つかるようになるといいですね。